サイボーグ009 | 葉ぼたんのブログ

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石ノ森章太郎さんのサイボーグ009は、生誕60周年を迎えます。そのお祝いの一環として、舞台化されたそうです。脚本は亀田さん、演出は天才演出家の植木豪さんです。

豪さんは、コメントで「小さい頃から大好きな作品」と言っていました。原作の設定を大切にしながらも、ヒップホップ全開の舞台でした。いかにも豪さんらしいなと思いました。


島村ジョーは、少年院から脱走している途中崖から転落し、気がついたら体をサイボーグへと改造されていた。困惑しているとある声が聞こえ、導かれるままに敵を倒して逃げ出す。そこで出会ったのが同じくサイボーグ化された001~008たちとギルモア博士だった。

ギルモア博士は、ブラックゴースト団に所属していてジョー達のサイボーグの手術をした張本人だった。

ジョーは怒るが、仲間たちに「ギルモア博士はブラックゴースト団の悪を止めようとしている。そのためには同じ力を持つ我々サイボーグ達が戦わなければならない。」と説得される。

そこへブラックゴースト団の刺客たちが襲ってくる。その中の2名は、0010を名乗るサイボーグだった。最新最強の力を持つ彼らに、サイボーグ009達は敵わず、逃げ延びた。

島村ジョーは、0010と名乗った2人が少年院にいた双子の兄弟(シキとリク)そっくりだったことに気付く。孤独で苛められていたジョーは、二人に救ってもらった過去がある。

ジョーは、0010がシキとリクなら、二人を助けたいと敵のアジトへ向かおうとする。仲間達は止めるが、ジョーは行ってしまう。

さて、ジョーはブラックゴースト団に立ち向かいシキとリクを救えるのか。ジョーの戦いが始まる。


原作を知らない人も楽しめる作品になっていると思います。サイボーグ達のそれぞれの過去のエピソードが紹介されていましたので、そこでキャラを覚えられます。

それによると島村ジョーは孤児で少年院にいたことになってました。

えっ!?

私の記憶では、島村ジョーはオートレーサーで、事故を起こして救急搬送されたけれど、救急車は病院に行かずに行方をくらましたような気がしていたのですが....

後から調べたら、原作は今回のストーリー通りに少年院から脱走という設定でした。初期の映画の設定がオートレーサーなんですね。加速装置がついているので、前職はレーサーだったと子供心に思ってました。設定替えは、少年向けアニメの配慮だったのでしょうか。


サイボーグ0010の双子の兄弟が出ていました。オリジナルキャラ?と思いましたが、原作にも出てきているキャラでした。

彼らは、「少年院出たら、海の見える丘でレストランを経営しよう」という夢がありました。ラストのシーンが、この夢と重なってジーンとしました。


主役の島村ジョーは、七海ひろきさんが演じていました。少年っぽさが出ていてよかったです。男性相手にアクションシーンを演じるので、なかなか大変だったと思います。

002のジェットは高橋駿一くんが演じてました。ザ・サーカスのブルー、黒執事のアガレス副校長、D4の谷ヶ崎などに出演しています。彼はアクロバットがすごいので、空を飛ぶジェットにぴったりだと思いました。

宙吊りになって空を本当に飛ぶシーンもありました。かっこよかったです。

004のアルベルト役は里中将道くん。原作のアルベルトはいかにも機械人間という感じですが、舞台のアルベルトはイケメンでかっこよかったです。ダンスの上手い人たちに囲まれてましたが、彼のダンスもとても強そうに見えました。

005のジェロニモは、桜庭大翔くん。ハイキュー!!の梟谷の木兎さん役の人ですね。一段とマッチョになっていました。彼は、クランプのダンスが得意で、今回のダンスもそれを取り入れていました。ジェロニモの力強さが出ていて、とてもぴったりだと思いました。

007のグレートブリテンには、川原一馬くん。彼はダンスが上手いので、実力発揮した感じです。途中タップダンスのシーンがありました。かつて豪さんと共演した作品で彼がタップダンスをしていたのを思い出しました。きっとあのタップダンスシーンは豪さんからの提案だったと思います。

008のピュンマ役は、Toyotakaさんでした。あんなにダンスの上手い人がチームにいたら、踊ると目立ち過ぎちゃうのではないかと予想してましたが、杞憂でした。ちゃんとチームに溶け込んで踊っていたので、さすがだなあと思いました。

原作のピュンマは、アフリカの人なので黒人ですが、Toyotakaピュンマは日焼けしたぐらいの色合いでした。

敵の0010は、滝澤諒くんと相澤利多くんでした。滝澤くんはレイルウェイで初めて見て、その後うつけ坂48とかKING OF DANCEなどで時々見ていました。ダンス上手いしファンサービスがすごい人です。相澤くんは、ナナシのブコツ執行官の人ですね。

二人ともアクションがすごかったし、ラストの演技には涙しました。


ブラックゴースト団のボスは、仮面をつけ全身真っ黒でマントを翻して、いかにも悪役として登場していました。KSBの舞台に「マスター」と呼ばれていた悪役のボスが登場していたのですが、それとそっくりでした。

カテコで仮面を外してくれたのですが、その顔を見て驚きました。

中塚皓平さんだったんです。DIAMOND☆DOGSのダンサーさんです。

どうも動きが綺麗で、ダンスやっている方っぽいなと思ってはいたのですが、皓ちゃんだったとは驚きました。

彼も周囲を固めるキャストになったのだなあと感無量でした。


子供の頃はただかっこよくてサイボーグ009を見ていたのですが、大人になった今、この作品を見るとその時代をよく表していて設定が深いと思いました。

島村ジョーがハーフで、母を幼い時に失くし父は外国人だがわからない。それゆえに孤独で少年院でも苛められる。

アルベルトは東ドイツ出身で、西ドイツに恋人と亡命しようとする。しかしながら見つかり、恋人が殺され自身も大怪我を負う。だから、サイボーグの中でも一番機械化の部分が大きく「人間兵器」と呼ばれる。

ジェロニモは、アメリカの先住民インディアン。ピュンマは、ケニアの独立運動家。どちらも自分達を守る戦いの最中に怪我を負っている。

どのキャラも、その国の重い歴史を背負っています。それと同時にサイボーグとして戦いながら、人間の心を持つことの意義を感じています。そんなところが深いなあと思いました。

改めて石ノ森さんは、すごい作家だったのだなあとリスペクトしました。


私が観たのは千秋楽でした。カーテンコールは、スタンディングオベーション。客席には男性が結構いらっしゃいました。原作ファンなのでしょう。

もう一度見たいなと思った作品でした。Blu-rayになるようなので、購入したいと思います。

日本青年館ホールで5/18-5/26まで上演でした。