うつ病で仕事を辞めた人は、病状が回復すると仕事探しに頭を悩ませます。そんなとき、頼りになるのがハローワークの「専門援助部門」です。うつ病という病気の特性を理解した上で、求職活動を後押ししてくれます。
各地のハローワークには、障害者の就労を支援する「専門援助部門」という窓口があります。(ハローワークの規模により部署名は異なります。)障害者雇用の知識が豊富な相談員が配置されており、障害を持つ人の相談に応じています。
障害者窓口の支援の対象となるのは、身体、知的、精神のいずれかに障害がある人や、発達障害がある人、難病を抱えている人たち。うつの人も精神障害を持つ者として、利用することができます。
うつ病の人が障害者向けの就労支援サービスや制度を利用するには、精神障害者保健福祉手帳か、ハローワークの書式に沿った主治医の意見書を提出して、求職申し込み(障害者登録)をすることが条件になります。
障害者登録によって受けられる支援はたくさんありますが、中でも最も魅力的なのは「障害者雇用枠の求人」に応募できることでしょう。障害者求人は「障害者雇用促進法」という法律ができたことによって生まれた求人です。この法律では障害者の職業の安定を事業主の責務として、「企業は常時雇用する労働者数の1.8%以上の障害者を雇用しなければならない」と定めており、達成できない企業には企業名の公表や納付金などのペナルティーが課されます。以前は身体障害者と知的障害者のみが障害者雇用率に算定されていたが、2006年に法改正され、精神障害者も加えられました。うつ病の人も障害者枠で採用してもらいやすくなったわけです。補足ですが、現在1.8%の法定雇用率は、2013年4月1日以降、2.0%に引き上げられます。
企業は、軽度の身体障害者、知的障害者、精神障害者の順に人材を欲しがりますが、それでも制度改正以降、精神障害者の就職率は一気に上がりました。障害者枠の求人もそう多くはありませんが、採用のチャンスが広がったと考えて活用してください。
なお、主治医の意見書を提出して、障害者登録をした人でも障害者窓口を利用できますが、障害者雇用率に算定されるのは精神障害者保健福祉手帳を持っている人だけです。つまり、主治医の意見書のみで応募した人を雇っても企業側は雇用率に算定できないので、手帳を持っている人のほうが採用されやすいというのが現実です。
うつ病であることをクローズにして採用されると、体調を考慮されないまま普通の人と同じように働くことになります。通院ができなくなったり、残業が続いたりして再び症状が悪化してしまう人も少なくありません。病気のことを知ってもらった上で採用されれば、企業側の理解が得やすくなります。ただし、デメリットもあるので、十分に説明を受けた上で病気をオープンにするかクローズにするか、そして障害者登録するかどうか決めるようにしてください。障害者登録をしていても、「この会社には病気を告げたくない」という希望があれば、クローズで応募することも可能です。
履歴書の経歴、通院のための休暇希望、服薬の理由などをそのまま伝えられる
ハローワークのトライアル雇用や委託訓練などの定着支援、支援機関のジョブコーチなどを利用できるので、就職時の仕事や職場に対する不安を軽減できる
職場に病状への理解を求めることができるため、職務内容や勤務時間などへの配慮をしてもらいやすい
求人している会社の中から、障害について理解のある会社を探すのに時間がかかる
障害を理由にして、面接不可と言われることがある
精神障害者保健福祉手帳を持っていない人は、雇用率に算定されないため、手帳を持っている人より採用されにくい
うつ病などの精神障害を持つ人の中には、緊張感や不安感が強い、服薬や食事などの生活管理ができていない、周囲とコミュニケーションが取れない、経済的な不安があるなどの理由で、求職活動が難航するケースがあります。
こうした人たちを支援するため、障害者窓口には「精神障害者雇用トータルサポーター(以下トータルサポーター)」が配置されています。精神保健福祉士などの資格を持つ、精神障害特有の課題の解決能力に長けた専門家です。
わたしもトータルサポーターのカウンセリングを受けましたが、仕事のことに限らず、生活やお金のことなど言いづらいことも相談しやすく、かなり助けられました。1人で悩まないで、ぜひハローワークのトータルサポーターに相談してください。道は開けると思いますよ。
ハローワークの「専門援助部門」
各地のハローワークには、障害者の就労を支援する「専門援助部門」という窓口があります。(ハローワークの規模により部署名は異なります。)障害者雇用の知識が豊富な相談員が配置されており、障害を持つ人の相談に応じています。
障害者窓口の支援の対象となるのは、身体、知的、精神のいずれかに障害がある人や、発達障害がある人、難病を抱えている人たち。うつの人も精神障害を持つ者として、利用することができます。
うつ病の人が障害者向けの就労支援サービスや制度を利用するには、精神障害者保健福祉手帳か、ハローワークの書式に沿った主治医の意見書を提出して、求職申し込み(障害者登録)をすることが条件になります。
最大のメリットは障害者枠での採用
障害者登録によって受けられる支援はたくさんありますが、中でも最も魅力的なのは「障害者雇用枠の求人」に応募できることでしょう。障害者求人は「障害者雇用促進法」という法律ができたことによって生まれた求人です。この法律では障害者の職業の安定を事業主の責務として、「企業は常時雇用する労働者数の1.8%以上の障害者を雇用しなければならない」と定めており、達成できない企業には企業名の公表や納付金などのペナルティーが課されます。以前は身体障害者と知的障害者のみが障害者雇用率に算定されていたが、2006年に法改正され、精神障害者も加えられました。うつ病の人も障害者枠で採用してもらいやすくなったわけです。補足ですが、現在1.8%の法定雇用率は、2013年4月1日以降、2.0%に引き上げられます。
企業は、軽度の身体障害者、知的障害者、精神障害者の順に人材を欲しがりますが、それでも制度改正以降、精神障害者の就職率は一気に上がりました。障害者枠の求人もそう多くはありませんが、採用のチャンスが広がったと考えて活用してください。
なお、主治医の意見書を提出して、障害者登録をした人でも障害者窓口を利用できますが、障害者雇用率に算定されるのは精神障害者保健福祉手帳を持っている人だけです。つまり、主治医の意見書のみで応募した人を雇っても企業側は雇用率に算定できないので、手帳を持っている人のほうが採用されやすいというのが現実です。
精神障害者(うつ病)であることをオープンにすることの意義
うつ病であることをクローズにして採用されると、体調を考慮されないまま普通の人と同じように働くことになります。通院ができなくなったり、残業が続いたりして再び症状が悪化してしまう人も少なくありません。病気のことを知ってもらった上で採用されれば、企業側の理解が得やすくなります。ただし、デメリットもあるので、十分に説明を受けた上で病気をオープンにするかクローズにするか、そして障害者登録するかどうか決めるようにしてください。障害者登録をしていても、「この会社には病気を告げたくない」という希望があれば、クローズで応募することも可能です。
メリット



デメリット



精神障害者(うつ病)の特性を知るトータルサポーターが支援
うつ病などの精神障害を持つ人の中には、緊張感や不安感が強い、服薬や食事などの生活管理ができていない、周囲とコミュニケーションが取れない、経済的な不安があるなどの理由で、求職活動が難航するケースがあります。
こうした人たちを支援するため、障害者窓口には「精神障害者雇用トータルサポーター(以下トータルサポーター)」が配置されています。精神保健福祉士などの資格を持つ、精神障害特有の課題の解決能力に長けた専門家です。
わたしもトータルサポーターのカウンセリングを受けましたが、仕事のことに限らず、生活やお金のことなど言いづらいことも相談しやすく、かなり助けられました。1人で悩まないで、ぜひハローワークのトータルサポーターに相談してください。道は開けると思いますよ。
【参考文献】
『職場のうつ 2011-2012 復職のための実践ガイド 本人・家族・会社の成功体験』(アエラムック)
正しい情報を書いたつもりですが、ここに書かれていることを完全に鵜呑みにしないで、不明な点などは、管轄のハローワークへ確認していただくようお願いします。もし、間違った記載がありましたら、ご指摘ください。