私達夫婦の溝は、




また




広がった…………




私にはどうすることもできない………




どうしたらいいのか、わからない………




今は、私の大切な子供達の前で




平静を保つこと




それだけで精一杯………




トシとは、




必要最低限の会話しかしなくなった………




トシが何を考えているのか、わからない………




多分向こうも、私が何を考えているのか、わからないでいる………




私は…………




トシに言われたように




おかしいのかもしれない………




トシが許せなくて………




トシがいるとイライラして………




トシが憎くて…………




でも




その想いと同じぐらい




トシが大好きで




トシに傍にいてほしくて




トシに私を見ていてもらいたくて………




心が壊れそうに、苦しい………




自分の色んな気持ちが、分刻みで代わる代わる顔を出す………




その度に私の心は




怒ったり




辛くなったり




イライラしたり




悲しくなったり




忙しい…………




自分の感情なのに




自分でコントロールができない………




(やっぱり……私………どっかおかしい………ノカナ………?)




自分の気持ちがわからない………




ただ、わかっていることは




何もなかったあの頃の




幸せな気持ちで




トシを見ることはできない




あの日から私は




仲良く歩く恋人同士を




直視できなくなった………




仲の良い家族の姿を見るのが




嫌になった………




手を繋いで歩く老夫婦を見ると




切なくなった………




そういうモノ全て




もう




どんなに望んでも




私の手には




戻ってこない………




私がやっと手に入れた




小さくて平凡だけど




他の何にも変えられない




大切な幸せは




壊れた………




私の心は




時間が経てば経つほど




癒えるどころか




どんどん落ちていく………



そんな私の心を




トシが




ほんの少しでもわかってくれたら




私は




少しでも




救われたのに………
「遥!!!!」




げっ!トシだ!!!




ヤッバイ!!!




怒ってるっぽい!!!




「………何?」




できるだけフツーにドア越しに答えた。




けど……




「何?じゃねぇんだよ!!!
 ケータイ返せよ!!!
 コソコソ見てんじゃねぇよ!!!」




あ……やっぱりばれてた………




……すっげ怒ってる………




でも………




悪いのはそっちじゃん!




浮気して、別れたなんてまた嘘ついて。




いつまで私達家族を裏切り続けるワケ!?




ワタシハ ワルクナイ




そう思った途端、私はトイレから飛び出し、




トシに向かって怒鳴ってた………




「なぁんで私が怒鳴られるワケ!?
 そもそもケータイ見られて困るようなことしてる方がおかしいじゃん!!!
 浅〇と別れたなんて嘘ばっかり!!!」




「うっるせぇな!!!
 連絡先もわかんねぇよ!!!
 消しただろ!!!」




はぁ??




ネボケタコト イッテンジャネェ!




「私のこと馬鹿にしてんの?
 S君のアドレスに浅〇のメアド入ってんじゃん!!!
 この前までは無かった!!!
 浅〇からまだ連絡きてるんでしょ!!!
 私に見つからないようにS君のアドレスに隠したんだよね!!!」




私が一気にそこまでまくし立てると




「………お前……………おかしいよ……………」




トシは一言そう言って




寝室に戻って行った………




(おかしい?私が?)




おかしいのはどっちよ!




私、被害者でしょ?




自分達がしてることわかってる?




不倫してる自分達が「辛い愛」なんて、悲劇のヒロインみたいに思ってんの?




私や子供達の気持ちはどうなるの?




悔しい………




浅〇にはこんなふうに怒鳴ったりしないんでしょ?




「遥を愛してる」なんて




嘘ばっかり………




本当に愛してるなら、こんな思いさせないでしょ………




今のトシから「愛」なんて伝わってこない………




「大事にされてる」なんて思えない………




今のトシは、浅〇のことしか見えてない………




私の気持ちなんて………




伝わってない………




見えてない………




そう、伝わるわけがない。




見えるわけがない。




私自身がトシに何をわかって欲しいのか、わからないんだから………
その夜、Yちゃんから手紙が届いた。




手紙「遥ちゃん、溜めちゃダメだよ。
  出して出して軽くできるものはして!
  私で良かったら話聞くからね。」
  遥ちゃんは頑張りすぎるから……
  自分の気持ち、抑えすぎないで……」




本当にありがとう。




Yちゃんに話して良かったよ………




まだ苦しくてもがいてるけど、




それは私が今も




「トシを愛してるから」




なんだって気付かせてくれた。




ありがとうm(._.)m




だけど………




そう…………




トシに対してまだ気持ちがあるからこそ、




浅〇とまだ続いてるトシを許せないし、辛い………




その想いから抜け出せず、食べられない・眠れない………




そして………




トシの携帯とカバンの中をチェックする毎日が続く………




私のその行動は次第にエスカレートしている………




初めは、トシの入浴中だったけど、




今はトシが寝た後も………




こっそりと携帯を手にトイレに篭り、




携帯の中のトシのプライベートをあさる。




トシはそんな私の行動に気がついているだろう。




そのせいか、携帯にもカバンにも浅〇の存在をうかがわせるものは見当たらない。




本能で「まだ続いてる」と感じていても




確証がない日々が流れていくうちに




段々と




(本当に終わった……?かな………?)




なんて、かすかに思えたりもしてくる。




トシから差し出される、この細い「信頼」という糸に




思わずしがみつきたくなるけど………




この糸は………




「また切れる」




本能でわかってしまう………




そして………




私は見つけてしまった………




トシの携帯の………




アドレス帳に………




浅〇のメアドを………




それは彼女の名前ではなく、




トシの同僚のS君のアドレスに、二個目のアドレスとして登録されていた。




……………




(ほらね………別れてなんかいないじゃん………)




「やっぱり」という思いと




「嘘つき」という思いと




「なんで」という思いと………




色々色々………色んな思いが込み上げる………




そのまましばらく、浅〇のメアドを見つめていると、



ドンッ!ドンッ!ドンッ!




トイレのドアを、誰かが激しく叩いた。