圧勝でも晴れない安倍総理の心境 | 経済あらかると

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 大義なき解散と言われながら、自公で再び3分の2以上の議席をとり、圧勝した安倍総理ですが、TVカメラの前で見せた表情は、とても圧勝したリーダーではありませんでした。何かが不本意だったようです。

 

 それは、総理の最終目標である憲法改正に目途が立たないことです。今回選挙で「改憲勢力」といわれる党が優に3分の2を超える議席をとったので、国会の発議には問題ありません。しかし、2つの壁がはだかっています。

 

 1つは得票率です。選挙区で自民は圧勝しましたが、選挙区で過半数をとって勝った議員は、神奈川の小泉進次郎氏など、ごく一部で、その他はほとんどが50%の得票に届かず、野党が食い合いして自滅したおかげで勝てたようなもの。比例区の得票率も50%には遠く及びません。

 

 これでは憲法改正の発議はできても、国民投票で過半数の賛成を得る保証はありません。国民投票で負ければ、与党は責任を取らざるを得ません。アベノミクスや子育てよりなにより改憲に夢を託してきた安倍総理にとって、今回の選挙結果は「失望」となった可能性があります。

 

 しかも2つに、野党第一党が改憲に反対の立憲民主党になったことです。改憲論議において、野党第一党の意向は無視できないと安倍総理は言っています。希望の党が野党第一党なら、改憲論議を進めやすかったのですが、枝野新党は反対し、それなら「もり・かけ」だ、と迫るかもしれません。

 

 今回は小選挙区制の「魔術」で自民が圧勝しましたが、国民投票に「魔術」は通用しません。改憲に目途が立たず、「もり・かけ」などで攻められるとなると、総理も気が重くなるのはわかる気がします。