消費者を襲う食料インフレ | 経済あらかると

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 総務省は12月の全国と今年1月の東京都区部の消費者物価を公表しました。これによると、生鮮野菜を中心とした食料品価格の高騰が、消費者の財布をかなり圧迫している姿が浮き彫りされました。

 

 日銀が指標として注目する「生鮮食品を除くコア」は、12月も前年比0.9%の上昇と、前月と変わらず、さらにエネルギーも除いた「コアコア」も前年比0.3%の上昇と、前月と同じ結果となりました。しかし、消費者の財布に直接かかわる全体の上昇率はついに1.0%に達しました。前月の0.6%上昇から大幅な上昇となりました。

 

 この内訳を見ると、生鮮食品の押し上げ分が0.21%(前月はマイナス0.29%でした)、生鮮品を除く食料品が0.26%、エネルギーが0.54%押し上げていて、食品とエネルギーの上昇で1%以上押し上げている形になります。

 

 しかも、この統計では実際に払っていない「民間の帰属家賃」の下落が、統計を押し下げていて、これを除いた実態ベースの物価上昇率は1.3%の上昇となります。これが実質消費、実質賃金の計算に使われます。12月の賃金、消費が名目でこれ以上増えていないと、実質値はマイナスになります。

 

 この食料品インフレは、年明けにさらに加速しています。1月の東京都区部のCPI上昇率は、コアが前年比0.7%(前月は0.8%)、コアコアが0.4%(前月も0.4%)の上昇となっていますが、生鮮品も加えた全体の上昇率は1.3%と、前月の1.0%から加速しました。

 

 生鮮食品の上昇寄与が0.63%と、前月の0.25%から大きく加速しています。レタスの2.7倍をはじめとして、生鮮野菜が24.5%上昇、みかんも17%上昇しています。

 生鮮品を除いた食料品の上昇寄与が0.19%あり、食品全体で0.82%も押し上げています。これに電気、ガス、ガソリンなどのエネルギーが0.35%押し上げています。

 

 さらに、ここから実体のない帰属家賃を除くと、現実の物価は1.7%の大幅上昇となっています。1月の実質賃金は、かなりの確率でマイナスとなりそうです。

 消費者が実感として感じるインフレは、この1年で3%から5%となっています(日銀の生活に関するアンケート)が、食品やエネルギーなど、身近な物価が実際これ以上に上がっているのをみると、うなづける面があります。そして8割りの消費者はこれに「困っている」と言っています。

 

 こうした状況を顧みず、ひたすら2%の物価上昇を目指して邁進する日銀は、国民の利益からは全く乖離した存在になりつつあります。