上流のインフレ水位、やや低下 | 経済あらかると

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 日銀が本日公表した8月の企業物価によると、円ベースの輸入物価は前月比2.3%下落、前年比42.5%上昇と、7月のそれぞれ2.8%上昇、49.1%上昇から減速しました。

 

 8月は契約通貨ベースで前月比1.2%下落した上に、為替が1.1%前月より円高に動いたことが水位を下げる要因となりました。契約通貨ベースでは石油石炭、木材木製品、金属製品など、これまで上昇幅が大きかった品目で下落が目立ちます。

 その一方でその他の品目、例えば電子機器、繊維製品、輸送機械などが上昇していて、輸入物価でも物価上昇のすそ野が広がっています。また9月は為替がまた円安になっているので、輸入物価を再び押し上げる力になり、上流のインフレ水位はなかなか低下しそうにありません。

 

 そして中流の国内企業物価は前月比0.2%、前年比9.0%の上昇となり、前年比では7月と同じ水準となりました(当初は8.6%でしたが、上方修正されています)。

 ここでも石油石炭、木材木製品など、ここまで大きく上昇してきた品目が前月比で下落を見せている反面、鉄鋼、金属製品、プラスチック、機械類が限界的に上昇し、ここでも価格上昇のすそ野が広がっています。上流の水位が高いだけに、中流での価格上昇はしばらく高水準が予想され、いずれ下流の消費者物価への波及が懸念されます。