あらすじ
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。
ひと言
NEWSの加藤シゲアキさんの本ということで話題になり、直木賞候補や本屋大賞10作にも選ばれるほどの本なのでワクワクしながら読み始めましたが、「ん~? どこか違う。心にストンと落ちていかない。ついていけないよ~」という自分に一番ビックリしました。この3月で定年退職になり、感性までもが老けてしまったのかなぁ
「……‐『美味しい料理は真の幸福の基となる』。近代フランス料理の父、ジョルジュ・オーギュスト・エスコフィエはこう言いました。また、彼の著書『料理の手引き』を英訳したヘストン・ブルメンタールは『素晴しい料理というものは伝統をぶち壊すことによってではなく、伝統を新たな方向へ導くことによって生み出されるのだと分かった。革命よりもむしろ進化すべきだ』と述べています」MCを務める人気アナウンサーが、スポットライトの下で静かにそう告げる。「未知の力を秘める若者よ。新たな幸福を求め、さらなる進化を遂げろ!『ワンポーション
シーズン3』!」
(19 対抗)
「さっきのもやしはな、大豆の新芽だ」父の低い声が、蓉の身体の奥を揺らす。「新芽を摘んでもやしとして食べることを選択したなら、その大豆を食べることはできない。逆も然りだ。どちらかしか選べない。わかるな」四月に植えたとうもろこしの種を思い出す。蓉はあのあと、生長の早いひとつを残して、間引きをした。「全部を選ぶことはできない」そして父は蓉に背を向け、「休みの日は手伝え」と言い残し、厨房から出ていった。
(23 胸中)












