カルシウムは体に必要な栄養素ですが、過剰摂取には気をつけなければいけません。

サプリメントを飲み過ぎてしまった場合など、カルシウムを過剰摂取するとどうなってしまうのでしょうか。
日本人のカルシウムの過剰摂取について
カルシウムは人間の生命維持に必要不可欠な栄養素ですが、摂りすぎるとかえって体調を崩すもとになります。
しかし、日本人は慢性的なカルシウム欠乏が問題になっている民族です。日本人のカルシウム摂取量は、欧米の3分の1というデータもあります。日本に住み普通に生活をしているのであれば、カルシウムの過剰摂取について気にする必要はほぼありません。
厚生労働省が示しているカルシウム摂取量の上限値は2300mgです。これは牛乳に置き換えると約2Lとなり、通常の生活で1日にこれだけの量を摂り続けることは難しいと思います。
また、カルシウムは体内への吸収率が低いという性質を持っています。歳を取ると腸の働きが弱り、吸収率はもっと下がってゆきます。
このように、日本人がカルシウムの過剰摂取を心配する必要はほとんどないと言えるでしょう。
しかし、カルシウムが高度に配合されたサプリメントを飲んでいる場合は、飲み過ぎに注意するべきです。
1日の治療用量
カルシウムを、病気の治療や予防を目的として摂取する場合、マグネシウムと一緒に1000~1500mg摂ることがおすすめです。閉経後女性にはホウ素とマグネシウムをあわせて1500mgが必要であるとする研究者もいます。アメリカのFDA(食品医薬品局)が定めた、1日に摂取すべき栄養素の量(RDA)は19~50歳の成人では1日1000mg、51歳以上では1200mg、妊婦・授乳婦では1200mg。欧州RDAは1日800mgとされています。
上限になる摂取量
カルシウムサプリメントの最大安全量は長期の場合、1500mg、短期の場合1900mgです。1500mgを超える量を長期に服用することはすすめられません。
カルシウムを摂り過ぎても排出される
もしカルシウムを摂りすぎたとしても、腸が体内にとり入れる量を調節してくれます。腸から取り込まれなかったカルシウムはそのまま便として排出されるし、取り入れた後なら尿として排出されるようになっています。
カルシウムだけを摂りすぎた場合は、マグネシウムの不足に注意しなくてはいけません。
カルシウムとマグネシウムは『2:1の割合』で体内に存在するとよいのですが、このバランスが崩れると、心臓の不具合やこむらがえりが起こることがあります。
高カルシウム血症になることも
このように、通常の人間の体は、体内のカルシウムが過剰にならないように機能しています。
しかし、さまざまな原因によって、血中のカルシウム濃度が異常に高くなる「高カルシウム血症」になることもあります。
「高カルシウム血症」になる原因としては、血中のカルシウム濃度を調節しているビタミンDや、カルシウムを多量に含むサプリメントを過剰摂取することなどがあげられます。
特に、医療機関で血液検査もせずに、長期に過剰摂取を続けることにはリスクが伴います。
また、「高カルシウム血症」の原因としては、副甲状腺などの異常も考えられます。
高カルシウム症で起こりうる症状
便秘や下痢、口内の乾燥、口が乾く感覚、頻尿、持続的な頭痛、食欲低下、金属的な味覚、咽気・嘔吐、異常な倦怠感などが起こることがあります。
進行すると、骨痛、筋肉痛、不整脈、持続的な癌痒感、激しい眠気、気分の変動が起こる可能性があります。チアジド系利尿剤もしくはビタミンDサプリメントを服用中の方、腎疾患、甲状腺疾患に罹患している方は、カルシウムのサプリメントを飲む前に主治医に相談しておきましょう。
高カルシウム血症になると、のどの渇きや食欲不振、便秘や嘔吐が見られますが、初期症状がない場合もあります。たいていの場合は原因を取り除けば回復しますが、あまりにも重症の場合は命に関わることもあるので注意しましょう。
カルシウムの長期過剰摂取によって起こるその他の病気
カルシウムの長期過剰摂取によって起こる病気は他にも、高血圧・動脈硬化・腎臓障害・結石があります。また、鉄やマグネシウム、亜鉛の吸収を妨げてしまう弊害もあります。
カルシウムのサプリメントは、定期的に血液検査等も行いながら、医師と相談して自分にとっての適正量を摂取するのが理想的です。