今日は鶴舞公園内に昨年オープンした「いちごぱん」へお昼を買いに行きました。いちごぱん(330円)といちごコッペパン(391円)そして新作の秋野菜のタルティーヌ(380円)を購入。一番人気のいちごぱんはイチゴの果肉入りのイチゴクリームがたっぷり濃厚で人気No.1も納得。二番人気のいちごコッペパンはいちご本来の酸味も感じられてこれも美味しいです。いちごのパンばかりではと思い購入した秋野菜のタルティーヌも後味がとてもいいです。トースターがなかったので温められませんでしたがタルティーヌは温めるともっと美味しかったに違いありません。お店の名前を冠したいちごぱんは食べるべき逸品でした。ごちそうさまでした♪。

 

いちごぱん ツルマガーデン店

名古屋市昭和区鶴舞1 ツルマガーデン A棟

 

 

あらすじ

大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中にはなしかけてきた大阪弁の女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗はーー「違う羽の鳥」  調理師の職を失った恭一は家に籠もりがちで、働く妻の態度も心なしか冷たい。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣の一軒家に住む老人からもらったという。隼からそれを奪い、たばこを買うのに使ってしまった恭一は、翌日得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れるがーー「特別縁故者」  先の見えない禍にのまれた人生は、思いもよらない場所に辿り着く。 稀代のストーリーテラーによる心揺さぶる全6話。

(第171回 直木賞受賞)

 

 

ひと言

今までは自分と直木賞受賞作との相性が悪いのか、自分にとってはどれもパッとしない作品ばかりだったのですが、第170回の万城目 学さんの「八月の御所グラウンド」に続き、これこそ直木賞だと思える作品でした。多くの作家さんがコロナ禍に焦点をあてた作品を多く発表していますが、これはとてもいい。色々な切り口から短編で6つにしたのもとてもいいです。なかでも「ロマンス☆」「特別縁故者」「さざなみドライブ」が好きかな。この本が2024年の本屋大賞のノミネート作品に入っていなかったということは、この本 2025年の本屋大賞!?

 

「誰が何て言おうと、『子どもができたら産む』って生き物の基本ルールじゃん?それを否定しちゃえる言葉ってこの世にないと思うんだよね。あたしもパパもママもそうやって生まれてきたんだから」
(祝福の歌)

淡々とした語り口は、コップのふちぎりぎりで盛り上がってふるえる水面のような危うさに満ちていた。その下に湛(たた)えた暗い水の深さは、母にしかわからない。
(祝福の歌)

 

 

今日はJR高島屋の秋の大北海道展へ行く前に柳橋の「おばんざいHACHI」で腹ごしらえ。平日限定の白身フライ盛定食(1400円)をいただきます。おばんざいの煮物もおいしく、白身フライも揚げたてホクホクでとても美味しいです。ごちそうさまでした♪。

 

おばんざいHACHI

名古屋市中村区名駅4 マルナカ食品センター 2F

 

今日は、まだオープンして3か月ほどしか経たないのに、もう食べログ3.54(9/18現在)アジフライで勝負する「アオザカナニコイヲシタ」へお昼を食べに行きました。看板メニューの至高のアジフライ定食(1300円)をいただきます。卓上のおすすめのお召し上がり方通りにいただきます。先ずは何もつけずに。揚げたてでこのままでも何も言うことはなくとても美味しいアジフライなのですが、次に大根おろしとわさびをたっぷりアジフライに乗せ、お店自慢のお醤油をかけていただきます。なにこれ!!こんな美味しいアジフライは初めてです。いっぺんにファンになりました。3か月で3.54も納得。ごちそうさまでした♪♪♪。

 

アオザカナニコイヲシタ

名古屋市中区栄3

 

「ぐらんま」からの帰り道、こちらも前から食べてみたかった漫才のスピードワゴンの井戸田 潤さんおススメの「大潮屋 今池店」のお好み焼き(300円)をテイクアウト。大須など市内に数店ある大潮屋さんですが、今まで食べたことがありませんでした。まだアツアツのお好み焼きをいただきます。こういうお好み焼きはソースが多く辛めのものが多いですが、ソースで誤魔化すことのないキャベツと生地のおいしさを感じる美味しいお好み焼きでした。ごちそうさまでした♪。

 

大潮屋 今池店

名古屋市千種区今池5

 

 

今日は前から行きたかった おはぎの第一人者 安井友梨(ビキニフィットネス王者)さんのおすすめのお店「手づくりおはぎ ぐらんま」の冷やし濡れおはぎ+マスカルポーネ添え(360円)を買いに自転車で覚王山へ。先に女性客が一人いて店内のイートインスペースでおはぎをいただいていたので、私も冷やし濡れおはぎを店内でいただくことにしました。甘さ控えめで塩加減が絶妙の塩梅の餡、京都の「出町ふたば」の名代豆餅の塩加減に似てとてもおいしいです。

注文してから作っていただけるのでその間にご店主さんとお話して、この濡れおはぎは以前は季節限定であったのに安井友梨さんご本人から直接通年販売にして欲しいとの要望で、現在は通年販売になったということや、店内に飾られた「1940年にリトアニアでユダヤ避難民にヴィザを発給した外交官 杉原千畝は私の大伯父にあたります。」という文章から、杉原千畝さんの弟さんの孫がご店主の杉原 直美さんということもわかりました。もうひとつ食べたくて濡れおはぎ(360円)とこがしくるみ(300円)とずんだ(330円)をおみやげに。

 

 

おいしいおはぎとご店主さんとの楽しい会話にほんとうに楽しいひととき、一期一会のひとときを過ごさせていただきました。ごちそうさまでした♪。

 

手づくりおはぎ ぐらんま

名古屋市千種区覚王山通9

 

今日は、私のグルメの師匠のおすすめで、前回はお休みだった「ピッコラ」へお昼を食べに行きました。ブロッコリーと紋甲イカのAランチ(1200円)をいただきます。サラダのドレッシングが美味しく、パスタのオイルがとても美味しく、お皿に残ったオリーブオイルをパンにつけて余さずいただきます。お値打ちでとても美味しいパスタでした。ごちそうさまでした♪。

 

ピッコラ (Piccola)

名古屋市千種区今池1

 

 

あらすじ
成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!


ひと言
先にこちらの本が借りられたのですが、「天下を取りにいく」の方が後になったので、読むのを我慢していました。本の帯にも書いてあるように誰にも予測不能!なとても楽しい2冊でした。今後の宮島 未奈さんの作品も楽しみにしています♪

たしかに成瀬が今このときにNHKホールにいるのは驚きだけど、わたしはいつかこんな日が来る気がしていた。正確な時期は思い出せないが、成瀬は下校中に「島崎、わたしはいつか紅白歌合戦に出ようと思っている」と言ったのだった。「それは歌手として出るってこと?」成瀬は幼稚園の頃から歌がうまかったが、それはリズムや音程の正確性が高いというだけで、プロの歌手になるにはまだまだ相当な鍛錬が必要であるように思えた。……。……。

成瀬は大きなことを百個言って一個でも叶えたらいいと主張してきたが、一個だけじゃなくてそこそこ叶えている。途中で投げ出してイラっとさせられることも多いけれど、成頼なりに咲く花と咲かない花を見極めているのかもしれない。紅白歌合戦に出たいと思ってまいた種は、今夜咲こうとしている。「そういえば、東京の観光キャンペーンで成瀬がけん玉パフォーマンスをしたんだけど、そのあと知らないおじさんから名刺もらってた!NHKの関係者だったのかも」篠原さんからメッセージが届く。今年は全国からけん玉メンパーを集めたようだし、もしもその人が本当にNHKの関係者だったとしたら渡りに船だったたろう。「わたしも、このまえ成瀬さんから「最近の小学生も紅白歌合戦を見るのか」って訊かれました。あれは匂わせだったのかもしれません」みらいちゃんの供述で、「探さないでください」の答えが見えた。「わかった。成瀬は、紅白に出ることを口止めされてたんだ」わたしがメッセージを送信すると、篠原さんから「なるほど」のスタンプが届く。番組出演が決まったとき、口外しないでくださいと釘をさされたのだろう。それはきっとSNSなどで不特定多数に公表しないでくださいという意味だったが、成瀬はそれを国家機密のように受け取り、家族にも身近な人にも隠していたに違いない。……。……。
「『探さないでください』と書き置きしたはずだが」「あんなこと書いたら余計に心配するでしよ。どこに行くかちゃんと書きなさい」お母さんに叱られた成瀬はしゅんとした様子でうつむいた。「紅白歌合戦に出ることは誰にも言ってはいけないと言われていたんた。心配かけてすまなかった」「それでも、スマホ持っていって連絡することはできるでしょ?」「GPSを調べられたら、わたしがNHKに行くことがバレてしまうじゃないか」やつぱり成瀬は成瀬だった。お母さんはため息をひとつついて、「お風呂入っちゃいなさい」とリモコンの追いだきボタンを押した。「わたしとお父さんだけじゃなくて、みらいちゃんと篠原さんと呉間さんも協力してくれたんだよ」わたしは成瀬捜索班のグループを見せた。「そんな大事になっていたとは思いもしなかった。わたしもグループに招待してくれるか」成頼は自分のスマホを手に取り、謝罪文を打ちはじめる。
「このたびは皆さまに多大なご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。2025年12月31日23時59分、大津市におの浜の自宅に無事帰宅いたしました。不束者(ふつつかもの)ではごさいますが、2026年も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。 2026年1月1日成頼あかり拝」
いち早く反応したのは祐生さんで、「年越しに間に合ってよかったね~」とその口調まで思い浮かぶようなメッセージが届く。次いでみらいちゃんから「よかったです!今年もよろしくお願いします」のメッセージとマイメロちゃんがお辞儀しているスタンプが届き、篠原さんからは涙を流して爆笑する顔のスタンプのあと、「けん玉成功おめでとう!成瀬が一番映えてたよ」というメッセージが届いた。
(探さないでください)
 

 

あらすじ
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
(2024年 本屋大賞受賞作)

ひと言
最初の2編(ありがとう西武大津店)、(膳所から来ました)を読んで「何 これ!?」と一気に引きずり込まれました。2位に100点以上の差をつけた本屋大賞受賞も納得。次の(階段は走らない)はこれはいるの?と思いましたが(ときめき江州音頭)でしっかりと回収されていました。ミシガンにも乗船したことがあるし、西国三十三所の札所の三井寺は何度も訪れているし、近江神宮や西武大津店近くの義仲寺も訪れたことがあるのでとても楽しく読ませてもらいました。そうそう滋賀と言えばつるやパンの「サラダパン」。基本 湖北だけれど滋賀を訪れた際には「平和堂」や「フレンドマート」でよくおみやげにたくさん買ったなぁ。この本を読み終えてサラダパンが無性に食べたくなりました。 



最近は期末テストで五百点満点を取ると宣言した。結果は四百九十点だったが、たとえ目標に届かなくても成瀬は落ち込まない。成瀬が言うには、大きなことを百個言って、ひとつでも叶えたら、「あの人すごい」になるという。だから日頃からロに出して種をまいておくことが重要なのだそうだ。それはほら吹きとどう違うのかと尋ねたら、成瀬はしばらく考えた後「同じだな」と認めた。
(ありがとう西武大津店)

東大に戻る地下鉄の中で、わたしは成瀬に「どうして坊主にしたの?」と尋ねた。成瀬は意外そうな表情でべリーショートの髪に触れる。「はじめて訊かれたな。みんな訊きづらいんだろうか」「そりゃ訊きづらいでしょ」反応を見るに、深刻な事情があるわけではないらしい。「人間の髪は一ヶ月に一センチ伸びると言うだろう。その実験だ」意味がよくわからず黙っていると、成瀬が続けた。「入学前の四月一日に全部剃ったから、三月一日の卒業式には三十五センチになっているのか、検証しようと思ったんだ」わたしは思わず噴き出した。小学生の頃、朝礼台に上る成瀬の肩まで伸びる直毛を見て、わたしもあんな髪だったらよかったのにと羨んだのは一度や二度じゃない。「全部剃らなくても、ある時点での長さを測っておいて、差を計算したらよくない?」わたしだって縮毛矯正したことで、地毛が伸びるスピードがわかった。「ちゃんと厳密にやりたかったんだ。それに、美容院に行くと、内側と外側で長さを変えられてしまうだろう。全体を同時に伸ばしたらどうなるか、気にならないか?」一瞬納得したが、同意するのは悔しくて「そうだね」と軽く答える。「しかし短髪が想像以上に快適で、伸ばすのが面倒になってきている」成瀬は頭頂部の髪をつまんで言った。
(線がつながる)

「成瀬さんの目標は?」「わたしは二百歳まで生きようと思っている」かるたにおける目標を訊いたつもりだったのに、壮大な目標を聞かされて面食らう。冗談かと思って表情をうかがうが、いたって真剣そうだ。「さすがに二百歳は …… 大変そうだね」率直な感想を述べた。否定するのもよくないかと思い、率直な感想を述べた。「昔は百歳まで生きると言っても信じてもらえなかっただろう。近い将来、二百歳まで生きるのが当たり前になってもおかしくない」成瀬さんは生存率を上げるため、日頃からサバイバル知識を蓄えているそうだ。「わたしが思うに、これまで二百歳まで生きた人がいないのは、ほとんどの人が二百歳まで生きようと思っていないからだと思うんだ。二百歳まで生きようと思う人が増えれば、そのうち一人ぐらいは二百歳まで生きるかもしれない」唐突に、成瀬さんが好きだ、と思った。認めた、と言ったほうが正しいだろうか。もっとそばにいて、もっと話を聞いていたい。このままずっと、ミシガンが琵琶湖の上を漂ってくれればいい。
(レッツゴーミシガン)

 

あらすじ
売れないタレント・おかえりこと丘えりかは、依頼人に代わり旅をする「旅の代理人」。秋田での初仕事を終え、次なる旅先は北海道。ある動画に映っている人物が、かつての恋人か確かめてほしいという依頼だった。依頼人には、初恋を巡るほろ苦い過去があって……。『旅屋おかえり』未収録の、幻の札幌・小樽編が待望の書籍化。北海道旅エッセイ&おかえりデビュー前夜を描いた漫画も収録した特別編!


ひと言
この本も図書館で見つけて、「10年前に読んだ 旅屋おかえりの続編?」ということで借りました。大好きな原田 マハさんですが、何せちょうど10年前に読んだ本で、まだアート小説を書く前の、「カフーを待ちわびて」や「キネマの神様」などの本を書いていたときの作品。「丘えりか」だから「旅屋おかえり」だったなぁぐらいしか思い出せません。ごめんなさい。10年前の私のブログの感想には「最近は原田マハさんばかり読んで泣かされています。どうしてこんなにあたたかい爽やかな本ばかり書けるんだろう。」と書いてありました。この作品もとてもよく、旅屋おかえりシリーズの続編(他の地域を旅したり、最後には礼文島へ帰る旅を描いたもの)も読みたいなぁ と思いました。

「ふるさとって、おかえりさんにとってなんですか?生まれた場所のこと?」何気なくのぞみさんが訊いた。私は、「うーん、そうですねえ」と、近づいてきたモエレ山のてっぺんに誰か座っていないか目を凝らしながら、「『おかえり』って言ってくれる人がいるところ、かな」そう答えてから、自分の言ったことに、自分でどきっとしてしまった。そうだ。生まれた場所、実家のあるところ、それもふるさとに違いない。けれど、おかえり、のひと言を言ってくれる誰かが待っている場所。それこそが、ほんとうのふるさとと言えるんじゃないか。だとしたら、私のふるさとは、礼文島だけしゃない。私のふるさと、それは……。……。……。
のぞみさんは肩で息をしながら、芝生の上に力なくうずくまる男性を見下ろしている。私はしゃがみこんで、土に汚れたシャツの肩にそっと触れた。「あの……大丈夫、ですか?」男性は動かない。私は自分の荒い呼吸が収まるのを待った。そして、唐突であることをじゅうぶん承知の上、祈るような気持ちで、もう一度声をかけた。「伝言を、預かってきました。……めぐみさんから」ぴくり、と男性の痩せた肩先が揺れた。ゆっくり、顔を上げる。私の足下、スニーカーの赤いリポンに目を留めた。そのまま、スイッチを切ったかのように、また動かなくなった。思い切って、純也さん、と呼びかけようとしたそのとき。「帰るところが、あるのでしょう?」のぞみさんが、静かに声をかけた。もう一度、男性の ―― 純也さんの肩が、ぴくり、と動いた。のぞみさんは、私の隣にしゃがみこむと、母のような、姉のような、包みこむようにあたたかな声で語りかけた。「おかえりなさい、その場所へ。きっと、待っているはずですから」あなたと同じように ―― 同じ気持ちで。あの子は、あなたを待っています。純也さんは、ゆっくりと顔を上げた。のぞみさんと純也さんの視線が、ぴたりと合った。頬のこけた薄汚れた顔に、みるみる驚きが広がる。震える瞳に涙があふれる。純也さんの目から涙がこほれるよりも早く、のぞみさんの頬を涙が伝って落ちた。
(8)

「成果物、実はもうひとつあるんです。ねえ、純也さん?純也さんはうなずいた。そして、足下に落としたボストンパッグから、筒状に丸めた紙を取り出した。「これを、君に。……お姉さんから」めぐみさんの目に、さっき純也さんをみつけた瞬間と同じくらい強い驚きが走った。めぐみさんは、純也さんから、丸めた紙を受け取った。赤いリポンが結ばれた紙を震える指先で、リポンをほどく。はらりとほどけた紙には、大きく一文字、書いてあった。   夢  「丘珠小六年二組古澤めぐみ」と左横にていねいに書かれた名前の隣に、その字によく似た生真面目な文字が、万年筆で書きこまれてある。それを目で追ううちに、止まったはずの涙が、再びいっぱいにめぐみさんの瞳にあふれた。
いいかげん、帰ってらっしゃい。待ってるから。お姉ちゃんより
めぐみさんは両手で顔を覆った。赤いリポンがはらりと足下に落ちた。指のあいだからぽたぽたと涙がこぼれる。その肩を、純也さんがもう一度しっかりと抱きしめた。まぼろしだと思う。けれど、私には見える気がした。ふたりをしっかりと結びつける赤いリポン。ふるさとでふたりを待つ、ふたりを愛する人たちにつながっている、かばそく強い赤いリポンが。
(9)

そうした旅の醍醐味を満喫した後、人はたいてい、どこかに帰る。具体的にいえば自宅であり、抽象的にいえば日常であり、それが自分の居場所=「ふるさと」だといえる。と同時にもうひとつ、旅とは、「また訪れたい」と思う場所、実際に再訪を繰り返す場所を増やす行為でもあるといえる。そういう場所について人はよく、「第二のふるさと」なんて言葉を使ったりするものだ。つまり、旅をしてお気に入りの場所を見つければ見つけるほど、人は「ふるさと」を増やしていくのだ。おかえりを見れば、まさにそうではないか。旅をするたびに、彼女にはまた行きたい場所、戻る場所が増えている。なにも深く馴染みのある場所だけがふるさとではないのだ。何度も訪れたい場所、懐かしい場所、恋しい場所。それらはみんな、ある種の「ふるさと」だ。そしてきっとそれは、物理的にどこかに出掛ける旅だけではなく、書物の中の旅や、記憶の中への旅、空想の旅だっていい。ちょっとだけ足をのばしていろんな世界をのぞけばのぞくほど、愛しいふるさとは増えていく。そんな豊かさに、おかえりは気づかせてくれる。さて、この本を閉じたら、あなたはどんな旅を始めてみますか?(たきい・あさよ)
(解説)