輸入の膨張で貿易赤字は年率25兆円 | 経済あらかると

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 財務省が本日公表した7月分の貿易統計によると、輸出が自動車の持ち直しで増加したものの、資源価格高で膨張した輸入をカバーできず、貿易赤字が年換算して25兆円規模に膨らみました。

 

 7月の輸出は前月比2.1%増、前年比19.0%増と、自動車の持ち直しで2桁の増加となりました。自動車輸出は前年比13.7%増で、全体を2.0%押し上げました。この他、鉱物性燃料が前年比2.44倍、半導体製造装置が37.7%増となりました。EU向けの自動車輸出が77%増えました。

 

 米国向けは半導体製造装置が80.5%増えたほか、自動車も8.4%増でした。米国向けの数量は6.2%減となっています。また不振を続ける中国向けは12.8%増ですが、数量ベースでは9.9%減と、減少幅は縮小していますが、依然減少傾向にあります。

 

 一方輸入は前月比3.5%、前年比47.2%増となりました。原粗油が107.3%増、石炭が269.5%増、LNGが124.5%増で、この3つで23%以上押し上げています。

 

 この輸入増を輸出でカバーできず、7月の貿易収支は季節調整後で2兆1333億円の赤字となり、年換算すると25兆円の赤字で、一次所得収支の黒字を上回る赤字で、このペースでいくと、経常収支の黒字が消えてしまいます。

 

 なお、GDPへの外需の寄与をみるために、日銀の実質輸出入を見ると、7月の実質輸出は前月比1.8%増、4-6月比3.2%増。実質輸入は7月が前月比0.9%増、4-6月比では2.1%増で、外需は小幅プラスになる計算です。もっとも、4-6月は実質輸入が輸出の伸びを上回っていたのですが、GDPベースの輸入は低く抑えられ、外需は当初のマイナス寄与予想がゼロになっていました。季節調整の関係なら、7-9月の輸入がむしろ高めに出て外需はプラスにならない可能性も残っています。