ボロブドゥール観光は続く【ハジ•ウィダヤッ美術館編】 | ハゲとめがねのランデヴー!!

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『深夜特急』にあこがれる妻(めがね)と、「肉食べたい」が口ぐせの夫(ハゲ)。
バックパックをかついで歩く、節約世界旅行の日常の記録。

 

ハジ・ウィダヤッ美術館

 


遺跡の町ボロブドゥールでの観光はまだ続く。

 

その日は中心部から少し離れたところにある美術館に向かった。

インドネシアの近代絵画が見られるという。

 

「ハジ•ウィダヤッ」という名前にはもちろん聞き覚えがなく、いったいどんな絵なのか想像もつかないが、まあせっかくだしインドネシアの画家の絵を見ておくのもよかろう、という程度の期待だった。

夫にいたってはいつも通りわたしについてきただけで、特に興味もなさそうなそぶりであった。

 

しかし美術館に入った瞬間、わたしと夫は立ちつくした。

 

ああ、これは大変だ……。

 

もこもことした絵の具の筆致が、モチーフをかわいくやわらかく幻想的にしている。

夫もわたしも一瞬で魅了され、これらの絵を片っ端から眺め尽くして写真も撮るのはいかにも大変そうだがやるしかあるまい、ああ大変だ大変だ、と思ったのである。

 

白い内装のこの美術館は2階建てで、たまに夫を急かしながら順に見ていく。

夫も博物館や美術館で時間のかかる人間であり、放っておくといつ動くかわからないからである。

 

1階の絵はざらざらした質感が美しい絵の具厚塗りの作品が多かったが、2階は表面が比較的つるっとした描き方のものも目立った。

きっと画家人生の中でさまざまな手法を試したのだろう。

 

他の誰とも違う画風ではあるが、ときにパウル・クレーと共通する淡い抽象、ミロのような軽快さ、シャガールの幻想などと共通する要素も感じる。

 

モチーフについてはアダムとイブ、ノアの方舟などキリスト教に関するものが散見されたが、イスラムをテーマにした作品もあった。

 

一人の画家のなかにも「ガドガド」(インドネシア語で「ごちゃ混ぜ」)な精神があるのだなあと、妙にインドネシアらしさを感じた。

そういえば入り口のホール正面に飾られている大作のタイトルは「GADO-GADO」であり、そこにこの画家のあり方が象徴されているのかもしれない。

 

また、この画家の中には日本も存在している。

スタッフのおじさんが夫に、

 

「この画家は日本で2年間陶芸を習っていたんだ」

 

と教えてくれたらしい。

たしかに日本を感じさせる木々の絵や、ピカソの陶芸のような遊び心あふれる皿も展示されていた。

 

予想以上の数と質にめまいがしつつ、やっと本館を見終わったと思ったら別館もあるという。

 

そこにはインドネシアのさまざまな画家の大作があったがすでに精根尽き果てたわたしと夫は

 

「疲れたお腹すいた早く食堂行きたい」

 

という一心で軽く見るにとどめた。

しかしさらに奥には庭があり、石像やオブジェもあって見どころが尽きない。

博物館を出るころには本当にお腹がすいてたまらなかった。

 

そのようにして予想を裏切る充実ぶりのこの美術館は、ボロブドゥール遺跡や首都ジャカルタ、ジョグジャカルタで訪れたどの観光スポットよりも楽しかった。

 

そして夫も同じように、この画家の絵をとても気に入っていたということが、わたしの美術館での幸福度をさらに高めたのだった。

 

 

(美術館の中には絵画のほか、高さのあるポールやオブジェなどの立体作品もある)

 

(女性がまとう布もきれい。わたしの一番お気に入りの作品)

 

(ノアの方舟はハジさんが繰り返し取り組んでいたテーマのよう。

この美術館でも複数枚あり、他の美術館でも見かけた)

 

(ソロモン王をモチーフにした絵の細部。

想像上の生き物だろうか)

 

(まろやかな青緑の木々のかさなりに、一瞬、東山魁夷を思った)

 

(タイトルは「日本でストリップショーを見る」。

 

ハジさんが日本で印象深く感じたのは桜とストリップだったのか。

富士山や枯山水や和食よりもストリップだったのか。

ストリップは一体誰が見せたのであろうか……)

 

(油絵だけでなく水彩やスケッチも展示されていたが、その遊び心にあふれた作品群から、どんな形からでもアートを生み出せる画家なのだとわかる)

 

(思いつきから絵が生まれていく過程が目に見えるよう)

 

(縁日で並んでいるような楽しげな仮面)

 

(メッカ、カーバ神殿)

 

(美術館の庭)

 

(バリ島、ウブドのネカ美術館にあった桜の大作。

タッチが特徴的なのですぐにハジさんのものだとわかり、「あっ!」と嬉しさが込み上げた)

 

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夫のインスタ⇩ 夫のケータイは植物の写真だらけ