TVアニメ「ブレイクブレイド」の、遠いカメラが映すもの | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

TVアニメ「ブレイクブレイド」第四話「クロース・コンバット(近接戦闘)」
の終盤、ライガットは軍人墓地を訪れる。その道すがら、彼はトゥル将軍の
部下であるナルヴィと話をする。正確には、ふたりが話をしているようす
が、画面に映し出されている。なにを話しているかは、映像ではわからない。
ふたりの姿をとらえるカメラは、かなり遠くにある。

原作漫画でも、ナルヴィとライガットは、このタイミングで、話をする。
高台の下のほうにある広場と、そこにいるトゥル将軍を見ながら。やがて
友情のようなそれ以上のような、微妙な縁になってゆくふたりが、初めて
顔を合わせて話をする、けっこう重要な場面だ。
ナルヴィはバイクに腰を下ろして、軍人らしいコワモテなことを語る。
ライガットは、彼女の話を聞いているのかいないのか、よくわからない
リアクションをする。強気でありつつ、トゥル将軍への想いもにじむ健気
な彼女と、ちょっぴり品がよくない言葉で、その場をウヤムヤにしちゃう
彼と。初めての会話でありながら、ふたりのその後の関係のテンプレート
が、すでに完璧につくられていた。

アニメ版でも、バイクに腰を下ろすナルヴィとライガットは、広場をみな
がら話をしている。身ぶりや手ぶり、手を振って、どこかへ降りていく
ライガットのようすからすると、話している内容は、漫画と同じもので
あるらしい。話の途中で、子どもたちにおおいに慕われているトゥル将軍
の姿が映し出されるところも、同じだ。

ただ、アニメ版では漫画とちがい、将軍と子どもたちの姿は、かなり鮮明
に描かれている。TV画面だと、豆粒ていどにしか見えないナルヴィの顔
よりも、ずっとはっきりとしている。ライガットの立つ場所から、ずっと
遠くにある光景であるにもかかわらず。りりしく軍服を着こなし、バイク
だって気軽に扱える魅力的な年頃の少女の姿よりも、つよく心に残る絵に
なっていた。

いつも他人の言葉をのらりくらりと受け流してばかりいる心は、本当は
どんなかたちをしているのか。どういうものに憧れていて、どんなことに
心を動かされるヤツなのか。巨大な運命の流れのなかではクローズ
アップされることのない、25歳の青年の、けっして強くはないこころを、
カメラが伝えていた。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
新作パート脚本 谷村大四郎
キャラクターデザイン・総作画監督 乘田拓茂
メカニックディレクター・総作画監督 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕(美峰)
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC

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