盲目的な恋と友情 | 日々のこと

日々のこと

母と小学生女子の日々の記録です。

盲目的な恋と友情
辻村深月





読了。

何かの動画で誰かが紹介していて ←適当

図書館で借りました。



タイトル通り、盲目的な二人の話です。



前半は元タカラジェンヌを母に持つ美少女

蘭花の視点で描かれた「恋」のパート。



後半は外見に自信を持てない

それでいて優秀な能力も持ち合わせた

るりえ視点の「友情」のパート。



自分が『特別であること』に執着して

冷静で客観的な見方を欠いた二つの世界。


恋愛においても友情においても

自分が特別なんだと感じさせるものって

なんであんなに甘美な充足感を

与えてくれるんでしょうね。



自分の存在価値をも満たしてくれる

多かれ少なかれ誰もが

望む思いなんだと思います。



執着しすぎた二人のストーリーは

自分の中にもどこかに潜むような

一歩感覚をスライドさせれば

盲目的にもなり得るような危うさや



逆に「自分はここまでじゃない」と

確認して安心するような

自分の感覚との違いや似た部分を

そこここに感じながら一気に読みました。




蘭花は恵まれた容姿や環境のなか

恋愛を深く知らないまま

星近と出会い必然のように関係を持つ。

この素晴らしい男が選んだのは

私なのだと、これは必然なのだと。



るりえは容姿の美醜に悩まされながらも

自分を特別だと思わせるものに

強く惹かれていく。

逆に自分を特別視しないものには

過剰な敵対心を持って否定する。

この素晴らしい友人が選んだのは

私なのだと。



これは歪んだ感情なのか、あるいは

素直な自己肯定感のなせる業なのか。



彼女たちは盲目的に

恋や友情に執着しながらも

結局は相手というよりも

特別な存在である自分に執着しているのだと思います。



他の注目ポイントは

星近の面白いほどの堕落ぶり。

動画のくだりは本物のクズです。


美波の世渡り上手ぶり。

この本で一番健康的なのは彼女。


菜々子の気持ち悪さ。

バレたあと星近は干されたけど

彼女はどうなったんだろう。

また別の星近を探すんでしょうか。



面白かったけど

ちょっと文体に少女趣味くささや

若干のムナクソ感とともに読了。



★★★☆☆





かがみの孤城

これも同じ作者さんなんだな。

おでれーた。