苦しいプーチンの立場 | 経済あらかると

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 ウクライナをめぐるロシアと西側の交渉が続きますが、ロシアのプーチン大統領には厳しい状況が続いています。経済力の限界もあり、落としどころを探り始めたと見られます。

 

 まず、ロシアのカードは限られています。裏庭のウクライナがNATOに加盟して西側につけば、ロシアには大きな脅威となるので、何とかこれを阻止したいところ。米国やNATO諸国は、戦略家プーチン大統領を恐れる面と、ロシアが核兵器大国だという点に脅威を感じていますが、現実問題として核は使えません。

 

 もう1つのカード、天然ガスなどロシアの資源に依存する欧州は、ガス供給が絶たれることを恐れていますが、これはロシアにとっても収入源を失うことになり、必ずしも戦略カードにはなりません。現にドイツがノルドストリーム2の運用停止をちらつかせています。欧州は天然ガスの制約により、ロシアは輸出収入の減少により痛み分けとなります。

 

 そこで米国は欧州に対して日米や中東から天然ガスを欧州に供給する計画をすすめ、欧州のマイナスをカバーしようとしています。ロシアは欧州の販路を失う分、中国や日本に販路を広げようとしています。

 

 NATOにしてみれば、ロシアは短期決戦しかできないと読んでいて、当面2月から3月前半までを警戒していればよく、その後はロシアか撤退を余儀なくされると見ています。この間、ロシアが動けば、ロシアの弱点経済面で制裁を強化する構えです。今回は使わないとしているロシアの銀行のSWIFTからの排除も、カードとしては有力なものです。

 

 ロシアはドネツクなど東部を落としても、経済で押さえつけられれば苦しくなります。何とかウクライナがNATOに参加せず、今のまま中立的な形を維持できれば良しとするのではないかとみられます。ウクライナはNATO参加を希望していますが、ドイツはロシアの事情を察し、ウクライナのNATO加盟を認めないといっています。あとはウクライナがどう動くかです。