TVアニメ「ブレイクブレイド」の近くて遠い火花の色 | はばら研ブログ

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アニメーター・アニメ監督の羽原信義さんのファンブログです。

TVアニメ「ブレイクブレイド」第二話「アンダー・ゴゥレム(古代巨兵)」
で、ゼスのエルテーミスは、古代巨兵ことデルフィングと、二度、刃を合わ
せる。一度目は激しい火花をまき散らしながら、二度目も刃と刃のあいだ
に火花を生じさせながら。

二度目の火花は、一度目とはちがう、エルテーミスがデルフィングの力を
受け流そうとする摩擦が発生させたものだ。動くことのない線路の上で、
列車が急ブレーキをかけたときのような現象だった。両者のパワーが拮抗
しているからこそ、起こりうる火花だった。ゼスがエルテーミスのパワーを、
デルフィングのそれと同じぐらいに調節したのだ。
刃を受けた感覚から、相手のゴゥレムがすさまじいパワーを秘めていること
を判断し、自分の機体のチューニングをその場で、しかも瞬時に変える。
ゼスの魔動戦士としての、おそるべき才能を、さりげなく伝える場面だった。

劇場版のこの場面では、二度目に刃を合わせた二体のゴゥレムの周囲に、
盛大に砂塵が発生するという描写が入っている。エルテーミスと膝をつく
デルフィングが激突する、とてもカッコいい絵が約3秒映し出されている
このカットが抜けたことで、TV版でのエルテーミスは、より難なく、
より軽やかに、デルフィングのパワーを受け流している印象になっている。
もっと言うと、ゼスがよりクールなプロフェッショナルな軍人に見えるよう
になっている。

エルテーミスのなかでギラリと笑っていたリィも、胸囲の、じゃなくって、
脅威の機動性でクリシュナを翻弄していたクレオも、彼に比べたら、ぜん
ぜん子どもという印象がある。
この時点では、アテネスという国で、ゼスがどんな立場の人物であるの
かは、作中ではあかされてはいない。それでも、ゴゥレムでの戦いかたと
「あれが噂の弟か」という、将軍バルドのつぶやきが、彼がただ者でない
ことを伝えている。

TV版第二話では、そのゼスが、ついに王都ビノンテンに到達するまでが
描かれている。ゼスはたった5機のエルテーミスで、王都を守護する高く、
分厚い壁を攻略してゆく。優秀な魔動戦士であり軍人。誰もがそう認め、
自身もそのようにふるまっているゼス。しかし彼の軍人らしい行動の奥底
には、親友ホズルへの想いがある。その想いとともに、彼は進む。

「問題児」「カタブツ」。生まれや地位とまったく関係のない言葉で自分の
ことを語る、もうひとりの親友が向かってきていることを、ゼスはまだ知ら
ない。

TVアニメ「ブレイクブレイド」公式サイト

■メインスタッフ■

総監督 アミノテツロ
監督 羽原信義
脚本 十川誠志
新作パート脚本 谷村大四郎
キャラクターデザイン・総作画監督 乘田拓茂
メカニックディレクター・総作画監督 松村拓哉
メカニックデザイン 柳瀬敬之
プロップデザイン やまだたかひろ、枝松聖
美術監督 小濱俊裕(美峰)
色彩設計 関本美津子
撮影監督 船倉一晃
音響監督 鶴岡洋太

製作 「ブレイク ブレイド」製作委員会
アニメーション制作 Production I.G、XEBEC

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