一体感・ノリを生み出す | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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こんにちは。園庭研究所の石田です。

『保育本来の遊びが障害のある子どもにもたらす意義 -「障害特性論に基づく遊び」の批判的検討から -』松井剛太 氏(香川大学)のご研究のつづきです。

<以下、松井氏の論文より抜粋(文章の流れを考慮し、一部調整して書いています。)>

 

障害のある子どもたちのクラスにおいて、ペットボトルなどの遊材で道を作り、教 師が子どもたちと一緒に歌を歌い、楽しみながら道を歩いた結果、クラス4名全員が同じように楽しむ姿が見られた。

この事例では、このような教師の行為がクラスの一体感を生むきっかけになったと考えられる。

 

クラス活動で逸脱する子どもや、障害のある子どもの研究においては、一体感に関わる以下のような研究がある。

・クラスで逸脱する幼児の行動を分析したところ、逸脱の原因として「ノリ」の非同調が考えられる。クラスで歌や手遊びを提示し続けることによって、クラスからの逸脱児が次第に周囲に位置づく。(ノリ=関係的存在としての身体による行動による基底のあるリズム、およびその顕在の程度、すなわち、リズム感、また身体と世界との関係から生み出される調子、気分のこと)(岩田、2008)

・障害のある子どもも含めて集団で楽しめる遊びについて、わらべ歌に代表されるような「リズミカルで身体と言葉を基にした動きを楽しく繰り返しながら共有していく活動」が有効である。(柴崎、2009)

・集団遊びに入らなかった自閉症児が、歌と手遊びをきっかけに集団遊びに加わり、楽しむようになった。(松井、2011)

・正統的周辺参加の理論より、共同体の一員として楽しいという気持ちを持っていれば、その中で学ぼうという気持ちがなくても学びは生じうる。(渡部、2001)

 

保育において、集団活動に障害のある子どもを入れたほうが良いのか、入れないほうが良いのか、という悩みをよく聞く。

その問いは、「障害のある子どもを入れるかどうか」というものではなく、「障害のある子どもも入りたくなるようなノリが作られているかどうか」という言い換えができよう。

そして、そのノリを作るには、保育者の役割が大きい。

 

(続きます)

 

園庭研究所 代表 石田佳織

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