日本でもじわっと物価が上がってきましたが、総務省が本日発表した1月の東京都区部の消費者物価(CPI)は、前月から上昇率が低下し、一旦はインフレ懸念を後退させました。しかし、ここには「Go To」というもう1つの伏兵がいて、インフレ率をかく乱しています。
東京都区部の1月のCPIは前年比でみると、全体が0.5%、生鮮食品を除いた「コア」が0.2%の上昇、エネルギーも除いた「コアコア」は0.7%の下落となりました。昨年12月がそれぞれ0.8%、0.5%の上昇、0.3%の下落だったので、また物価が下げたのか、との印象を与えます。ところが、季節調整後の前月比では、全体が0.3%、コアが0.1%、コアコアが0.2%上昇していて、限界的に下げたのではなく、昨年の綾が前年比の低下をもたらしたことがわかります。
その「伏兵」が宿泊費でした。昨年1月に「Go To」が停止されて以来、この1年間宿泊費が反動で大きく上昇した形になり、全体の物価を0.35%押し上げていました。これが1年たって前年比の上昇が剥落し、1月の宿泊費は前年比0.6%の上昇(昨年12月は44%の上昇)に戻り、物価押し上げがなくなりました。これによって、「コアコア」が前月の0.3%下落から0.7%の下落となり、その分、コア、全体の物価も押し下げました。
それ以外では、食料が前年比2.1%上昇して物価全体を0.53%押し上げました。今回は生鮮食品以外の一般食材の上昇が寄与しています。またエネルギ-が19.9%上昇して、全体を0.87%押し上げています。特に電気代が19.3%上昇して0.47%押し上げ、ガソリンの押し上げ分0.11%を大きく上回っています。
通信費は33%下落して、全体を1.15%押し下げていますが、これも3月で一巡します。
前年の綾を除いて、直近3か月の瞬間風速を見ると、全体が年率2.0%、コアが1.2%、コアコアが0.8%の上昇となっています。また通信費を除いた前年比上昇率は全体が1.4%、コアが1.1%の上昇となりますが、全国は東京都よりもエネルギー、通信費のウエイトが大きいので、4月分の上昇はこれよりも高くなりそうです。