『人間の土地』より
「メルモスが、初めて水上機で、南大西洋を横断した時のこと、彼は日の暮れ方に黒瀬戸の付近を通過した。
彼は見た、前方に、竜巻の尾が幾本となく立ちはだかって、それが徐々にあたかも壁を築いているように密集してくるのを。
ついで、夜がこの装置の上に広がって、やがてそれを消し去ってしまった。
そして、1時間後、雲の下を縫うようにして飛び続けていると、彼は突如、不思議な世界へ入ってしまった。
そこには竜巻がいくつとなく集まって、突っ立っていた。
一見それらは寺院の黒い円柱のように不動のものに見えた。
それら竜巻の円柱は、先端に膨らみを見せて、暗く低い暴風雨の空を支えていた。
そのくせ、空の隙間からは光の裾が落ちてきて、煌々たる満月がそれら円柱の間から、冷たい海の敷石の上に横たわっていた。
メルモスは、これら無人の廃墟の間を横切って、光の瀬戸から瀬戸へとはすかいに、海が猛り狂い昇天しているに違いない巨大な竜巻の円柱を回避しながら、自分の道を飛び続けた。
月光の滝津瀬に沿って、前後四時間の飛行の後、彼はようやくその竜巻の大寺院の出口へ出ることが出来た。
しかも、その光景が圧倒的なものだったので、黒瀬戸から開放された時になって、はじめて彼は気づいた。
自分が恐怖感を持たずにいたことに」
《サン=テグジュペリ様の霊言》
「私の職業は飛行機乗りであった。その体験から感じたことを様々な文章に書いてきた。
私は感受性が豊かで表現力に恵まれていたので多くの人がそれを読んでくれた。
20世紀初頭の航空路はまだ開発の最中であり、エンジンの信頼性も今ほどは高くなかった。
その為に多くの仲間が殉職していった。
私自身も何度も事故に会い命の危機に身をさらしてきた。
けれども私にとってはその常に死との隣合わせであるという緊張感こそがこの職業への深い魅力を生み出していた。
そして、それは仲間との友情や結束も作り出していたのだ。
死と隣り合わせにある時人生の密度は濃くなり深みを増すのだ。
また空の上からこの星を俯瞰的に眺めることの詩的叙情もこの仕事の魅力ではあった。
私は何度も砂漠や荒野の上を飛び続けてきた。
サハラ砂漠を何時間もかけて北上していくと、モロッコの山岳地帯に差し掛かった。
そこで山の谷間に緑の麦畑を見つけ生命がこの星に存在するという事実に強烈な印象を感じたことがある。
実際この星においては圧倒的に人間が住まない領域が大きく、その大自然の大海原の中に点在する小島のように人間が寄り集まって生きている。
だからこの星に生命が存在することがとても奇跡的なことのように思えたのだ。
このように対立するふたつの世界を体験する時、その両方の意味が明確に感じられる。
砂漠は昼と夜の世界では全く違う。
昼は灼熱の世界だが、一旦、日が沈むと防寒着なしではいられない。
だから太陽の存在がとても大きく感じられる。
郵便飛行は単独で行うことが多かったが、そうすると人との繋がり、その意味について深く考えるようになる。
愛情のやりとりや人との温かな交流というのがとても尊いことに感じられるのだ。
私達は失くしたときに本当にそのことの意味に気づくものだ。
平和だってそうだ。第二次世界大戦はヒットラーが始めたものだが、プーチンやスターリンなど独裁者が戦争を始めることが多い。
けれどもその独裁者はひとりでに勝手に生まれたものではない。
彼らは世の中の空気を感じ取り、その上昇気流に乗ってトップの座についたのだ。それは国民の民意だ。
ヒットラーであれば貧乏のどん底にあったドイツを経済的に豊かにしてくれたし、彼はドイツを誇りある国家にしようと叫んでいた。
けれども彼が狼であることも多くの国民は薄々気づいていた。
プーチンやスターリンにしてもそれは同じだ。
経済を豊かにしてくれるのなら、多少の道徳的な問題には目をつぶってしまおうと考えたのだ。
けれども善悪の判断を停止しておけば必ずそれによってしっぺ返しを食らう。
だから私たちは日頃から善悪の問題を軽視してはならない。
悪はみるみる間に大きくなり誰にも止められなくなるのだから、悪は小さな芽のうちに摘み取っておかねばならないのだ」
サン=テグジュペリ
2024.2.23
※✴サン=テグジュぺリ様✴霊言をありがとうございます💖✴
サン=テグジュぺリはフランスのリヨンで生まれた小説家であり、飛行家だ。
幼少時、金髪だったサン=テグジュペリ母親から『🤴太陽の王』と呼ばれ愛されて育てられたという。
竜巻、麦畑、砂漠の昼と夜、生命や太陽の存在…この星の昼と夜を人類が初飛行した時の感動が直球で伝わってくる。
サン=テグジュペリの感受性豊かな表現は母親譲りなのか読者は虜になる。
私が初めてサン=テグジュペリの作品に触れたのは20代の学生の時だ。
夏休みバイト代を貰ったその日に汽車の旅に出た。
旅行先は私の誕生石がゴロゴロ出るという礼文島。
その島の宿は若者たちで溢れかえっていた。
夜はみんな集まり自己紹介したりギターに合わせて歌ったりした。
宿のお兄さんが手のひら大の箱の中から丸みがかった親指大のピンク色の石を私にプレゼントして下さった。
それは私の誕生石のメノウだった。
更にそこで出会った他県から来た一人とペンフレンドになった。
しばらくして愛読書だという『🤴星の王子様』送られてきた。
青春時代の懐かしい思い出の一冊だ♪♪
サン=テグジュペリの作品には素晴らしい格言がたくさんある✴
ペンフレンドが好きだという「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは目に見えないんだよ」という言葉に考えさせられた💦
サン・テグジュペリは海軍兵志望だったが入試に失敗し兵役で航空隊に入った。
戦時中、彼が乗った飛行機はドイツ兵に撃墜された。
後にそのドイツ兵がサン=テグジュペリの飛行機だと知っていたら彼のファンだったので撃墜しなかったと…(涙)
お互いに深く理解しあった時に攻撃の手が止むのか…(涙)
今、ロシアが力付くでウクライナに侵攻しているが決してこの蛮行を許してはならない。
これを許せば次に中国が国際法を無視し戦争を仕掛けてくるきっかけになる。
これはミカエル様が仰有る民主主義と共産主義、光と闇の戦いだ。
✴アメリカとヨーロッパ✴が一丸となって全力でウクライナを守って欲しい!💖
苦難困難の中にある全ての生きとし生けるものに一日も早く平安が訪れますように✴💖✴
…✴皆様と聖アントニウス神に愛を✴…