インドネシア博物館めぐり
インドネシアのジャワ島を西から東へと旅しているわれわれであるが、まず最初に訪れたのは首都ジャカルタであり、次にジョグジャカルタへと向かった。
インドネシアにはどんな美術があるのかといつもどおり博物館めぐりを敢行しようとしたのだが、そうした好奇心をくじくくらい暑かった。
とにかく蒸し暑かった。
もう、いいや。
暑いし宿にいようよ。
という態度は旅人としていかがなものかと思うが、無理をすると下痢もひどくなりそうであり、われわれは
「近くの博物館にピャッと行って、ご飯食べて宿に戻って夕方まで休憩」
という日々を繰り返した。
インドネシアの人々は、われわれには「酷暑」と言える蒸し暑さのなかでも長袖のトレーナーやジャンパーを着ている。
最初は「イスラムの女性は肌を出してはいけないのだろうな」とか「バイク乗ってるからかな」などと思っていたが、その辺を徒歩で歩いている男性もトレーナーを着ている。
みんながみんなではなく、Tシャツのラフな格好の人ももちろん多いが、しかし無視できない一定程度の比率で長袖を着用しており、インドネシア人の汗腺はどうなってんだ。
本当に不思議である。
そのようなけだるさの中見てまわった博物館は、バティック(ろうけつ染め)や影絵芝居の「ワヤン」、仮面などインドネシア独特の文化を紹介するものだった。
特にジョグジャカルタのソノブドヨ博物館は、インドネシアではめずらしく冷房が効いており、展示の仕方も新しく秩序だっていた。
敷地内には影絵人形のワークショップがあり、おじさんの呼び込みのままに近づくと、職人が水牛の皮にたがね(工具)を当て、ハンマーで打ちつけ模様をつけている。
一つの人形を作るのに2週間かかるそうだ。
おじさんはカタコトの日本語をまじえ、
「これはピエロで、いい奴なんだ」
「こいつは王だがプレイボーイだ」
などと、それぞれの人形のキャラクターを調子よく説明してくれる。
興味深く聞いていたが、次第に高価な土産品のしおりを勧めてきたのでそこで興味がなくなり、話を打ち切って移動したのであった。
博物館をまわっているとインドネシアの文化もまた固有のものであり、近隣の国、フィリピンともマレーシアとも違うとわかる。
しかし影絵芝居という点では遠く離れたトルコの「カラキョズ」を思い出したりもする。
これまで訪れた国々の博物館を振り返りながら違いや共通点を探すのも、長期旅行の楽しさの一つだ。
以下、ジャカルタのワヤン博物館と、ジョグジャカルタのソノブドヨ博物館の展示品からお気に入りを抜粋する。
(ワヤンには影絵だけでなく、木製の人形もあるよう。
頭の柄が人形ごとに違い、一つ一つが違うキャラクターなのだとわかる)
(影絵芝居の中には『ロミオとジュリエット』のようなラブストーリーもあるのだと、ソノブドヨ博物館のワークショップで聞いた)
(ソノブドヨ博物館ではこれに限らず変顔仮面が多数展示されており、変顔に関するインドネシアの熱意を感じられる場所だ)
(数ある仮面の中で一番好みの顔)
(王室や貴族のための御輿の装飾。
この表情はあざとさを狙ったときの夫に似ている。
神輿にはほかにもガルーダ(霊鳥)やヘビらしき動物がくっついていた)
(………。)
(全体像は大きくて写せなかったが、この人形が船に乗っており弦楽器らしきものを持っている。
顔立ちが日本のとある歌手を連想させ、「あばよ」と口ずさみたくなった)
夫のインスタ⇩ 済州オルレの途中、腹が減ったときにちょうどうどん屋があった。