市場予想よりタカ派的だったパウエル議長会見 | 経済あらかると

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 昨日の米国FOMC(連邦公開市場委員会)は、予想通り3月でテーパリングを終了し、利上げが近い(3月)ことを示唆しました。ここまでは市場の予想通りで、市場はこれをすでに織り込んでいたので、発表直前まで株価は反発していました。

 

 ところがパウエル議長の会見が始まり、内容が明らかになるにしたがって、長期金利が大きく上昇し、株価は反落しました。発言内容が予想以上にタカ派的でした。つまり、2015年の時とは明らかに状況が異なり、今回は利上げ余地が大きいこと、そして近いうちに資産縮小を始めるのが適切で、そのスケジュールを近いうちに公表する、と述べました。

 

 そしてFRBが保有する8兆ドル余りの資産の縮小について、満期が来た債券の再投資を減額することで、大規模な縮小が可能になるといい、MBSから米国債へと保有資産をシフトするといいました。住宅セクターへの信用補完は好ましくなく、各セクターへの信用配分に与える影響を最小化する、と述べました。

 

 これらの発言を受けて、10年国債利回りは、それまで前日水準に近いところにあったのが、一気に1.87%まで上昇、ダウはマイナス圏に落ち込みました。ドルは上昇し、ドル円は114円台半ばまで上昇しました。

 

 FRBのインフレ予想は明らかに間違い、予想以上に高く、長期化している一方で、政府が中間選挙までにインフレ抑制の「結果」を求めていることから、FRBは引き締め転換を急ぐ必要があります。市場が不安定化してでも政権のインフレ抑制にこたえるのか、今後のやり方が注目されます。