筋力トレーニング(筋トレ)の基礎知識
短期間で筋肉をつけるためには、筋トレなどのトレーニングだけではなく食生活も大きなポイントとなります。今回は、筋肉を効率よくつけるための食事方法や栄養素を紹介します。

いくら筋トレを行ってもエネルギー量が足りていなければ、筋肉をつけることができない状態になります。筋肉をつけるために必要な栄養素を効果的に摂取することで、効率よく筋肉を増やしていくことができます。
筋肉をつける食事とは
筋肉はエネルギーの消費量が多く、体に筋肉をつけた分だけ必要となるエネルギーが多くなります。体にエネルギー量が足りていない場合は、筋肉を維持することができずに筋肉量を減らすことで体を維持しようとします。その結果、筋トレを行っても筋肉の量が増えなかったり体重が落ちてしまったりします。このように、筋肉をつけるためには食事にもこだわる必要があります。次のような栄養素を毎食とり入れることで、体に必要なエネルギーを摂取することができます。
炭水化物
炭水化物には、糖質と食物繊維が含まれています。糖質は、体を動かすスポーツなどのエネルギー源となる栄養素です。糖質が不足することで、筋肉や脂肪が分解されてしまいます。食物繊維は、人が持っている消化酵素では消化することができない難消化性成分と定義されています。消化を助ける働きのある栄養素で、不足すると便秘や心筋梗塞のリスクがあります。炭水化物を多く含む食品としてパンやご飯はもちろんのこと、いも類やかぼちゃなどがあげられます。
タンパク質
タンパク質は筋肉や血液、骨などの体のもとを作る必要不可欠な栄養素です。タンパク質が不足することで、筋肉がつきにくくなります。また、血液が不足するので貧血や免疫力の低下につながります。逆に摂りすぎると、体脂肪として体内に蓄えられる可能性があります。タンパク質を多く含む食品は、鶏肉や牛肉などの肉類が代表的です。また、マグロやサバなど赤身の多い魚もタンパク質を多く含んでいます。他にも、豆類や卵類、ヨーグルトやチーズなどの乳製品があげられます。
ビタミン
全部で13種類あり、体調を整えるためには欠かせない栄養素です。必要な量としては少ないですが、人の体からは少量しか作り出すことができなかったり、作り出すことさえできなかったりするため食品から摂取する必要があります。体の中に溜めておくことができないビタミンBやビタミンCなどの水溶性ビタミンと、体外へ排出されにくく過剰摂取することで過剰症となる脂溶性ビタミンがあります。ビタミンを多く含む食品は、レバー類や豆類、緑黄色野菜があげられます。
ミネラル
ミネラルは、骨や血液をつくる働きや体調を整える働きがあります。カルシウムや鉄分、ナトリウムなどのミネラルは、人の体内では作ることができないため食品から摂取する必要があります。カルシウムは不足することで、骨粗鬆症を起こす可能性があります。また、ナトリウムは摂りすぎると脳卒中や高血圧などの生活習慣病を引き起こすことがあります。ミネラルの種類により、必要な量は異なります。ミネラルを多く含む食品としては、海藻類や乳製品、緑黄色野菜があげられます。
筋肉をつける食事法
効果的に筋肉をつけるには、目的に合わせた食事方法をとり入れることが大切です。
増量のための食事法
体脂肪の増加を抑えながら、除脂肪量を増加させることが大切となります。ますば、消費エネルギーよりも500~1000キロカロリー増やした量の食事を摂取することが勧められています。このとき、十分な糖質を摂取すると、運動中にタンパク質が消費されることを防ぐことができます。筋肉の主成分となるのはタンパク質ですが、除脂肪量を増やすためにはタンパク質の消費量よりもエネルギー摂取量を増やすことが重要だといわれています。さらに、運動後できるだけ早く糖質とタンパク質を摂取することで、筋タンパク質の生成を高めることができます。
減量のための食事法
体脂肪を落としながら、除脂肪量を低下させないようにすることが大切となります。体脂肪を落とすために体に負担のかかる急激な減量は避けて一定の期間をかけて減量するようにしましょう。そのためには、目標とする体重を設定し、減量計画を立てて時間をかけて行う必要があります。食事方法としては、必要な栄養素の量を減らさずに、エネルギーを抑えるようにします。脂肪分の多い肉類は避けて、緑黄色野菜や海藻類、きのこ類を積極的に摂取しましょう。減量することで不足したがちなミネラルやビタミンも食事にとり入れるようにします。
持久力を上げる食事法
耐久性のある運動をした後には、消耗しているグリコーゲンを回復させる必要があります。そのためには、十分に糖質を摂取することが大切です。糖質が不足することで、貯蔵されているグリコーゲンの量も減少し耐久力が落ちてしまいます。糖質の量が確保できれば、まとめて摂取しても、数回に分けて摂取しても問題ありません。また、糖質をエネルギーとして燃焼させるときにビタミンB1を使います。ビタミンB1も不足しないように積極的に補うようにしましょう。
食事とプロテインの関連性
筋肉をつくるためには、タンパク質は必要不可欠な栄養素です。タンパク質を主な成分としたサプリメントには、プロテインがあります。プロテインは、タンパク質の英語表記で、大豆や乳製品を原材料としている商品が主流となっています。プロテインは一度に大量摂取したからといって、筋力があがるものではありません。まずは、普段の食事からタンパク質を摂取するように心がけて、それでも足りない場合のみ適切な量を使用するようにしてください。
プロテインの選び方
プロテインは製品により、成分が異なります。よく確認してから購入するようにしましょう。プロテインの多くは、タンパク質の他にもミネラルやビタミンを含んでいます。これら2つの栄養素は過剰摂取をすることで健康被害がでることがあります。他にサプリメントを飲んでいる場合は、併用に注意が必要です。また、海外製品のプロテインにはドーピング禁止薬物が含まれている場合があります。購入する前に確認するようにしてください。
プロテインを摂取するタイミング
プロテインの中でも、乳類から作られているホエイプロテインや豆類から作られているソイプロテインは、吸収が早いといわれています。トレーニングの直後に、プロテインと炭水化物を摂取することで、タンパク質の分解を抑えて筋肉を維持する効果があるといわれています。
筋肉をつけるおすすめレシピ
筋肉をつけることを助けてくれるおすすめレシピを紹介します。
豚肉のチーズパン粉焼き
豚肉に含まれるビタミンB1が炭水化物をエネルギーへと変えてくれます。疲労回復にもおすすめです。
- 筋切りをした豚肉をビニール袋にいれます。塩コショウをしたら、よくもみこみます。
- ビニール袋の中に粉チーズとパン粉を加えて、まんべんなく豚肉につけます。
- オリーブ油を入れたフライパンに、豚肉をのせて両面をこんがりと焼きます。
鶏の梅しそレンジ蒸し
皮をのぞいた鶏肉はタンパク質が豊富で、低エネルギー、低脂肪となります。油を使わないため、減量をしているときにもおすすめです。
- えのきは約2cmに、鶏肉は一口大に切ります。
- 千切りにした大葉を瑞にさらします。
- 種を取り除いた梅干しを包丁で刻んでペースト状にします。そこに、酒とみりんを足してよく混ぜます。
- 片栗粉をまぶした鶏肉と大葉とえのきを梅干しのペースとに和えます。
- ふんわりとラップをして、500Wの電子レンジで約4分加熱します。
食事の注意点
筋肉をつけるには、正しい食習慣を身に付けることが大切です。まずは、欠食をしないことです。食事を摂取しないときを作ることで、栄養のバランスが崩れてしまいます。欠食を防ぐためには、事前に食事内容やトレーニング時間を決めておくといいでしょう。また、好き嫌いをせずに主食、主菜を摂るのはもちろんのこと、副菜や果物までバランスよく摂るように心がけましょう。
バランスのいい食生活を心がけて
効率よく筋肉をつけるにはトレーニングとともに、食生活にも気を配ることが大切です。バランスのいい食生活を心がけて、筋肉のもととなる栄養素を積極的に摂取するようにしましょう。