どうする日銀 | 経済あらかると

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 日銀が試されています。世界の金利上昇の波が日本にも押し寄せ、日本の10年国債利回りが0.25%に接近しました。そこで日銀は無制限の「指値オペ」を通告しましたが、応札はゼロ。この通告で円を売っていたヘッジファンドらは安心して円を売り、結果的にドル円は123円台をつけました。しかも金利は0.25%のまま低下しません。日銀はそこで2度目の指値オペを通告しました。これでまた円安が進んでいます。

 

 岸田政権は明29日に閣議を開き、物価高対策を指示する構えです。政府が物価高を抑制しようとしている時に、日銀が指値オペで流動性を供給する構えを見せ、円安が進んで輸入インフレを助長する形になっています。政府と日銀がインフレ抑制とインフレ促進でぶつかっています。2013年に政府日銀は物価目標で「アコード」を結びましたが、ここへきてにわかにほころびが目立つようになりました。

 

 市場も日銀の出方を試している感があります。日銀がムキになって指値オペで金利上昇を抑えれば円安が進み、政府や国民の反発を呼びます。かといって金利上昇を放置すればこれまで続けてきた「YCC」が行き詰まります。日銀の出方、手腕が試されます。