私の思考回路は上手く作動していなかったが、



(あっ、洗い物………。食器…………洗わなきゃ………。)



そう思い、キッチンへ向かった………。



リビングを通ると、TVを見ていた小1の海斗が、



「ねぇ~~~ママ~~…………?………!」



「!!!ど~したの!?具合悪いの?!」



海斗のその言葉で、小3の結菜も私の異変に気付き、



「ママ、顔真っ青だよ!!洗い物、結菜がやるよ!」



よほど青白い顔になっていたようで、子供達はびっくりしていた…………Σ(゚ロ゚ノ)ノ



上の子供達の様子で何か感じたのか、2才の彩花は私の方へトコトコと歩いてきて言った。



「ママ、ぐあいわるいの???あやチャン、イイコイイコしてあげるぅ」



そんな子供達の言葉に、涙が止まらなかった…………。



私は、何をどうしたらいいのか分からず、悲しみなのか怒りなのかもわからない感情を、必死に押さえ込みながら、



「………大丈夫…………チョッと具合悪いけど……………大丈夫だから………」


そう言うのが精一杯だった………。



全身の震えは止まらず、頭の中は、トシへの



(………なんで…………?どうして…………?やっぱり全部……嘘…………だったんだ……………)



という思いでいっぱいだった………。



子供達が私のことで騒いでいると、お風呂から出てきたトシが、



「遥(私)?具合悪いの?結菜に任せて寝たら?」



トシの声を耳にしたとたん、吐き気が襲ってきた。



「ウッ……………オェッ………………ゴホッゴホッ!!!」



なんとか吐く手前で治まったものの、



(トシ、汚い…………)



ついさっき、現実のモノとなったばかりのトシの「浮気」を受け入れられない自分がいた。



まだ、私に浮気がばれたと思っていないトシは、



「大丈夫なの?」



と、私の背中に手を伸ばす……………。



「触らないで!!……………私…………信じてたのに………………」



今にも泣きそうな私の様子で、トシは何がおきたのか察したようだった。



何も言わずに、私の傍から離れようとするトシに、私は思わず叫んでいた。



「やっぱり女だったんじゃない!!!」



心臓の鼓動が激しくなる……………全身の震えが更に強くなる………………呼吸も上手くできなくなる………………。



私は、そんな身体を落ち着かせるかのように、何度か深呼吸をし、



震える声で、出来るだけ静かな口調で言った…………。



「子供達が寝たら、話……あるから…………」



トシの朝帰りから、三日後のことだった…………。
私の心臓は、さっき携帯を手にした時よりも数倍激しく、バクバクと音をたてた…………。


(誰からだろう……………会社の人………?)


そのまま携帯を、トシのズボンに戻そうと思ったが……また「女の勘」というものが働いた………。


(!!女かも!もし女からのメールだったら、トシは削除するかもしれない…………だったら……今見たほうがいい!!)


そして、今度はためらうこと無く、今受信されたばかりのメールを開けた………。

………相手は……………浅〇だ!!!!


「お疲れ様ですニコニコ
なんか思ったより早く帰れるみたいですねーニコニコよかったよかった音符あたし帰り早いからあんまり遅いとゆっくりできなくてしょぼん
この前のは特別ですよあせる絶対ちゃんとうち帰りますガーンこの前もだいぶ反省しましたしダウンダウンじゃあだいじょぶそうな日早めに教えて下さいねにひひパー


(この前?今度はちゃんと帰る?やっぱり!あの朝帰りはこの女といたんだ!!私が………一晩中……メールや電話をしても………ことごとく無視して…………朝まで………眠れずに………連絡を待って………なのにトシは…………私を裏切ってた…………)


「女がいる」と感じて、証拠を掴むために、トシの携帯をみた…………。


なのに………その証拠を目の前にした私は、頭の先から、スーッと血の気が引いていくのを感じた。


そして、その感覚が心臓の辺りまでくると、今度は指先が震えはじめ、その震えはあっという間に全身に伝わった。


…………何も考えられなかった……………


メールを読み終えた時、一瞬だったが、確実に、私の身体の機能は停止した……。


ハッと我に返り、私はガタガタと震える指で、浅〇からのメールを、トシの携帯から私の携帯へ転送した。


少しずつ、視界がぼやけていく…………


転送が完了すると、さっきと同様に転送履歴を削除し、何を思ったのか、浅〇からのメールまで削除した…………。


私は……泣いていた………自分の意思とは無関係に、涙がこぼれていた………


そして、トシの携帯を、脱衣所の脱衣カゴの中の、トシのズボンのポケットへと、戻した……………。
トシのメールBoxは、いくつかのフォルダに分けられていた。


家族、会社、友人、業者関係…。


(やっぱり、会社からかな……)


「会社」と名前のついたフォルダを開けた……。


いくつか同一女性の名前でメールがあった。でも、その人は「白」だ。


なぜなら、普段からトシが会社で、お母さん的に慕っているおばさんの名前だし、内容も仕事の事ばかり…。


(ちがう………)


本能でそう感じて、見続けていくと………


(!!………これ?)


聞き覚えのない女性の名前で


「なんだぁあせるそれじゃあラーメン博物館行けないじゃないですかショック!夜勤は近々で〇日と〇日、〇日なら空いてますよニコニコ


(相手は……浅〇由〇……誰?ラーメン博物館?何?これだけじゃわかんない)


とりあえず私はそのメールを、トシの携帯から私の携帯に転送し、忘れずに転送履歴を削除した。


そして私の携帯に届くと、トシが相手から受信した日時と、相手の名前を追加して保存した。


(他にはない……?)


そう思って探したが、浅〇由〇という女性からのメールは、その一通だけだったのか、それとも削除したのか、他には見当たらなかった………。


(ん~シラー、この女怪しいよね~。っ、送信メール見てみようか……。)


そして、送信メール………

さっきと同じく、会社のフォルダから開いた………。


こっちは特にコレという内容のモノは見当たらない………。


(マズイ物は削除した……?それとも、私の勘が間違ってた………?)


そして、続けて着信履歴やリダイヤルもチェックしたが、浅〇由〇という女性からのモノは無かった……。


(気になるな……この浅〇って女……)


そう思いながらトシの携帯を閉じると、

「ブブブブッ、ブブブブッ」


トシの携帯が振動して、メールを受信した事を知らせた…………。