前回、関西空港へのアクセスにJR西日本が運行している関空特急はるか号を紹介しましたが、JR西日本でははるか号のほかに関西空港へ向かう快速列車として「関空快速」を運行しています。
関空快速は関西空港駅からJR阪和線、JR大阪環状線を経由して大阪駅方面へ運行する快速列車で、沿線の主要駅に停車しながら運行するため、各路線の沿線にお住まいの方や各駅で他路線へ乗り換える際にはとても便利な列車です。他の列車では直通で行くことのできない大阪駅へも関空快速なら関西空港から乗り換えなしで移動することができます。
快速列車のため乗車券のみで乗車でき、ICOCA、SuicaなどのICカードも利用できるため、比較的割安な運賃で関西空港へアクセスすることが可能です。
今回はこのJR西日本が運行する関空快速について詳しく紹介していきたいと思います。
関空快速は関西空港と大阪環状線内の間を運行しており、大阪環状線に入り、大阪駅を経由して京橋で終点となる列車と、京橋より先へ進み、大阪環状線を一周して天王寺で終点となる列車があります。
このほか、大阪環状線内に入らず、阪和線の天王寺で終点となる区間列車も朝夕を中心に何本か運行されています。また、関西空港駅23時32分発の最終便は大阪駅が終点となり、京橋、鶴橋方面へは行きませんので、京橋、鶴橋方面へは天王寺で乗り換えとなります。
停車駅は関西空港を発車すると、りんくうタウン、日根野、熊取、東岸和田、和泉府中、鳳、三国ヶ丘、堺市、天王寺、天王寺からは大阪環状線に入り、新今宮、大正、弁天町、西九条、福島、大阪、大阪からは終点の京橋もしくは天王寺まで各駅に停車します。
所要時間は列車によって大きく異なりますが、関西空港から日根野まで約15分、三国ヶ丘まで約45~50分、天王寺まで約55分~1時間5分、大阪まで約1時間5分~1時間15分、京橋まで約1時間10分~1時間20分となっています。
関空快速は阪和線内の途中駅で特急列車の通過待ちを行う便が多くなっていますので、お急ぎの際は特にご注意ください。
運行時間帯は長く、関西空港駅発が朝5時50分(土休日は朝5時54分)~23時32分まで、大阪駅発が朝6時06分(土休日は6時12分)~22時24分まで、天王寺駅発が朝5時25分~22時44分まで、日中~夜がおおむね15分おき、朝はおおむね20~30分おきに運行されています。
関空快速を利用する際に特に気を付けていただきたいことがあります。
関空快速は朝夕の一部の列車を除き、和歌山行きの紀州路快速と併結して8両編成で運転を行っています。大阪環状線内と阪和線に入って日根野までは関空快速と紀州路快速が併結した状態で走り、日根野で関空快速・関西空港行きと紀州路快速・和歌山行きの2つの列車に分かれます。
関空快速は関西空港行きの場合、必ず前4両に連結されていますので、関西空港へ行かれる際は必ず前4両に乗車するようにしてください。後ろの4両に乗ってしまうと和歌山へ行ってしまいますので、よくご確認の上で乗り間違いがないようにくれぐれもご注意ください。
また、関空快速単独で運転する列車についても、後ろ4両は日根野で切り離して回送列車になってしまう列車がありますので、前4両に乗車するようにしておくと安心です。
平日朝ラッシュ時間帯の関西空港からの大阪方面行きは関空快速の運転がなく、直通快速という列車として運転が行われています。
直通快速は阪和線内の天王寺までの停車駅は関空快速と同じで、天王寺から先の大阪環状線内は各駅に停車する列車となりますので、基本的には関空快速と同じように利用することができます。安心して利用してください。
また、関空快速の運転間隔が開く時間帯は関西空港~日根野間でシャトルという普通列車も運転されています。シャトルは関西空港、りんくうタウン、日根野と、関西空港線内の全ての駅に停車する列車です。
関空快速の運転がしばらくない時間帯に当たってしまった場合、天王寺から阪和線の日根野行きや和歌山行きの快速列車や紀州路快速を利用して、日根野でシャトルに乗り換えると早く着けることがありますので、こちらの利用もご検討ください。
但し、関西空港を23時43分に発車するシャトル日根野行きについては天王寺方面への接続はなく、和歌山方面への列車の接続があるのみとなりますのでご注意ください。
関空快速の車内について紹介します。関空快速の車内は2列+1列の前向きの座席が並び、座席上部の取っ手を使い、座席を進行方向に簡単に転換させることができます。始発の関西空港駅などでは折り返し運転となるため、座席の転換は乗客自身で行う形が多くなっていますので、座席を確保した際に座席を転換させて利用してください。
但し、車端部など一部の座席は転換ができず、4人または2人向かい合わせの座席となります。
座席は全席自由席です。朝夕のラッシュ時を中心に途中駅からは着席が難しいことがあります。また、阪和線沿線の生活の足としても利用されている列車であるため、大変混雑する時間帯もありますのでご注意ください。
関空快速の車両の座席配置は当初からスーツケースを持って乗車することを想定していたため、通路部分が広く取られています。
一人掛け座席の横にスーツケースなどを置いて乗車しても通路部分を完全に支障することがないのは嬉しいポイントです。
関空快速で使用される一部の新しい車両には車内上部の数か所に液晶モニターが設置されており、種別、行き先、この先の停車駅を多言語で表示しています。こちらのモニターで乗車している号車が関西空港行きか和歌山行きかを確認することもできます。
液晶モニターがない車両ではドア上部にあるLEDにて種別、行き先、停車駅などの案内が日本語と英語で流れるようになっています。
また、関空快速で使用される一部の車両ではフリーWiFiのサービスが提供されており、お手持ちのスマートフォンなどでインターネットに接続することが可能です。
トイレは全ての関空快速の車両の編成中に1か所設置されています。車椅子対応の洋式トイレの車両が多いですが、一部の車両は和式トイレとなっています。
関空快速の途中停車駅で乗り換えができる路線について簡単に紹介します。
日根野では阪和線の和歌山方面へ乗り換えることができます。日根野には特急くろしお号も停車しますので、白浜、新宮方面へのアクセスも便利です。
鳳(おおとり)では東羽衣行き(南海電鉄羽衣駅行き)の列車に乗り換えることができます。
三国ヶ丘では南海高野線に乗り換えることができます。河内長野、橋本、高野山方面へ行かれる際のほか、南海高野線から直通している泉北高速線の列車にも乗車できますので、泉が丘、和泉中央方面へのアクセスも便利です。
天王寺ではJR大阪環状線の鶴橋方面、JR大和路線の王寺、奈良方面、近鉄南大阪線の古市、橿原神宮前、吉野方面、大阪地下鉄御堂筋線、谷町線、阪堺電車に乗り換えることができます。あべのハルカスへお越しの方は天王寺でお降りください。
新今宮ではJR難波方面と、南海電鉄、大阪地下鉄御堂筋線、堺筋線、阪堺電車に乗り換えることができます。また、関空快速の通過する今宮、芦原橋などへお越しの方は新今宮で大阪環状線の普通電車にお乗り換え下さい。
弁天町では大阪地下鉄中央線に乗り換えることができます。海遊館や天保山へお越しの方は大阪地下鉄中央線のコスモスクエア行きに乗り換えて大阪港駅までご乗車ください。
西九条ではJRゆめ咲線のユニバーサルシティ方面と、阪神なんば線に乗り換えることができます。ユニバーサルスタジオジャパンへお越しの方は西九条でJRゆめ咲線のユニバーサルシティ方面桜島行きに乗り換えてユニバーサルシティ駅までお越しください。
大阪駅ではJR神戸線の尼崎、三ノ宮、姫路方面、JR京都線の新大阪、高槻、京都、米原方面、JR宝塚線の伊丹、宝塚方面、福知山、鳥取、金沢方面の特急列車、大阪地下鉄御堂筋線、四つ橋線、谷町線、阪急電車、阪神電車に乗り換えることができます。
また、中央出口を出た先の大阪駅前にあるJR高速バスターミナルからは有馬温泉、三田プレミアムアウトレット、洲本、名古屋、岡山、西脇・津山、四国、北陸方面への高速バスが利用できます。
京橋ではJR東西線、JR学研都市線の四条畷、長尾方面、京阪電車の枚方市、京都三条、出町柳方面へ乗り換えることができます。
阪和線の主な駅では普通電車に接続していますので、関空快速の通過する各駅へも途中駅で普通電車に乗り換えて便利に移動できます。
また、京セラドーム大阪へお越しの方は大正で降りて徒歩でアクセスすることができます。
最後に、関空快速を利用する際の運賃について紹介します。
関空快速は快速列車ですので特急券などは不要で、乗車券のみで利用することができます。関空快速の運行する区間は全区間がICOCAのエリア内となるため、ICOCA、PiTaPa、Suica、PASMOなどのICカードで乗車することが可能です。
運賃は関西空港から日根野まで460円、三国ヶ丘まで900円、天王寺・大正まで1080円、大阪駅・京橋まで1210円です。
関空快速の停車する各駅で改札を出ずにJR他路線に乗り換えた場合は運賃が通算されますので、目的地によっては安く移動することができます。関西空港から日根野乗り換えで和歌山へは900円、天王寺乗り換えで鶴橋へは1080円、天王寺乗り換えで王寺へは1390円、西九条乗り換えでユニバーサルシティへは1210円で行くことができます。
関空快速を利用できるお得なきっぷとしては関西1デイパスがあります。大人3670円で関西エリアのJR線が1日乗り放題となります。
乗り放題のエリアは幅広く、西は姫路を越えた先の上郡、播州赤穂まで、東(北)は湖西線を経由して福井県の敦賀まで、琵琶湖線を経由して米原、近江塩津、敦賀までの区間が利用できます。奈良、和歌山方面や草津線、嵯峨野線(園部まで)、関西本線(柘植)までも乗り放題のエリアに含まれていますので、関西の各地を観光で1日回りたいという方にはおすすめのきっぷです。
また、特急券を追加購入すればサンダーバード号やくろしお号などの特急列車も利用することができます。
関西1デイパスはJR西日本ネット予約(e5489)や関西地区のみどりの券売機で前日まで発売しています。ネット予約を利用した場合はネット上で前日までに決済してしまえば、きっぷの受け取りは当日乗車前まで可能となりますのでとても便利です。 詳しくはJR西日本のホームページ、JRおでかけネットをご覧ください。
また、大阪市内などにある一部の金券ショップでは関西空港駅までの普通回数券を1枚からバラ売りで発売しています。こちらを利用すると関空快速を少し安く利用することができます。時間帯等にも制約はありませんので、金券ショップを見かけた際には確認してみるとよいかもしれません。
南海電鉄の空港急行に比べるとやや割高ではありますが、天王寺や大阪駅へ乗り換えなしで移動することができ、ほとんどの時間帯で15分おきに運行されているなど、とても使い勝手のよいのが関空快速の特長です。階段等での移動が少ない方がよい時や大阪府南部などのJR各駅が目的地の際はこちらの関空快速の利用がおすすめです。
東南アジアを自宅で楽しめる商品のご案内