TVアニメ「ブレイクブレイド」の、届かなかった言葉の意味 | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

TVアニメ「ブレイクブレイド」第十一話「ラスト・スタンド(要害堅固)」で、
ボルキュス将軍とジルグは、顔を合わせて言葉を交わす。それは劇場版には存在
しない、TVアニメ版で新しく加わった場面だった。

ボルキュスは問う。黒銀のゴゥレムに乗っているのが、ジルグのような優秀な魔動
戦士ではないのは、何故なのか。軍の機密事項を探る尋問であり、おそらくは彼
自身の好奇心からの質問でもあった。その問いかけに対して、他人が聞いたら、
ふざけているとしか思えないような言葉を返すジルグだった。

第十話「ライトニング・スピード(神速無双)」では、ジルグとライガットが、
お互いの心の奥底を探りあうように戦い合った。その後、ジルグはニケと、そして
スペルタ部隊と戦った。エルテーミスの左腕と両脚を失いながらも、最後まで涼
しい顔を崩すことなく、彼は戦い抜いた。「無双」の副題そのままのこの戦いも
また、TVアニメ版で新たに描かれた場面だった。

劇場版でのジルグは、ライガットとの戦いのあと、ニケと、そしてその直後に
アテネスの大軍と遭遇している。エルテーミスは、その左脚でデルフィングに強烈
な蹴りをくらわせて、崖のフチまで吹っ飛ばしていた。それから、アテネス軍と
デルフィングのあいだに立ち、銃弾をその身で受けていた。
ライガットに逃げろと言われても、ジルグはその場に立ち続けていた。彼は、デル
フィングのつかまる崖のあたりをプレスガンで撃ちぬこうとしていた。
狂戦士と呼ばれたジルグが最後に選んだのは、戦い抜くことではなく、ライガット
をその場から逃がすことだった。

その後の、TVアニメ版でのジルグは、ボルキュス将軍を相手に、ふざけている
としか思えないような言葉を返していた。最後まで、彼はアテネスに、デルフィ
ングとライガットの秘密を話すようなことはしなかった。

どちらのバージョンでも、ライガットが最後に見たジルグは、彼に向かって、何か
を口にしていた。それまで誰も見たことのなかった美しい笑顔だった。しかし
ライガットには「聞こえねえよ」と、過去のジルグに向かって、つぶやくことしか
できないでいる。届かなかった声の向こう、笑顔の奥にあったジルグの本当の心
が、いま彼をそこに立たせている。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
新作パート脚本 谷村大四郎
キャラクターデザイン・総作画監督 乘田拓茂
メカニックディレクター・総作画監督 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕(美峰)
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC


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