カリウムの過剰摂取は、通常は問題ありませんが、特に腎機能に障害がある場合影響を及ぼしてしまう恐れがあります。過剰摂取によってどのような弊害があるのでしょうか。過剰摂取と高カリウム血症について解説します。

カリウムは過剰摂取しても問題ないのでしょうか。健康な人の場合と、腎機能に障害がある場合に分けて確認してみましょう。
健康な状態でのカリウムの過剰摂取
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」の内、カリウムの目安量は成人男性で2,500mg、成人女性で2,000mgです。さらに、目標量はそれぞれ男性で3,000mg、女性で2,600mgとなっています。
カリウムの摂取に関して上限値はなく、正常な状態であれば、カリウムを過剰摂取しても特に問題はありません。過剰に摂取した分は尿に交じって排出されるためです。しかし、あくまでこれは食品から摂取をした場合です。サプリメントから摂取する場合は、摂取量に気をつける必要があります。
問題なのは腎臓機能に障害がある場合
通常、カリウムは過剰に摂取しても体外に排出されるため、問題はありません。しかし、腎機能に障害がある場合は、カリウムの摂取には気をつける必要があります。
腎不全など腎臓の機能に障害がある場合、通常排出されるはずのカリウムが正常に排出されず、体に蓄積してしまうからです。カリウムが正常の範囲内を上回って体内に存在し続けると、高カリウム血症を引き起こす可能性が高まります。
特に腎不全により人工透析を受けている患者の場合は、高カリウム血症を引き起こさないためにも、カリウムが多い食品を控える、ゆで汁は捨てる、生で食べないなどの調理の工夫が必要です。カリウムが多い食品としては、生野菜や果物、海藻類、チョコレートなどがあります。腎機能に障害がある場合は、食材選びや量のほか調理法も十分に気をつけましょう。
高カリウム血症とは
高カリウム血症とは、血液中のカリウムの濃度が高くなることが原因で起きる症状のことを指します。症状は、吐き気やしびれ、脱力感、知覚過敏などです。さらに血中のカリウム濃度が7~8mEqlと高くなると不整脈、そして心停止をも引き起こしてしまうことがあります。
高カリウム血症は、腎機能が弱まっている場合のほか、大量にカリウムのサプリメントや製剤を摂取することによって引き起こす可能性があります。高カリウム血症になってしまった場合は、まずはカリウムの量を減らすことが大切です。また、早めに医療機関で適切な処置を受けるようにしましょう。
カリウムの過剰摂取は通常時は問題ありませんが、腎機能に障害がある場合などは体に悪影響を及ぼすことがあります。ドクターから指示がある場合は、指導に基づいて摂取するようにしましょう。