ゼロコロナにみる習近平指導部の動揺 | 経済あらかると

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 中国のコロナ対策に混乱が見られます。8月前半に行われた「北戴河」会議でゼロコロナ策への批判が多く出たとの情報があり、注目されました。

 

 8月半ばに中国海南島でレジャー訪問客15万人がコロナの影響で缶詰めになり、批判が高まりました。これもあり、コロナ規制の緩和が予想されていました。実際、海南島では規制が緩められたと言いますが、その一方で深セン市はコロナ規制が延長され、ロックダウンが取られるとの懸念も広がりました。1900万市民のほとんどが規制下にあります。

 

 また人口2100万人を抱える大都市成都ではロックダウンが実施され、市民には集中的にPCR検査が行われています。この規制の中で、自動車のボルボは操業を停止しました。トヨタは操業を続けています。

 

 また規制の緩い香港では感染の第5波に襲われ、足元では新規感染者数が1日に1万人を超えるようになりました。ここでの感染拡大が深センなどに広がった可能性もあります。

 

 10月に5年に一度の共産党大会開催が決まりました。習近平体制が3期目に入ることは決まるようですが、経済運営や人事には注文が出ているようです。コロナ対策が混乱すれば、習近平主席の立場が悪くなります。これまでの厳しい規制で感染者が抑制されてきただけに、集団抗体の獲得にはほど遠い状態で、規制を緩めれば、感染が爆発的に広がる可能性があります。

 

 コロナ感染封じ込めに成功したとの評価を維持するためには、ゼロコロナを緩めることもできず、ロックダウンが広がれば経済への打撃が大きくなります。共産党大会までは何とかこれを抑え込みたいところですが、そのために経済が落ち込めばこれも政権には重荷になります。コロナのかじ取りが注目されます。