柴井 太朗の洋楽かれいどすこうぷ -5ページ目

【エンゲルベルト・フンパーディンク/17】

それではお待たせの中身に入っていこう。
まずはオープニングナンバーであり、またシングル化もされたタイトル曲から。

〇『この熱き腕の中に(Don't You Love Me Anymore)』

アダルト・コンテンポラリーチャートでは最高位41位を記録した、またAORの“かくれ名曲”としても親しまれている楽曲である。

作者はキャロル・ベイヤー・セイガー(詞)とブルース・ロバーツ(曲)というこれまたたまらないコンビである。

キャロルは数々の名曲を送り出しているもうAORファンならずともおなじみの作詞家。
この当時はバート・バカラック夫人だった時期で、自らのオリジナルアルバムもリリースしていたこともご承知かと思う。

ブルースは特にAORフリークに人気の高いシンガーソングライターである。

自作のアルバムも発表しているが、この時期は様々なアーティストのアルバムで名を見つけることが出来る(詳しくは改めて)。

この曲の初演は77年にデビー・ブーンが果たしているが、その後リサ・ハートマン(女優兼シンガーで、コニー・フランシスの『ボーイ・ハント』をカバーしたことでも知られる)やB.J.トーマス、クリス・クリスチャンといったところがカバーしている。

そしてバックにはジェイ・グレイドン、デヴィッド・フォスター、ジェフ・ポーカロらが顔を揃え、絶妙のサポートを行っている。

以前からのエンゲルファンの間では評価が分かれていたようだが、時のトレンドをいち早く採り入れるというのは、やはりエンゲルの感性の高さであろう。

~続く

【エンゲルベルト・フンパーディンク/16】

この他にも目移りするばかりのセッションメンバーが参加している。

もちろん曲により異なるのだが、ジェフ・ポーカロ,エド・グリーン(ドラムス)、デヴィッド・ハンゲイト,デニス・ベルフィールド(ベース)、ジェイ・ワインディング,ビル・マイヤーズ(キーボード)といった豪華なメンツである。

更に、バックボーカルに当時は〈ペイジス〉として活動していたリチャード・ペイジとスティーヴ・ジョージの名もある。

言うまでもなく、この後に〈Mr.ミスター〉を結成して大ブレイクを果たす二人である。

またやはり一部の曲のバックボーカルを務めているトム・ケリーもAORファンにはおなじみの名前であろう。

ダン・フォーゲルバークのツアーメンバーから身を起こし、自らのグループ〈フールズ・ゴールド〉~〈I-Ten〉を結成して活動。特に後者のパートナー、ビリー・スタインバーグと共に世に送り出した楽曲といえば、『ライク・ア・ヴァージン』(マドンナ)、『トゥルー・カラーズ』(シンディ・ローパー)、『すてきなSomebody』(ホイットニー・ヒューストン)等。

何故か女性ボーカリストのヒットが多いのであるが(笑)

ただこのコンビの作品は入っていないので念のため。

さて随分と前置きが長くなってしまい申し訳ないが、楽曲提供のライター陣も当時のキーマン的な顔ぶれであるので併せてご紹介していく。

~続く

【エンゲルベルト・フンパーディンク/15】

まず、ニック・デカロといえば特にAORのお好きな方々にはおなじみの名前ではないだろうか。

本職はアレンジャーながら、自ら歌ったアルバム『イタリアン・グラフィティ』はAOR史上に名を遺す名盤であることはご承知かと思う。

代表的な楽曲『ジャマイカの月の下で』はラジオオンエアもよくされていた。

また、山下達郎の『クリスマス・イヴ』の英語カバーを出していることも知られている。

惜しくも早逝してしまったが今なお根強い支持を得ているアーティストである。

もう一人のゲイリー・クラインは実力派ボーカリストのプロデュースに定評のある人だ。

この当時はマック・デイヴィス、グレン・キャンベル、バーブラ・ストライザンドといったボーカリストを次々成功に導いていた。

この両者のタッグに加え、メインギタリストにはご存知ジェイ・グレイドンが、そしてデヴィッド・フォスターとの競演もある。

これだけのメンツが揃えば、興味が湧かなくてはウソであろう。

~続く