閣僚訪欧でも欧州の対米不信ぬぐえず | 経済あらかると

経済あらかると

生活を豊かにする経済情報を提供します。

 トランプ政権が相次いで閣僚を欧州に送り込み、EUとの関係を重視すると説いて回りましたが、欧州のトランプ政権への不信感は払しょくできていません。

 

 トランプ大統領の対欧州発言は、それほどインパクトが強く、欧州に警戒感を高めてしまいました。そもそも、英国のEU離脱を礼賛し、これに続く国が出るとあおりました。更に、NATO(北大西洋条約機構)は時代遅れだといい、米国の出資額を減らすとも脅していました。トランプ大統領の意識の中に、EUを分断して米国が優位に立つ発想があります。

 

 この「トランプ・ショック」を緩和しようと、トランプ政権から、マティス国防長官、ティラーソン国務長官、そしてペンス副大統領が相次いで欧州を訪問し、各地で「修正活動」を展開しました。マティス長官は「NATOが時代遅れだなど、全く思っていない」とトランプ発言を真っ向から否定、ペンス副大統領も「EUとの関係を深める方向を探している」と述べています。

 

 さらにペンス副大統領は、ウクライナ問題でロシアに責任を負わせると言い、トランプ大統領の認識と一線を画しました。

 

 ところが欧州の反応は今ひとつ。フランスのエロー外相は「ペンス氏はミュンヘンでの講演でEU支持という発言をしなかったのは衝撃的だ」と批判し、またほかのメンバーからも「20分の講演の中で大統領という言葉を19回も発した。権力者のロボットだ」との批判も聞かれます。

 

 また欧州議会のエルマー・ブロク外交委員長は「マティス、ティラーソン、ペンスがここに来てNATOの重要性を論じても、明日の朝トランプ大統領がツィッターで何を書いてくるか分かったものではない」と不信感をあらわにしました。この辺が欧州の本音かもしれません。