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京都の下鴨にある食べログパン100名店 2018にも選ばれている「グランディール」。まだ京都(5店)と名古屋(4店 栄地下、覚王山、北名古屋、豊明)にしかお店がなく、最近名古屋でも人気で話題のパン屋さんです。
今日のお昼は今年1月末にオープンした北名古屋店へ。口コミで評判のベーグル その栗と抹茶(各 194円)、栄地下店で一番人気の黄金のメロンパン(162円)、ネットで見てこれ食べたいと思ったカプレーゼのパニーニ(432円)、ピロシキ(194円 写真には写っていません)を買いました。

 

持ち帰るつもりでしたが、パニーニは注文が入ってからその場で焼いて仕上げてくれるということなので店内のイートインでいただくことに。焼きたてのパニーニもおいしく、特にピロシキはなつかしさもあってとてもおいしかったです。それに黄金のメロンパンは有塩バターのかたまりを練り込んで焼いていて、口の中に濃厚なバターの味が広がりとてもおいしいです、値段も手頃だし絶対に買いの一品です。ベーグルも評判通りモチッとして後味がよくとてもおいしいです。
東京、大阪にもない 京都の有名なパン屋さんのパンが名古屋で食べられて感激です。また買いに行きます。ごちそうさまでした♪

 

 

 

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あらすじ
筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がり、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があった。藩財政は破綻寸前にあり、いつしか仲間との絆も揺らぎ始めて、小四郎はひとり、捨て石となる決意を固めるが―。いま最も注目を集める新鋭が放つ、いぶし銀の傑作。

 

ひと言
「散り椿」が小説、映画とも、とてもよかったのでもう1冊 葉室 麟さんの本を借りました。葉室さんの本には『凛』とした人々の生きざまが描かれていて、現代にはないその生き方に憧れ、自分もそうありたいと思いながら読むんだろうなぁ。素敵な本をありがとうございました。

 

 

七興は小四郎にしなだれかかった。 「金というものは、雨のように天から降りまへん。泥の中に落ちてるもんだす。手を汚さんでとることはできまへん。要は誰が腹をくくって、手を汚すかや。それに商人というのは金の力しか信用しまへん。金を受け取ってくれたひとだけが味方やと思います。間様がお金を受け取ってくれなんだら、今度の話も考え直さなあかんかもしれまへんな」
(十五)

 

 

「時折、こうして腰かけて山を見ておると、秋月を思い出す。十八年、島暮らしをしたが、思い出すのは不思議に秋月の山の景色だな」 「さようですか」 余楽斎は織部の胸中を思って、胸がつまる思いがした。 「ひとは美しい風景を見ると心が落ち着く。なぜなのかわかるか」 「さて、なぜでございますか」
「山は山であることに迷わぬ。雲は雲であることを疑わぬ。ひとだけが、おのれであることを迷い、疑う。それゆえ、風景を見ると心が落ち着くのだ」
余楽斎は織部が眺めている青々とした山並みを見ながら、確かにそうかもしれない、と思った。織部はチラリと余楽斎の顔を見てきっぱりと言った。 「間小四郎、おのれがおのれであることにためらうな。悪人と呼ばれたら、悪人であることを楽しめ。それが、お前の役目なのだ」 余楽斎の胸中に、藩政を陰から動かしていくことの後ろめたさがあることを見抜いていたのだ。
(十六)

 

10月20日 できるだけ今年中に、とにかく平成のうちには絶対お礼参りに行きたい、行きたいとずっと思っていた西国三十三ヶ所巡礼 番外 定額山・善光寺へ行ってきました。

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夜中の1時50分に家を出て、一宮ICから中央道、長野道を通り 285km 3時間30分かかって善光寺の駐車場に到着したのが朝5時20分。

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朝、早くに善光寺へ行ったのは、貫主や上人が参道をお通りになる際に石畳に跪いて、数珠で頭を撫でていただく「お数珠頂戴」(今日は6時20分でした)をしていただくためです。

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それに、毎朝本堂で行われるお勤め(読経)と最後に導師から十念(なむあみだぶつを十編唱える)を授けていただける「お朝事」にも参加したかったからです。

お戒壇巡りでは「右手で、腰の高さに壁をなでて…」の案内板を心掛けてゆっくり進んでいくと、ご本尊の下あたりにある極楽の錠前に触れることができました♪。

8時過ぎにはお参りも済ませ長野ICへ向かいます。途中、川中島古戦場史跡公園に立ち寄ります。

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行きに気になっていたインター近くの、あの横川駅(群馬県)の「峠の釜めし」で有名な おぎのや長野店に8時45分に到着。開店の9時を待って朝ご飯に、まだできたてほやほやの峠の釜めしをいただきます。温かい釜めしはとても美味しかったです。

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帰りは松本ICで降りて、国道158号 安房峠道路を通って高山へ向かいます。
途中、りんごの直売所で味見してとても美味しかった シナノスイートとトキというりんごを買いました。

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松本側から安房峠道路方面に行くには中の湯の信号で大きく左折しないといけないのですが、そのまま真っすぐ上高地へ向かう道に入ってしまい、係員に笛を吹かれて旗で止められるというハプニングも。
安房峠道路の平湯料金所からすぐの平湯大滝にも寄りました。

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駐車場から登り坂を15分ぐらい歩きます。高校生ぐらいのときに叔父さんに連れて行ってもらって滝の前で記念写真を撮ったのですが、もう40年も前のことで、その時ってこんなに歩いたかなぁ?と思いながら歩きます。

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高山でおいしいラーメンでも食べて帰ろうと思っていたのですが、どこも駐車場がいっぱいで車を停めることができず、そのまま名古屋に向かうことに。高山のすぐ近くまで高山清見道路ができていて、2時間で自宅に到着、高山も近くなったなぁと思いました。

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ずっと行きたいと思っていた善光寺のお礼参りをどうにか無事に済ませ、ホッと一息です。これからも健康に気をつけて、また新たに三十三所を巡り再び善光寺へお礼参りにお伺いするのを楽しみにしています。
いつもお守りいただきほんとうにありがとうございます。
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今日のお昼は職場の人と、私のグルメの師匠がおすすめの「スパイスカレー あかつ亭」へ。2種盛と悩んだのですが、大根とサバのカレー1種盛(972円)をいただきます。和風のだしに大根が良く合い、とてもおいしいです♪何よりスパイス感がしっかりあって、こういうカレー大好き!。他のカレーも食べてみたい気はするけど、次も大根とサバのカレーを頼んじゃうんだろうな。おいしいスパイスカレーごちそうさまでした♪

 

 

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「とり松」のばらずしを買った後、お茶菓子に「菓匠 花桔梗」の寒氷(1296円)を買いました。寒氷はうちのお袋が好きなので、帰省の手土産によく買うのですが、自分用に買うのは、ほんとうに久しぶりです。
ばらずしを食べた後、お抹茶を点てていただきます。且坐喫茶(しゃざきっさ)、喫茶去(きっさこ)
いいねぇ―。これからはもっと頻繁に寒氷でお抹茶を楽しみたいなぁ。楽しいひとときをありがとう♪

 

花桔梗
名古屋市中村区名駅1 JR名古屋タカシマヤ B1F

 

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今日のお昼はJR高島屋にウィークリーグルメとして出店してくれている京丹後「とり松」のばらずし(918円)です。
食べログTOP5000にも選ばれている名店で、鯖のおぼろが絶品。今まで味わったことのないおいしさです。来週 23日(火)まで出店なので、もう一度食べたいなぁ と思うぐらいの感動のちらし寿司でした。ごちそうさまでした♪

 

とり松(食べログ)
京丹後市網野町網野

 

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今日は今池で人間ドックを受診した後、栄のラシック地下のモンブラン専門店「アンジェリーナ」へ立ち寄りました。ここは、モンブランのおいしいお店で名前が挙がってくるので一度食べてみたかったお店です。
モンブランデミサイズ(540円)と和栗モンブラン(572円)をラシック前の久屋大通公園のベンチに座っていただきます。甘ーい!。少し小振りだから2つも買っちゃった。本場のモンブランってこんなに甘いの?栗本来の風味よりも甘さが先にきて、自分としてはマイベストの「レニエ」のナカツの方が好みかな。甘いのが大好きという人にはおすすめのモンブランかも。ごちそうさまでした。

 

アンジェリーナ(食べログ)
名古屋市中区栄3 ラシックB1F

 

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あらすじ
とある街の、とある喫茶店の とある座席には不思議な都市伝説があった。その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという。ただし、そこには、非常にめんどくさいルールがあった。それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる。喫茶店の名は、フニクリフニクラ。この物語は、そんな不思議な喫茶店で起こった、心温まる四つの奇跡。
(2017年 本屋大賞 10位)

 

ひと言
2017年 本屋大賞 10位の作品で、本屋大賞にノミネートされた作品は読むように心掛けているのですが、点が68.5 と振るわないのと読者のカスタマーレビューでの評価があまりよくないので、ついつい借りるのが延び延びになっていた本です。こちらも有村 架純主演の「コーヒーが冷めないうちに」が上映されると知り予約を入れました。レビューでは、文章が稚拙、読みにくい、内容が浅い など酷評が多いですが、そうかもなぁ というのが正直な感想です。主人公が時田 数、高竹と房木の設定を逆にしたりという脚本で、映画がどのように仕上がっているのか、DVDになるのを待って観てみます。

 

 

「コーヒー、冷めちゃうから……」 房木はルールの事もよく知っていた。コーヒーが冷める前に飲みほすようにと、高竹を促した。房木は終始、優しい笑顔である。 高竹は小さくうなずくだけで、何も言えず、コーヒーカップに手をのばした。 「……」 房木は、高竹の手がカップを掴むのを確かめると、くるりと高竹に背を向けた。 夫婦の時間が終わろうとしている。高竹の目から大粒の涙がこぼれた。「あなたっ」 高竹は房木の背中に向かって思わず叫んでいた。しかし、房木は振り返らなかった。小さく、房木の肩が震えているように見える。 その背中を見て、高竹はコーヒーを一気に飲みほした。 コーヒーが冷たくなりかけていたからではない。その背中が高竹を未来に無事返すための優しさである事に気づいたからである。どこまでも房木らしい優しさである。 「あなた……」 高竹の体をゆらゆらとした感覚が包み込んだ。カップをカチャリとソーサーの上に戻すと、カップを離した手が湯気になるのが見えた。これで、あとは現実の世界に戻るだけである。束の間の、夫婦の時間は終わった。 すると、突然、房木が振り向いた。おそらく、カップがソーサーに置かれた音を聞いての行動だろう。 高竹には、房木の目に自分がどう映っているのかはわからない。だが、房木はしっかりと高竹の姿を捉えているように見える。 高竹はゆらゆらと湯気とともに薄れていく意識の中で、房木の口が小さく動くのを見た。見間違いでなければ、その口はこう動いていた。
「ありがと」と。
 高竹の意識は湯気となり、時間を過去から現在へと移動しはじめた。店内の風景が上から下へと早送りのように流れていく。高竹はいつまでも流れる涙を抑える事はできなかった。……。 高竹は、茶封筒に視線を落とした。過去の房木から受け取った手紙である。 高竹は、ゆっくりと茶封筒の中から手紙を取り出した。 見覚えのある、ミミズが這うような文字。房木のものである。 その手紙の文字を追って高竹の目が上から下へと何度か往復した時、高竹は右手で口を覆い、嗚咽を堪えながら大粒の涙を流しはじめた。……。
「……お前は看護師だから、もう、俺がいろんな事を忘れていく病気だという事に気づいているかもしれない……だから、もし、おれがどんどん、きおくをうしなって どんな言どうや、こうどうをとったとしても、たとえ、お前のことをわすれるようなことが、あったとしても、お前は、きっとれいせいに、かんごし、として自分をころし、うまくつき合ってくれることだろう。でも、これだけはおぼえていてほしい。おれたちは夫婦だから、夫婦としてつらくなったらわかれればいい。 おれの前で、かんごし、であるひつようはない。夫としていやなら、はなれればいい。つま、としてできることだけでいい。夫婦だから。 きおくを、うしなっても、おれは夫婦でありたいと、おもうから。どうじょうだけで、いっしょに、いるなんて、まっぴらごめんだ。……と、面と向かって言えないから手紙に書いた」
(第二話 『夫婦』)

 

 

あの子は、もういない。 現実に戻ったところでどうなるというのだろう。平井の心は完全に現実に戻るための理由を見失ってしまった。 計も泣いている。だが、その声は、これまで平井が聞いた事もないほど、力強かった。 「だからこそ……だからこそ帰らなきゃ」 だからこそ? 「妹さん、悲しむよ? その場限りの約束だったなんて知ったら、妹さん悲しむよ?」 (その通りだ。一緒に旅館をやる事が夢だと言ってくれた久美との約束。私は帰ると言った。あんなにも嬉しそうな久美の笑顔を見るのは初めてだった。あの笑顔をなかった事にしちゃいけない。もう二度と久美を悲しませたくない。戻らなければ、現実に。帰らなければ、実家に。たとえ久美が生きていなくとも、生きていた久美との約束を、あの笑顔をなかった事にしないためにも……) 平井はカップを手に取った。しかし、 (もう一度だけ久美の顔を見たい) それだけが、最後の迷いとなった。 「……」 だが、久美の顔を見れば、きっと飲めない、帰れない。その事を一番わかっているのは平井自身であった。……。
(第三話 『姉妹』)

 

 

大切な言葉を伝える時には勇気がいる。ミキは、初めて会う母に自分の想いを伝えるため、精一杯の勇気を振り絞ったに違いない。その声は震えてはいたが、素直なミキの気持ちだった。 (私は……) 計の目から大粒の涙が溢れ出した。 (あなたを産む事しかできないのに……) ミキ自身も泣いていた。だが、ミキはその涙を両手で拭うと、優しい笑顔で計に呼びかけた。 「お母さん」 緊張し、少しうわずった声ではあったが、計はしっかりその耳で聞いた。自分を「お母さん」と呼ぶミキの声を…… (私は、何もしてあげられなかったのに……) 計は顔を両手で覆い、肩をゆらしてむせび泣いた。「お母さん……」 もう一度呼ばれて、思い出した。別れの時間は追っている。「……なに?」 計は、せめてミキの気持ちに応えようと笑顔で顔をあげた。「私を……」 ミキはにっこりとほほえみながら言った。「私を産んでくれて……ありがと……」 そう言うと、ミキは計に向かって小さくピースサインをして見せた。「ミキ……」 「お母さん」 計はこの瞬間、自分がこの子の母親である事を心から幸せに思った。誰の親でもない。目の前の少女の母親になれた事を。計は、溢れ出す涙を抑える事ができなかった。
(やっとわかった)
現実は変わらなくても、高竹は旧姓で呼ぶのを禁じ、房木への態度を変えた。房木の記憶から消えても妻でありつづけるために。平井は、繁盛していた自分のお店さえ捨てて、実家に戻った。両親との関係を修復しながら、今は一から旅館の仕事を覚えなおしている。
(現実が変わったんじゃない)
高竹は、房木との会話を楽しむようになった。房木の態度は変わらない。平井が送ってきた写真には、幸せそうに両親と一緒に写る平井の姿があった。妹はいないのに。
(現実が変わったわけじゃない。変わったのは二人。高竹さんも、平井さんも、過去に戻って変わったのは「心」。現実は変わらなくとも、高竹さんは房木さんと夫婦である事を取り戻し、平井さんは旅館を継ぐ妹さんの夢を叶えた。それは、「心」が変わったから……)
計はゆっくりと目を閉じた。
(第四話 『親子』)

 

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あらすじ
かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。18年後、妻・篠と死に別れて帰藩した新兵衛が目の当たりにしたのは、藩主代替わりに伴う側用人と家老の対立と藩内に隠された秘密だった。散る椿は、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるもの たとえこの世を去ろうとも、ひとの想いは深く生き続ける。秘めた想いを胸に、誠実に生きようと葛藤する人々を描いた感動長編!

 

ひと言
岡田 准一主演の「散り椿」がもうすぐ上映されると知ってすぐに図書館に予約を入れました。読み終えて、ネットで中江有里さんが文庫本の巻末に書かれた解説を見つけました。
人が人を想うとき、ただ素直に気持ちを伝えられたらどれほど楽だろう。誠実であろうとしてもそうはなれないのと同じく、人を想う気持ちを伝えようとしても、なかなかうまくゆかない。自分の気持ちを誰かに伝えることによって、相手の運命を変えてしまうことがあるからだ。勝手な想像だが、本書の真の主人公は篠ではないだろうか。

 

 

学生時代に京都まで通学していて、もうすぐ還暦になる今でも、年に数回は大好きな京都へ毎年のように行っているのに、京都の白梅町、大将軍にある「地蔵院(椿寺)」は行ったことがないし、知りませんでした。

 

 

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次の春か、その次の春には是非「地蔵院」の五色八重散椿を観に行こうと思いました。映画も早く観に行きたいなぁ。
【10.14 追記】
1日の映画の日まで待てなくて、レイトショー(1100円)を観に行ってきました。この本とは微妙に違いますが、スッキリした内容の脚本になっていて、本を読んでいない人にもわかりやすいです。また立山の自然を始めとする木村大作さんの映像がとても素晴らしく、時代劇というよりとても素敵なラブストーリーに仕上がっていて何度もうるうるさせられました。期待を裏切らないとても素敵な映画でした♪

 

 

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葉室 麟さん素敵な本をありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 

 

「散り椿か」 男はため息をついた。 ふたりがいる京の一条通り西大路東入ル、地蔵院の本堂脇にある椿は花が落ちず、花弁が一片ずつ散っていく。このため、―― 散り椿 と呼ばれていた。 地蔵院は神亀三年(七二六)、行基が摂津に創建し、天正年間、豊臣秀吉の命によって京に移された。境内には秀吉か寄進した〈五色ハ重散椿〉がある。秀吉が朝鮮へ出兵した際に加藤清正が持ち帰ったものだという。普通、椿は花ごとぽとりと落ちることから、首が落ちる様を思わせるとして武家に嫌われる。 散り椿は花びらが一片一片散っていく。地蔵院の散り椿は、一木に白から紅までさまざま咲き分け、あでやかである。
(序)

 

 

「お主に見てもらいたいものがある」 と言い、縁側の沓脱ぎ石から座敷に上がった。間もなく、一通の文を手に戻ってきた采女を見て、新兵衛は訝しげな顔をした。 「なんだ、これは ―― 」 采女が黙って差し出す文を受け取りながら、新兵衛は声を震わせた。篠が采女に宛てた文に違いない。 「わしとの縁組が破談になった時、わしが送った文への返状として篠殿からいただいたものだ」 恐る恐る新兵衛は文を開いた。そこには、

 

 

くもり日の影としなれる我なれば 目にこそ見えね身をばはなれず

 

 

と和歌が書かれていた。 「最初、わしはその歌の意を、もはや曇り日の影のごとく、自分は見えない身となったが、心はわしから離れないということだ、と思い込んでいた。しかし、それは、どうも違ったようだ」 と言う采女に、新兵衛は文に目を落としたまま答えた。 「わしには、お主が思った通りにしか受け取れぬぞ」「そうではない。篠殿はお主の妻としての想いを歌に託したのだ。曇り日の影のごとく、目には見えなくとも、決してお主と離れずについていくつもりだ、それゆえ、気持は受け入れられぬ、とわしに告げたのだと思う」「…………」 「先日、里美殿がこの屋敷に参られた時、わしはそのことにようやく気づいた」 「どういうことだ」 真剣な面持ちで新兵衛は質した。 「母上は、里美殿に篠殿が憑いていると言っておびえられた。里美殿もまた、篠殿が傍にいるような気がすると言われたのだ。そして、わしも ――」 采女は、後の言葉を呑み込んだ。あの夜、確かに里美の傍に佇む篠の姿か見えた。 「お主、篠を見たのか」 新兵衛の問いに、采女は頭を振った。 「幻を見たのだと思う。だが、わしはその時にあの和歌の意味を悟ったのだ。形影相伴うというではないか。仲の良い夫婦は、睦まじく常に寄り添うものだ。篠殿の心はあのころ、すでにお主に寄り添っていた。それが、わしにはわからなかった」 采女は自嘲するようにつぶやいた。 「さように言われても、わしにはそうは思えぬ」 「新兵衛、お主は篠殿の後を追って死ぬつもりなのではないか」 「…………」 「やはり、そうか。篠殿は、お主を死なせたくなかった。だからこそ、わしのことを話し、助けてやれと言われたのだ」 「まさか、そのような ――」「篠殿は、お主を生かすために心にもないことを言わねばならなかったのだぞ。その辛さが、お主にはわからんのか」 采女の目には涙があふれていた。
(迷路)

 

 

「もう大丈夫でござる」 という声が聞こえて、篠が恐る恐る縁側に顔を出すと、新兵衛はにこりと白い歯を見せて笑った。その笑顔を見た瞬間、篠は、(この方とともに生きよう) となぜか素直に思えた。 篠は心をときめかしたわけではなかった。 だか、蜂を退治した新兵衛の顔を見た時、喉が渇いておられるのではないかと思い、お茶を差し上げねばと自然に体が動いていた。 さらに、どこか蜂に剌されはしなかっただろうか、お召し物が汚れはしなかったか、と身の回りのことを気遣っていた。 いつの間にか新兵衛のことをあれこれ心配している自分の心に篠は驚いた。そして、 (わたしがしっかりこのひとを見守らねば) と思った。新兵衛はこれからも向こう見ずに蜂退治のようなことをするに違いない。そんな時には自分が傍についていなければ、と案じられる。 采女に < くもり日の影としなれる ―― > の和歌を返状として送ったのは、その翌日のことだった。 曇りの日の影が見えないように、自分は采女から遠い存在になったのだ、と思った。それだけに、采女がその後、縁談を断り続けていると耳にするたび、心苦しかった。 藩から追放になった時、 「身の落ち着き先か決まってから、そなたを呼び寄せようと思う。それまで里に戻ってはどうか」 と新兵衛は言ったが、篠はともに国を出ることを選んだ。そのころ坂下の家は妹の里美が婿に迎えた源之進が継いでいたが、そのせいではなかった。采女への気遣いもあったが、何より、新兵衛に影のごとく添って生きようと心に決めていたからだ。 「それでよいのか」新兵衛がためらいがちに訊くと、篠は笑って答えた。 「よろしゅうございますとも。苦しい時もともに歩んでこその夫婦ではありませぬか」 国許を出てからは苦しい日々が続いた。だが、篠は新兵衛と心がふれあって過ごしていけるだけで満ち足りていた。子供がいないことは寂しかったが、篠が和歌や漢籍を学びたいと言えば、新兵衛はその道を開いてくれた。 京に出てから、篠は病がちではあっても、気分のよい時には『万葉集』などをひも解きつつ心豊かに生きることができたのである。
しかし、自分の寿命が旦夕(たんせき)に迫ったと感じるようになると、日増しに新兵衛の行く末が心にかかってきた。 (このまま朽ち果ててよいひとではない) とは思うものの、新兵衛は無欲なうえに篠とともに生きることを心の支えとしているように見受けられる。 篠がこの世を去った後は、生きる張りを失うのではないだろうか。もしかしたら死を選ぶかもしれない、と篠は恐ろしかった。采女は才を認められ、藩で重く用いられているという。新兵衛もまた、同様に用いられるに足るひとだ、と思う。妻の後を追うような道を歩ませてはならない。 篠は意を決して、新兵衛に願い事があると告げた。自分が死んだら、国許の椿を見に帰って欲しいと頼んだ。そして采女からの文を見せて、采女を助けてやって欲しいと言った。 自分が采女に心を寄せていたと新兵衛に思われるのは身を斬られるように辛かった。だが、そう言わねば新兵衛は決して故郷に戻ろうとしないだろう。篠の話を黙ったまま聞き終えた新兵衛は、しばらくして、「そうであったか。わしは何も知らなかった」 とつぶやいた。 「甲し訳ございませぬ」 篠は胸がつまった。しかし、新兵衛は動揺の色も見せず淡々と応じてくれた。「いや、よいのだ。それよりもひとつだけ訊いておきたいことがあるのだが」 「なんでございましょう」 篠は新兵衛の顔を見つめた。「わしはそなたに苦労ばかりさせて、一度もよい思いをさせたことがなかった。そなたの頼みを果たせたら、褒めてくれるか」 新兵衛の言葉に篠は胸がいっぱいになった。 「お褒めいたしますとも」 篠の目から涙があふれた。 涙を流しながらも、篠は新兵衛に微笑んだ。 (このひとを朽ち果てさせたくないとの思いは、わたしの言い訳ではなかっただろうか) あるいは、新兵衛を世に出したいと願うのは自分の思いあがりなのかもしれない。 新兵衛は自分なりの生き方を恥じることなく貫いてきた。それをいまさら賢(さか)しらに、新兵衛に力を振るってもらいたいと欲するのは、自分に見栄の心があるからではないか。  新兵衛は篠に褒められることしか望んではいない。たとえ世間がどう思おうと、新兵衛は自分らしさを失わないで生きていくに違いない。 そのことは心底わかっていた。だからこそ、新兵衛が世間に容れられなくとも、自分の傍にいてくれるだけで心が満ちていた。 だからいま、自分はただひとつのことを願っているだけなのだ。 新兵衛を死なせたくない、と。 少年のころと変わらず照れ臭そうに笑っていた新兵衛を、縁談が決まると唐突に訪ねてきて詩を吟じた新兵衛を、死なせたくない。 江戸に出てから、苦労を耐え忍んで篠のために生き抜こうとした新兵衛には、自らの命と引き換えてでも生きてもらいたかったのだ。 まことの心と裏腹な言葉を口にしつつ、篠は胸の中で、 「生きてくださいませ、あなた――」 と繰り返していた。 生きて、生き技いてください。 それが、わたしにとっての幸せなのです。あなたが生き抜いてくださるなら、わたしの心もあなたとともにあるはずです。形に添う影のように、いついつまでもあなたの傍に寄り添えることでしょう。 そう願う篠の脳裏に、坂下家の庭に咲いていた椿の花が浮かんでいた。 白、紅の花びらがゆっくりと散っていく。あれは、寂しげな散り方ではなかった。豊かに咲き誇り、時の流れを楽しむが如き散り様だった。 (わたしも、あの椿のように……) 篠は新兵衛に手をさしのべた。 その手を、新兵衛はかけがえのないものを扱うかのように両手で包み込んだ。椿の花か一片、はらりと散った。舞い落ちる花びらを見つめながら、「まことにそうであったろうか」とつぶやく新兵衛に、采女は語りかけた。
「新兵衛、散る椿はな、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるのだ。篠殿が、お主に椿の花を見て欲しいと願ったのは、花の傍で再び会えると信じたゆえだろう」
(面影)                         

 

 

里美には篠の気持が痛いほどわかる。 「だから死にはせんと心に決めておるが、ここに留まることもできぬ。わしはすでに散った椿だ。残る椿は藤吾だけでよい。藩の行く末にかけた采女の想いは、藤吾が引き継いでくれるであろう」 新兵衛はそう言うなり、手にした塗笠をかぶった。 里美はうろたえた。新兵衛は本心からここを出ていこうとしているのだ。……。……。
「わたくしの胸の内には姉がおります。姉が新兵衛殿にここに留まっていただきたい、と申しております」 里美はあふれそうになる想いを初めてロにした。 何度も篠の幻影を見るうちに気づいていた。自分にも篠と同じ気持が芽生えているのだと。 篠を思い出すたび、新兵衛を慕う想いが深くなっていった。 新兵衛を託したい、と幻が囁きかけたゆえの想いなのだろうか、と時に戸惑いを覚えたこともあ
ったが、いまは自らの気持だとぱっきり言える。 源之進への想いとは別の、この胸から湧き出る慕情は、篠の心が自分の中に宿ったためばかりではない。 新兵衛とともに生きたい。それがいまの里美の願いだった。 篠に申し訳なく思う気持もあるが、辛く苦しい年月を生き抜いてきた新兵衛にはせめてこの後、幸せな日々を送って欲しいのだ。 篠は微笑んでうなずいてくれるだろうか。 (姉上、わたくしの想いをお許しください) 新兵衛が不意に立ち止まり、振り向いた。塗笠の下に目の表情を隠し、白い歯を見せて笑った。 「里美殿の言われることは、よくわかる。国許に戻ってから、里美殿が篠に見えたことがたびたびあったゆえな」 「ならば ――」 里美は想いを籠めて新兵衛を見つめた。 新兵衛は微笑したままゆっくりと首を横に振って 「だからこそ、出ていかねばならんのだ」 言い終えるや踵を返した。妻へ殉じる想いをひたすらに守ろうとしている新兵衛の背に迷いは感じられなかった。 「また椿の花を見たいとお思いにはなられませぬか」 里美が懸命に言うと、新兵衛は歩みを止め、 「いずれ、そのような日が来るやもしれぬな」 と背を向けたままつぶやいた。 「この屋敷でその日が来るのをお待ちいたしております」 新兵衛は何も答えず、裏木戸から出ていった。里美は後を追えず、袖で顔をおおって立ち尽くした。しばらくの後、はっとした里美が裏木戸から外へ出て新兵衛の姿を捜すが、どこにも人影は見当たらない。
秋の日に照らされた、目に鮮やかな紅葉が、道に影を落とすばかりであった。
(椿散る)

 

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「今日は遅くなるから晩ご飯食べてきて」ということで仕事帰りにららぽーと名古屋へ。お目当ての「日本橋 天丼 金子半之助」も並ばずに注文ができました♪。大きな穴子が印象的な江戸前天丼(1296円)をいただきます。穴子はサクッとして食べ応え十分。海老が2尾に玉子の天ぷらまでついて、どの天ぷらもとても美味しく大満足の天丼です。上天丼(1058円)は穴子がきすに変わり、次はこちらかな。リピート確実のとてもおいしい天丼でした。ごちそうさまでした♪

 

日本橋 天丼 金子半之助 ららぽーと名古屋店(食べログ)
名古屋市港区港明2 ららぽーと名古屋3F