尊敬はするが盲信はしないぞ

称賛はするが追従はしないぞ

自分は自分の足元をしっかり踏みしめて、
掴み取るのみ。

願いは願いのままではいけぬ

いずれ動くという仮定がなければ、
思考は意味をなさない。

さ、明日も先人に埋もれよう
わたしが明るく饒舌なのは、
本当は陰険で無口なのを悟られたくないからで

わたしがキレイ好きなのは、
本当はゴミ溜めみたいな部屋に住んでいるのを知られたくないからで

わたしがウキウキニコニコしているのは、
本当は発狂しそうな程寂しいのを誤魔化したいからで

きっと私は、それなりに一生懸命生きている。
すきま風に、蝋燭の炎が揺れている。

フローリングの床は、布越しでも冷たく堅い。
寒さと期待で、肌が粟立つ。
脚を閉じ、腕を身体にぴったり沿わせてじっとしている私を、冷ややかな眼が見下ろした。
「大人しいのね」
しなやかで美しい黒い脚が、私の腰をまたぐ。
その瞬間少しだけ開いた黒のミニスカートから、目が離せない。
黒と黒の境界を追う。
せめてもう少し明るかったら、と思いかけ、いやこうでなくてはいけないと思い直す。
吸い込まれそうな黒の輪郭を辿り、下り、白へ。
はやる気持ちを押さえつけ、私はお姉さまを見上げた。
早く、という言葉をぐっと堪えて、視線で哀願する。
「仕方のない子」
お姉さまは静かに笑う。
背筋がぞくりとする。
「どこがいいかしら」
クスクス笑いながら、私の全身を舐めるように眺める。
期待が膨らむ。
胸が踊る。

突然笑い声が止んだかと思うと、いつの間にか上げられていたお姉さまの足が、私に思い切り振り下ろされた。
私は叱られて、俯いていた。

「もうここに来ちゃだめよって言ったでしょう」
呆れ声。
やっぱり。もうお姉さまは私を愛していないのだ。
「どうして言い付けを守れないの」
私には返す言葉がない。
ここへ来てしまうのは、愛するひとがいるから。
他の誰の制止の声も、聞こえはしない。
その愛するひとに見限られてしまったら、私は途方にくれるしかないのだ。

お姉さまの柔らかい吐息が降ってくる。
白い手が私の頬を撫でる。
細い指が私の涙を拭う。
「床に横になりなさい」
私の見つめていた白のハイヒールは、妖しく揺らめいた。
歓喜の歌。

本物の笑顔に会うために、目を伏せる。

信頼を勝ち取るために、人を騙す。

心の奥底を覗くために、目を逸らす。

信頼を掴み取るために、人を愛す。

それが間違いであると断定できないのと同じように、それが正しいとは説明できない。

だから今日は、人を愛すために、自分を騙す。

歌声を聴いた。