今回からしばらくは韓国南部方面の情報をお送りします。
まずは観光列車の乗車レポートからスタートします。少しでも列車に乗って旅行をしている気分を味わっていただければ幸いです。
今回のスタートは韓国南部の代表的な駅である釜山駅からです。
ソウル方面のKTXなどの発着駅としても知られていますが、今回は南部のローカル線を走る「S-Train(南道海洋列車)」という観光列車に乗車します。
S-Train(南道海洋列車)は既存のムグンファ号客車を改造し、亀甲船をイメージした雰囲気の車両へと大きくリニューアルされました。
今回は釜山を朝8時25分に出発し、順天を経由して宝城へと運行されている慶全線系統の便に乗車しました。この区間を運行する列車の他にソウル~麗水エキスポ間を全羅線経由で運行するS-Trainも運行されており、ソウル方面からの利用も可能です。
定期旅客列車であるため、原則として毎日運行されていますが、一部の曜日は車両点検などのため運行しない日があります。乗車券は駅窓口のほか、KORAILのインターネット予約サイトからも予約することが可能です。KORAILパスを使用しての乗車も可能です。
運賃はムグンファ号よりも少し高めの設定となっていますので注意が必要です。
発車の20分ほど前にホームに到着しましたが、列車は既に入線しており、発車まで車内を観察するなどゆっくりとした時間を過ごすことができました。列車は機関車に客車5両と電源車を連結したスタイルで、昔ながらの客車スタイルの列車は鉄道ファンも楽しめるのではないかと思います。
車内は複数のスタイルの座席があります。まず普通席はムグンファ号と同様のリクライニングシートとなっています。
観光列車ながら一人から気軽に利用できるのがこの普通席で、快適性も高く通常の優等列車に乗るのと変わらない感覚で利用できます。
続いて4人がけのボックス席(家族シート)です。グループなどで乗車する際には便利な座席です。普通席の一部区画をこちらのタイプへと改造しており、一部車両の半分程度の座席がこのボックス席になっています。
リクライニングはなく、座席自体も硬めのビニールレザー張りですので快適性はやや劣ります。大きなテーブルがあり、食べ物や本などを広げて楽しむのにも適しています。また、授乳室が近くに設置されていますので赤ちゃんを連れての乗車にも適しています。
今回はインターネットサイトから予約した所、自動でこちらの座席が割り当てられました。但し、相席になることはなく1人で1ボックスを利用することができました。
こちらはカップルシートと言われる座席です。カフェ車両のある車両の半分程度の区画をこの座席へと改造しています。
カップルシートは向かい合わせの座席にテーブルを設置した上、パーテーションを設置したセミコンパートメントタイプの座席です。
車内設備などについて紹介します。各座席にはコンセントが設置されています。普通席とボックス席は足元壁際に、カップル席は座席上付近にあります。
また、一部の号車のデッキには大型荷物置き場が設置されていてスーツケースなどを持っての乗車も安心です。デッキにはトイレ(洋式)や洗面所がある号車もあります。
こちらは編成の中心付近に設置されているカフェカーです。但し、現在はカフェとしての営業は休止されていてカウンターでの食事類の販売は行われていません。食べ物や飲み物は乗車前に売店などで購入する必要があります。
カフェカーのテーブルなどはフリースペースとして残されていて、乗車中は自由に利用することができます。カフェカーの端には記念撮影に着用ができる制服などがあるほか、韓国の昔ながらの遊びを楽しめるスペースともなっていて運行中子供たちが楽しんでいる様子が見られました。
こちらは茶礼室です。以前はお茶などを提供していたようですが、こちらも現在はお茶の提供を休止しています。
このスペースも締め切りにはしておらずフリースペースとして開放されています。お座敷と掘りごたつの席があり、運行中は多くの人が入れ替わりで利用されていました。
列車は定刻の8時25分に釜山駅を発車。まずは京釜線を北上していきます。
最初に亀浦駅に停車。釜山地下鉄との乗り換え駅ということもあり、こちらからの乗車も多く座席が埋まっていきます。
ここからしばらく洛東江に沿って列車は走ります。早速、大きな川に沿って流れていくのんびりとした車窓を楽しむことができます。
この先も勿禁駅、三浪津駅と京釜線の駅に停車。三浪津駅を出るといよいよ慶全線へと入ります。
京釜線と分岐して離れていくとデルタ区間へ。しばらくすると釜山から東大邱方面へ向かう京釜線、東大邱方面とこの慶全線を結ぶ連絡線、そして現在走っている三浪津駅からの慶全線の3つの線路を眺めることができます。
やがて東大邱方面からの線路がこちらに向かってきます。丁度東大邱方面へ向かうムグンファ号が走り去っていきました。
先の信号所にてこの線路と合流します。
列車は洛東江を渡り、しばらく走ると慶全線内最初の停車駅である進永駅に停車しました。
慶全線は晋州駅までKTXが乗り入れていますので、この間は複線電化となっており、線形も改良されていてとても高規格な路線になっています。
続いての停車駅は昌原中央駅です。昌原市内の代表駅ということでこちらでも多くの乗降がありました。観光目的のみならず、都市間の移動手段としてこの列車を利用されている方もいらっしゃるようです。
昌原中央駅の次は馬山駅に停車します。昌原中央駅には停車したものの、昌原駅は通過となります。
街中に入ってくると列車は馬山駅に停車。こちらも昌原市を代表する駅ですので乗降客の姿が目立ちました。
馬山駅を出るとしばらく通過駅が続きます。引き続きKTXが走行する区間ということで高規格の線路が整備されていて、この列車も最高速度120km/hまで上げて走ります。途中駅には新幹線の駅のような通過線が中央に設けられている駅もありました。
途中から山間部に入り、トンネルを通過しながら晋州を目指します。
そして列車は晋州駅に到着。ここまで釜山駅から1時間4分ほどで到着しました。
KTXの乗り入れはこちらの晋州駅までとなっており、この先は本数の少ないローカル線区間となります。
向かいのホームにはソウル方面へ向かうKTX-山川が停車していました。
晋州駅から先は非電化ではありますが引き続き複線で線路が引かれており、直線も多いことから引き続き高速で運行できるような線形となっています。
ここまで以上の山間部区間となり、いくつものトンネルを通過しながら列車は西へと進みます。
晋州駅の次の停車駅は北川駅です。こちらでの乗降は少なく、駅周辺も閑散としています。
北川の次の停車駅である河東駅も周辺はとても長閑な雰囲気で、あまり人気が感じられませんでした。同じく乗降はほとんどありません。
河東駅を出ると再び通過駅が続きます。線路は引き続き高規格ですが、旅客列車が少ないためか一部の駅はホームの屋根が短くなっています。
途中駅では貨物列車が停車している様子も見ることができました。時刻表上の旅客列車は少ないですが、貨物列車についてはそれなりの本数が運行されているのかもしれません。
光陽駅を通過してしばらく走ると順天の街中へと入ってきました。
順天駅に近づくと手前で線路が合流してきます。この線路は麗水エキスポ駅方面からやってきた全羅線の線路です。しばらくすると麗水エキスポ駅方面からやってきたソウル方面のKTX-山川が追い抜いていきました。
そして列車は釜山駅から2時間30分ほどで順天駅に到着。今回はこちらで列車を降りました。他の乗客も順天で降りられる方が多く、車内はガラガラになっていました。
列車はこの先も引き続き慶全線を進み、終点の宝城駅まで運行されます。なお、宝城駅から先、光州方面への接続はありませんので、この列車で宝城駅まで行かれても列車を乗り継いで先へ進むことはできません。光州方面へは順天駅もしくは宝城駅からバスターミナルまで移動をしていただき、市外バスを利用することになります。
私も今回、順天から市外バスを利用するために総合バスターミナルへ移動しましたが、駅前のバス停からすぐにやってきた71番のバスに乗車すると10分もかからない程度で到着できました。
このほかにも順天駅から総合バスターミナルへは複数の市内バス路線を利用して移動することができます。
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