トランプ大統領に焦り? | 経済あらかると

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 トランプ大統領は16日に単独会見でメディアと一大バトルを演じた後、18日にはフロリダ州メルボルンで、支持者を前に、この1か月の「驚くべき成果」をアピールしました。
 
 トランプ政権は確かに混乱を見せています。任命した閣僚が1か月もしないうちに辞任を余儀なくされたり、指名された候補が辞退したりして、人事面での遅れが目立ち、これが政策策定の遅れにもつながっています。
 
 一方で彼は「有言実行」しているのも確かで、物議をかもしたメキシコ国境への壁建設も、イスラム系の入国制限も、ある意味では選挙キャンペーンで示した「公約」を実行しているにすぎません。これを支持する人が半分いる一方で、猛烈に反対する人も半分いるわけで、いまだに全米で反対デモが続いています。
 
 この「混乱」を増幅させているのが、トランプ氏のメディア敵視であり、メディアはうそつきだと言っていることです。国民の中にはどちらが「真実」かわからなくなり、何を信じたらよいのかわからなくなっている面もあります。
 
 16日の記者会見では、結局77分間、大統領とメディアとの争いに終始し、本来の大統領の意図、方針を国民に伝えるという機能が果たせないまま、どちらが「嘘つき」かに終始しました。トランプ氏に近い人物からは、トランプ氏を「サイコパス」とする見方も提示されています。つまり、「トランプ氏は平気でうそをつくが、本人はそれを嘘と認識せず、真実と信じてしまう」病的なものと説明しています。このため、「真実論」を展開してもらちがあきません。
 
 ここまで大統領の権限で、つまり「大統領令」で行けるものについては、恐ろしい勢いで「成果」を上げてきました。しかし、法整備や予算手当てが必要なものについては、スタッフの協力が不可欠です。いつまでも「裸の王様」ではいられません。いずれ政策が行き詰まります。
 
 まずは「一般教書」演説、「予算教書」演説を行い、具体的な経済政策を提示すことです。これがいつまでも出てこないと、市場も次第に不安になります。すでに金利やドルなど一部にその兆候が見られるようになっています。