「ブレイクブレイド」と「劇場版ブレイク ブレイド」、ふたつの笑顔の余韻の響き | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

TVアニメ「ブレイクブレイド」第十二話「エンドレス・フェイト(永劫回帰)」
で、ライガットは、もう会えないと思っていた弟のレガッツと再会する。しかし
喜んだのもつかの間、彼は厳しい言葉を弟から突きつけられる。
「何やってんだよ。」と。それはかつてライガット自身がゼスに、時が過ぎ、
あの頃と変わってしまった友へと投げかけた言葉でもあった。

ライガットは親友の国を守るために、強大な、いまの世界の「力」の象徴のよう
なボルキュス将軍と戦い、倒した。けれど、ライガットの表情に達成感のような
ものは、何ひとつ浮かんでいない。風景のなかには戦いの爪あとが深く刻まれて
いるし、ゼスとも話ができていないままだ。親友たちとの関係が、これからどこ
へ向かってゆくのかは、今はまだ誰にもわからない。そうして、世界の行方を
ぼんやりと探すライガットの視界のなかに、レガッツは不意にあらわれた。

出ていったきり、ずっと帰ってこない兄のことが心配だから。

世界情勢も、「魔力」の有無も、友情も、そのほかの感情も絡み合うことのない、
シンプルな気持ちひとつで、レガッツはそこに立っている。通りすがりの兵士
とも、穏やかに言葉を交わしていた彼は、兄の姿に激しく感情を爆発させた。
その言葉に、ライガットは笑うことしかできない。涙も混じった、ふりしぼるよう
な渇いた笑いに、うしろにいるシギュンも、ホズルも、声をかけることができない
でいる。

劇場版のこの場面では、最終章だけの特別なエンディング主題歌が流れ始めて
いた。誰のために、何のために戦ってきたのか。そういう、戦いを終えたあとの
気持ちを、切々と唄いあげる歌だった。一年ちかくの時間をかけて、描かれて
きた全六章の幕引きにしっくりくるような、壮大な響きがあった。

劇場版でも、TVアニメ版でも、ライガットは笑いつづける。もはや悲しいのか何
なのか、よくわからないような顔さえする。TVアニメ版で兄弟が再会するこの場面
では、レガッツの激しさには不似合いだけど、兄弟の頭のうえの、雨上がりの空
にはよく似合う、しずかな楽曲が流れている。

最後に、ライガットは、顔を天のほうへと向ける。涙は消えてはいない。それでも、
どこか晴れやかな笑顔で、ひとつの物語は終わる。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
キャラクターデザイン 乘田拓茂
メカニックディレクター 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC

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