TVアニメ「ブレイクブレイド」の一方通行の交差点 | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

TVアニメ「ブレイクブレイド」第三話「ノット・バッド(停戦交渉)」で、
ゼスはライガットと4年ぶりに言葉を交わす。彼は、自分には兄のような、
国を動かすちからがないことを、痛いくらいに自覚している。その生まれ
と、歩んできた道が、彼にそれを教えてきた。それでも、軍人という立場で
出来ることをするために、ゼスは「敵国」に来たのだ。

第三話では、ゼスが、アテネス連邦軍の総司令官をつとめるロキス書記長
の弟であることが、あきらかになった。潤沢に水をたたえた巨大な首都の
中心の広い会議室、豪華なつくりの水差しとグラスが置かれた軍議の席で、
軍幹部たちが一挙手一投足を見守る人物、それがロキスだ。
ゼスの活躍のしらせに会議室が沸くなかでも、彼は無言でいる。見えすいた
お追従にも、無反応でいる。その様子に軍幹部たちも黙らざるを得なくなる。

「劇場版」ではこの場面の直後、ロキスは彼が25歳、ゼスが15歳だった
頃、ふたりで食事をした日のことを回想している。
広い部屋には、ほかに人の姿は見えない。ふたりのあいだには、お互いが
力いっぱい手を伸ばしても届くことのないほどの長いテーブルがある。
いつの日のことかわからない。いつもそうだったのかもしれない。ロキス
は手元の料理だけをみている。ゼスは平静を装いながら、おそるおそる兄
の様子をうかがっている。

なにかが言葉で語られているわけでもない。一見すると、物語の本筋とは、
まったく関係のない場面だ。原作漫画にもない。カットされているのも、
まあムリもないかなという気もする。けれど、ほかのどの場面にもない、
ロキスだけが知る弟ゼスの姿が、そこにはある。

かつてのロキスと同じ25歳になったゼスは、ライガットと言葉を交わす。
同じ親友を想うふたりの言葉は、吹きすさぶ風の中、すれ違ってゆく。

「あんな条件」。ライガットの言葉にゼスは虚をつかれたような顔をする。
ゴゥレムとゴゥレムとの、国と国との距離以上に遠い食い違いが、ふたり
の間にはある。ゼスは自分の立場を「25の若造」と、自覚していた。
しかし世界は、彼が想像している以上に、冷たく複雑で、彼の知らない
どこかを中心にして、回っていた。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
新作パート脚本 谷村大四郎
キャラクターデザイン・総作画監督 乘田拓茂
メカニックディレクター・総作画監督 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕(美峰)
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC

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