一種なんぼ 最終回
今回は、賃貸事務所ビル建設想定の一種当たり坪単価から土地価格を求める方法を紹介します。
土地価格
=坪単価*土地面積
=一種当たり坪単価*基準容積率*土地面積
ここまでは、当然、分譲マンション想定と同じですね。
一種当たり坪単価の計算式が変わります。
一種当たり坪単価
=賃貸月坪単価*12ヶ月*(1-空室率)*レンタブル比*(1-経費率)/還元利回り-建築工事費坪単価
これに前回の設例条件を当てはめると、
一種当たり坪単価
=月坪20千円*12*90%*70%*70%/7%-坪800千円
=坪712千円
これに基準容積率を掛けてやれば土地の坪単価が、更に土地面積を掛けてやれば土地価格が求められるのは分譲マンション想定と同じです。
収益物件用地であれば、用途に応じて適用してやればOKです。
なお、開発リスク、時間リスクについては、
分譲マンション想定では開発諸経費比率でほぼ考慮済み、
収益物件想定では考慮されていません。
したがって、収益物件については、
開発リスクに応じた割引率で、
開発想定期間分の割り戻しが必要です。
ついでに、一種なんぼとは関係ないですが、
戸建分譲適地の掴みはOK価格は、分割利用の開発法を簡便化して、
土地価格
=土地販売総額-開発諸経費
を基本式にして
土地坪単価
=販売坪単価*(有効宅地化率-開発諸経費率)
で掴みます。
有効宅地化率は、ざっとした区画割を想定し、道路等の潰れ地の割合を把握して査定します。
ざっとで言えば8割程度でしょうか。
開発諸経費率は販売坪単価に対する比率でとらえ、規模に応じて5~15%といったところでしょうか。
まとめとしては、販売坪単価の6~8割の水準ということで掴みはOKです。
ただし、不動産業者さんは、建物込みでなんぼで売れるか
から逆算して土地を仕込みますから、建物で利益を取って、土地は原価割れ、といったパターンも見受けられ、実際には掴みはOK価格より高く仕入れるケースが多いです。
具体的な数字は控えますが、原価を見ていると戸建分譲住宅は買う気が萎えます。
程度のいい中古住宅をリフォームする方がいいと感じています。
ただ、リフォームも曲者ですが。
お気をつけあれ。
一種なんぼ 4
今回からは、収益物件想定の一種坪単価アプローチです。
土地残余法の変形である建物価格控除方式を使います。
<基本式>
土地価格
=収益価格-建築工事費
設例
想定建物:事務所ビル
土地面積:500坪
基準容積率:500%
容積対象延べ床面積に対する賃貸対象床面積比率(レンタブル比):70%
賃貸月坪単価:月坪20千円
空室率:10%
建築工事費坪単価(容積対象床面積当たり):坪800千円
経費率(有効総収益比、NOIベース):30%
還元利回り(NOIベース):7%
以上の設例を基本式に当てはめると、
有効総収益
=月坪20千円*12ヶ月*500坪*500%*70%*(1-10%)
=378,000千円
NOI
=有効総収益*(1-経費率)
=378,000千円*(1-30%)
=264,600千円
収益価格
=264,600千円/7%
=3,780,000千円
建築工事費
=坪800千円*500坪*500%
=2,000,000千円
土地価格
=3,780,000千円-2,000,000千円
=1,780,000千円
土地坪単価
=1,780,000千円/500坪
=坪3,560千円
一種当たり坪単価
=坪3,560千円/500%
=坪712千円
以上が土地残余法(控除法)の簡便的な適用例です。
これを分譲マンション想定と同様に、電卓一算で、一種当たり坪単価から土地価格を求める方法を次回紹介します。
相続税路線価
今日、恒例の相続税路線価が公表になりました。
毎回不思議に思うのは、なんで夕刊の一面記事になるんですかねぇ。
「路線価4年ぶり下落」とか書いてありますが、価格時点は1月1日で公示価格と同じ、価格のベースも公示価格なので、3月の公示価格が公表された時点で相続税路線価がどうなるかは、分かり切った事だと思うのですがねぇ。
価格水準は公示価格の約8割ですが、用語解説を見ずに読んだ人には平米いくらとか書いてあっても、価格水準を誤って認識してしまうように思えてなりません。
どうせなら公示価格水準で路線価を公表し、相続税なら8割、固定資産税等は7割をベースに課税標準額を決定することにすればすっきりすると思いますが、役人の皆さんいかがですか?