住用川水源地 イシカワガエル
Ishikawagaeru Ishikawa-frog 奄美大島
Head of a Sumiyogawa River Sumiyogawa ground source
Amami-Oshima Japan 2009 3 29
憧れの住用川水源地 夜の住用川源流 イシカワガエル
http://soft-obi-5715.tonkotsu.jp/
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案内してくれた方 奄美大島イシカワガエル研究の第一人者。イシカワガエルの公的な保護監視員。
誘ってくれた方 奄美大島農林水産の振興に貢献され奄美のGPS林道測量・地理・自然・歴史・民俗に造詣の深い方
(2009年5月14日に氏製作「湯湾岳花トレッキング&イシカワガエル」のDVDが届きました。)
夜の住用川水源地の写真もイシカワガエルの写真も撮れませんでした。
撮れたのは1枚めの写真のようなものばかりでした。
NK氏撮影・制作のDVD「OS氏のイシカワガエル研究」には、イシカワガエルの鮮明な画像や鳴き声が収録されていました。「日本両生類学会 イシカワガエル」と入力し検索しますと、写真家・研究者の鮮明な画像を見ることができます。
憧れの奄美大島。憧れの住用川。その水源地に行けるとは。なんという幸せ。
「エコツアーガイドの方にお願いしてでも、住用川の下流から上流まで歩いてみたいと夢みていました。
神屋原生林の奥深くを見たかったのです
「高低差が激しく、苔むした大岩があり、ハブもいるし、無理です。」
2008年にタンギョの滝が見えるところまで案内してくれた川内に住んでいる方が言いました。
住用川の水源地に行くのは、実現不能とあきらめていました。
しかも漆黒の夜。
日本一美しい蛙と両生類研究者憧れのイシカワガエル。
緑色鮮やかなイシカワガエル。
奄美の妖精が奏でる笛のようなイシカワガエルの鳴き声。
住用川は、道の駅「奄美大島住用・黒潮の森マングローブパーク」付近に河口があります。
奄美市住用町の神屋に中流があります。
神屋には落差100M前後と推測されるタンギョの滝があります。
神屋原生林には奄美大島固有種であり絶滅危惧種の動植物が生息しています。
3月にはアマミセイシカも咲き匂います。
夏にはキスジボタルも舞い飛びます。
アマミノクロウサギもいます。
住用川の上流にはマテリヤの滝があります。大和村です。
マテリヤの滝は奄美大島の最高峰湯湾岳にあります。
住用川の水源地はマテリヤの滝のさらに上流にあります。
その水源地の水の滴りを、私自身がこの目で見るとは。なんという幸せ。
しかもその水源地には、幻のイシカワガエルが、緑色鮮やかに漆黒の闇に光り、漆黒の奄美原生林の森の空に、雅楽の笛のように鳴き奏でていたのです。
「3月29日の夜ですが、住用川上流に行ってみませんか。イシカワガエル研究者の学術研究に同行させていただけることになっています。」奄美大島農林水産の振興に貢献され奄美のGPS林道測量・地理・自然・歴史・民俗に造詣の深い方が誘ってくれました。(住用川上流の川岸に人が簡単に行けるところがあるのかな。)(川べりからイシカワガエルが観察できるのかな。)
「宜しくお願いします。」茨城県、筑波山の西、利根川水系鬼怒川の下流域に住んでいる私は、田んぼのトノサマガエルを見たり、霞ヶ浦の食用ガエルでも観察に行くようなイメージで返事をしました。
2009年3月29日の午前中は、「奄美大島の森林保存に尽力し固有種・絶滅危惧種の保護に貢献されてきた方」と「奄美大島の貴重な植物について写真などを新聞に掲載している女性の方」が金作原原生林を案内してくれました。
午後は名瀬市の「ホテルニュー奄美」に早めに投宿し昼寝をして休養に充てました。
2009年3月29日午後7時20分に名瀬市を出発しました。
3人の乗った車は、かなりの時間を走行しました。
湯湾岳山腹。漆黒の林道を走行しました。
「着きました。この辺から入ります。車から降りたところにもハブがいるかもしれません。油断をしないでください。」
研究者はヘッドランプをつけています。車道から茂みをかきわけるようにして、人の踏み跡があるようなところを歩きました。
ハブの恐怖
「観察中にハブを見ることがありますか。」
「一晩に7匹見たことがあります。」
「危険な目に遭うことがあるんですか。」
「しょっちゅうです。私に同行した○○大学の学生が岩に手をついたときハブに噛まれました。さいわいにも数十日の入院ですみました。」
やがて小さな沢に着きました。
その沢を遡ります。
苔むした大きな石を超え、わずかな流れの石の上を慎重に進みます。
「ハブは夜行性です。とぐろを巻いているハブはバネがいつでもはじけるような状態ですから特に危険です。」
「噛まれるのは足首付近ですか。」
私は頑丈な登山靴を履いていました。
「腿のあたりも噛まれますよ。」
午後9時。原生林の奥。
ヘッドランプや懐中電灯の明かりをたよりに、足を置く付近にハブがいないかどうか。
緊張で鳥肌がたっていました。
どうしても手をつかなければ進めない岩の上にハブがいないかどうか。冷や汗が出てきます。
「ハブの毒の吸引器を持参しています。」
誘ってくれた方が言いました。
山奥好きな私も緊張の連続。
「奥穂高岳・槍ヶ岳・北岳登山」の「滑落しそうな岩場」よりも緊張していたかもしれません。
究極の山の奥の細道。至福の時間でもありました。
イシカワガエル 世界一の研究者
「ヒュー。キョー。」雅楽のヒチリキのような鋭い音色が右奥から聞こえてきます。
「イシカワガエルが鳴いています。この鳴き声でも個体数確認の根拠となります。
「ヒョウオー。」奄美の森の妖精が奏でているような鳴き声。左奥から聞こえてきます。
「2007年に確認できた個体数は49。2008年は21。今年は3月29日現在で27です。」
「沢に入らないでください。水たまりにも足を入れないでください。イシカワガエルのオタマジャクシを踏みつけてしまいます。」沢に計測器のようなものが設置されていました。
「データロガーです。自記温度計です。」
「車で仮眠しながら1時間ごとに徹夜で観察することもあります。
2月3月4月の産卵期は、なん日もここに来て観察を続けているようです。
「イシカワガエルやオタマジャクシをカメラで撮影します。
パソコンに画像を入れ、パソコンで大きさを計測しています。
イシカワガエルを研究している大学関係者や日本両生類学会の人たちと共同研究をしています。
案内することもあります。
イシカワガエルの寿命は4年なのか。
オタマジャクシはなん年でイシカワガエルになるのか。
産卵期以外は、どんなところで、どんな生活をしているのか。謎だらけのカエルです。」
住用川の最上流部。流れは途絶えかけていました。
沢の石と石のあいだ、へこんだところに小さな水たまりが点在するところに来ました。
「いました。これがイシカワガエルです。このあたりの水温は年間を通して18度です。」
明るい緑色の大きなカエルがいました。
こんなに美しいカエルを見たのは初めてです。
感動しました。
数匹確認できました。
私はハブを恐れ、2人の歩いた後、特に安全と思われるようなところにいるようにしました。
大きめの岩の上。
苔の上。
爽やかな緑色のカエルがいました。
「イシカワガエルがいましたよ。ここです。」
「ああ、ほんとうだ。イシカワガエルです。」
段差のある小さな沢。岩と岩の間から水が滴り落ちていました。
捨て猫がイシカワガエルを捕食しているようです。
絶滅寸前のイシカワガエルを捕獲した人がいたのかもしれません。
イシカワガエルは研究者・保護監視員・ハブに守られて、絶滅を免れるかもしれません。
住用川の水源地にいる幸せ。究極の山の奥にいる幸せ。
世界中で沖縄本島のヤンバルの森と奄美大島のごく限られたところだけにいるイシカワガエル。
確認されている個体数は奄美大島で数十匹。
まさに絶滅危惧種。
宇宙の創造主は日本列島を造り、奄美大島を造り、住用川を造り、イシカワガエルを造り、アマミセイシカを造りました。そのイシカワガエルを直接この目で見た幸せ。
傑出したイシカワガエルの研究者に出会うことができ会話できた幸せ。
地球上のごく限られた奄美大島の原生林のイシカワガエルを、ときには連日、徹夜に近いような夜も含めて、ハブの危険にさらされながら、科学的に研究を続けている奄美大島でただ1人の実践的研究者。
日本で唯一の実践的研究者。
世界で唯一の奄美大島イシカワガエルの観察研究者。
他の人が同じことをしようとしてもハブに噛まれて同じことは不可能でしょう。
こんな傑出したイシカワガエル研究者と出会えた幸せ。
私はお二人に心から感謝しました。