経営危機のクレディスイスをUBSが買収することになりましたが、当局はクレディスイスが発行した劣後債の一種、AT1債を無価値とする判断をしました。クレディスイスの株を持った人は救済される一方で、AT1債への投資家は保護されなかったことで、市場では大きな混乱が起きました。株が保護されるならAT1債も保護されると考えるのが一般的だったからです。
この混乱を見てECBは欧州銀行の発行するAT1債は保護すると言って、市場をなだめました。その中で、ヘッジファンドが無価値となったクレスイのAT1債を二束三文で買う動きが見られます。無価値債券ですから当然紙くずに近い安値で買えます。これが法的解釈などから無価値裁定の取り消しにかけた究極のハイリスク投資となります。確率は低いものの、もしも無価値裁定がひっくり返れば、この投資は大きな利益を生みます。万馬券以上の大穴狙いの投資と見られています。