ワシントンG20後の会見で、鈴木財務大臣が苦しい胸の内を吐露しました。円安は困るが、さりとて日銀がどんどん利上げされても困ります。そこで大臣は、円安は日米金利差だけで決まるものではないと述べています。
これに先立って、日銀の植田総裁は、円安が物価に無視できない大きさの影響を及ぼすなら、政策変更もありうると述べています。5%以上開いた日米の政策金利差が円安の大きな要因となっているだけに、FRBが利下げできないなら日銀の利上げしかないからで、絶対金利差が4%以上あればドル買いは続くとの見方が強まっています。
従って、日銀が金利で円安を止めようとすれば、1回や2回の利上げでは済まないことになります。そうなると、財務省は金利コストが大きくなり、予算編成が苦しくなるので、円安は止めたいが日銀の大幅利上げは困る、というジレンマに陥っています。
日米韓で急激な円安、ウォン安の認識を共有し、協調介入も可能な体制になりましたが、持続的に円安を抑えるには金利差の縮小が避けられません。日銀は物価に影響する円安を抑制するための利上げに傾きつつあります。