安楽寺で世間話?をしていて、ふと話題に出たので、自分の日用品について書いてみました。
まぁ、僧侶の持ち物の一部です( ̄▽ ̄)
私は僧侶ではないので、単なる日用品ではあるのですけれども。
使ってると結構便利だなぁ、と思います。
【雲水箸】
主に臨済宗と黄檗宗で使用される箸。
曹洞宗は一般的なサイズの塗り箸のため、雲水箸は使用されません。
全長30cm超。
菜箸と同じか、もう少し長いかも?というサイズ。
サイズ的に勘違いされやすいのですが、調理用,取り分け用ではなく、食事用の箸です。
菜箸との最大の違いは箸の持ち手側の太さ。
一片が1.5cmの四角になっているため、長くても扱い易くなっています。
何でこんなサイズなのか?
というのは
・拍子木としても使われていたため
・寒さに震える手でも扱い易いように
など、諸説ある模様。
慣れないと扱い難い感はあるかと思いますが、慣れると外食時の際の箸が
「あれ、短い…?」
「大丈夫?折れない???」
と不安になることもしばしば…。
材質は唐木と呼ばれる比重の重い木がよく使われます。
黒檀とかですね。
大きさ的に通常の箸を複数作れるだけの材料を使用するので、唐木で作られた雲水箸は高額です(−_−;)
私の箸は樫製。
樫は堅く、華美な印象もなく『質実剛健』という感じがするので、箸は樫が好きです(*´ω`*)
あと、そんなに高額ではないところとか…。
ちなみに店頭で購入したい場合は、京都の妙心寺の門前にある妙心寺会館の売店とかがお手軽。
材質に拘るなら通販で購入するのが無難かな、と思います(⌒-⌒; )
【応量器】
お椀の6個セット。
重ねてまとめると、こんな感じ。
一般的に漆器屋さんで売ってるのは『応量器』という商品名になってることが多いので、私も応量器と呼んでます(笑)
応量器は
・僧侶用のもの
・一般向けの『入れ子型の食器セット』
がありますが、どっちが良いとかは特にないかなぁ、と思ったり( ̄∇ ̄)
食器は『食べ物を盛り付ける,粧う』ための道具なので、使い勝手は『普段、何を食べるか』により変わります。
そのため、メニュー次第かな、と。
修行僧と同じような食生活をするなら、僧侶用のが使い勝手は良いかもしれませんけれども_(:3 」∠)_
ちなみに禅宗の僧侶用の仕様だと一番大きい器(頭鉢)でも、ラーメンなどを入れるにはやや小さいので、普段のメニューによっては使いにくいと思います。
私の応量器は6種類セットの僧侶用と同型で、拭き漆仕様。
拭き漆の利点としては
・木地が楽しめる
・黒漆,朱漆に比べると3分の1程度の価格帯
という感じ。
欠点としては
・補修(塗り直し)が出来ない
・黒漆,朱漆に比べると塗装が薄いので耐久性に劣る
などでしょうか。
まぁ、耐久性云々といっても、適切に使えば数十年は普通に使えますけれども。
塗り直し補修ができないし、黒漆や朱漆に比べると塗装が薄いので100年は無理ですね。
『朱は仏の色なので、朱漆の器にナマグサ物を粧ってはならない』
とされる場合もあるので、意味や目的が定義されていない拭き漆は扱い易いなぁ
とか思ってます(⌒-⌒; )
当たり前なんですが、漆器は『木の器に塗装した物』なので
電子レンジが使えない
食洗機が使えない
ということから、現代のキッチン事情的に食器を断捨離して、応量器だけで食器を完結するのは少々難あり。
最低でも、電子レンジ用に
磁器か、ガラスで出来た30cmくらいの平皿
などがあるといいかな、という感じ。
地震対策と断捨離で〜というなら耐熱プラスチック皿でも良いですが…
ピザとかステーキみたいな『皿の上で切る』タイプの料理だと、プラスチックの皿は削れたり、傷が入ったりするので普段のメニュー次第かと。
他にも
残った料理を皿ごとラップを掛けて冷蔵庫へ〜
みたいなことは出来ないので、タッパーに移す手間はかかるかも?
※漆器を冷蔵,冷凍保存の用途で使うと劣化します。
私の普段の使い方だと
一番外側の大きな器
蕎麦,そうめんなどの麺類を入れることが多い。
もしくは丼物を作ったりするのが主な用途。
菓子器代わりにお菓子やミカンを盛って、コタツで食べることも(笑)
二番目の器
主に茶碗的な用途。
三番目の器
味噌汁とか、お吸い物を入れることが多い。
汁物椀的な感じ。
四番目の器
蕎麦つゆなどのちょっとだけ付ければOK的なつゆを入れるのに使用。
普段は冷奴を乗せたり、湯豆腐の取り皿とか。
すき焼きの生卵には少々小さい感あり。
五番目の器
漬物などを入れる小皿ポジション。
天つゆを入れたりも。
蓋みたいな平皿
醤油やポン酢などの調味料系入れによく使う
こんな感じで
大きい方の3つは『個人用』として配膳される料理用
小さい方の3つは大皿料理や鍋料理などの取り皿
的な用途ですね(*´ω`*)
以前に
「磁器製の応量器なら、電子レンジも使えて便利なのでは?」
と思って購入を検討したこともありますが
『毎日、器の中に器を入れて保管する』
ということは、割れ物だとものすごく扱い難い
磁器だから、地震とかで落下したら器として使えないくらいのレベルで割れるよね(・_・;
6個セットなので、割れたからといって、1個だけ買い足せないよね…
という事から、漆器が無難だよねぇ…というのが自分の中での結論に( ̄∀ ̄;)
地震対策や普段使いなどの破損リスクなどを考えると、ベークライト(※フェノール樹脂。耐熱130℃)で出来たモデルもいいのかなぁと思いますが…
樹脂素材の器は、電子レンジで使用すると器自体が発煙,発火する可能性があるので使用不可
という事から、漆器+電子レンジで使える皿+食品保存タッパーで良いや〜となりました(笑)
【坐布】
曹洞宗の坐禅用の丸型クッション。
臨済宗は座布団を2つ折りにしたくらいの大きな枕みたいな長方形。
もしくは座布団を2つ折りにして使用。
黄檗宗は敷布団を畳んで使うので、一般的に『坐布』と呼ばれる専用クッションはなかったり…。
曹洞宗は
『全てが事細かに定められていて、徹底した規律に基づいて集団行動を行う』
みたいな感じなので、道具なんかも全部規格化されてる感があるんですよね。
臨済宗や黄檗宗は
『主軸が定められていて、細部は臨機応変に。主軸を間違えなければ良い』
みたいな感じで、成果主義的な側面がある印象。
『曹洞宗の〜』とはいうものの、真言宗も阿字観で丸型を使ってたりしますし、臨済宗などでも丸型を使うお寺もあったりするので、一般的に『坐布』といえば丸型クッションだろうなぁ、と思ったりはします(・_・;
実際、真言宗の阿字観で使う坐布って正式にはどんな形状なんでしょうねぇ…。
普通の座布団を使ってるお寺もあれば、丸型の坐布を使うお寺もありますし。
私は、普段はソファーにクッションとして置いてあります(笑)
リビングでテレビを観る時など、膝の上に置いて抱えたりとか。
中綿が高反発でしっかりしているので、体重を掛けてもクシャっと萎れたりしませんし。
もちろん仏間に持っていって、坐禅用としてはもちろん、正座の時に足の間に入れて座ったり、という感じで普段使いしてます。
座布団と違って立体的なものなので、重ね置き出来ず、仏間に置いておくと、結構邪魔というか、転がるんですよねぇ(・_・;
表地はビロード(短い起毛のある織物)で作られているモデルなので、坐禅をしていても滑り難く快適(*´ω`*)
やはり衣類や寝具に使われる様な生地だと表面の摩擦が足りなくて、長時間だと滑っていくんですよね…。
坐布の中綿はパンヤ。
カポックという植物(木)から取れる繊維で
・高反発(潰れ難い,潰れても復元性が高い)
・撥水性が高い
・軽い
などの利点があるのが特徴。
衣類などに使われる綿とは全く異なるものです。
一般的な綿は『ワタ』という植物(草)で、パンヤは『カポック』という植物(木)なので、草と木ではどっちが反発力が高そう?といえば、イメージ的にも木かと…(⌒-⌒; )
手芸用品店で『パンヤ綿』として売っているので、中身がヘタってきたら補充することも可能。
※坐布には中綿の補充口が付いてます。
ちなみに、クッションといえば手芸の定番アイテムの1つですが
坐布の中綿は500g前後。
パンヤ綿は100gで350円〜500円ほど。
中綿を買うだけで2,000円〜
滑り止め効果が高くビロード(ベルベット)は1mあたり1,500円〜
坐布は円柱状なので、直径30cmのものを作ろうとした側面は最低でも94cm
生地の幅や、型の取り方にも寄りますが、1mだとギリギリ。
余裕を持って作るなら1.5mくらい購入する必要があるので、生地代で2,000円〜3,000円ほど。
※注意
ビロードとベルベットは『名前の読み方の言語の違い』であり、同一のものですが
ベロアは手触りの似ているものの、性質的には全く異なる生地なので注意。
・ビロード…織物。伸縮性がほとんどない。
・ベロア…編み物。伸縮性が高い。
クッションとして考えると、買うには高価だから!(坐布は平均価格5,000〜6,000円ほど)
と言って自作しようとすると
材料費だけで4,000〜5,000円
となり、作成の工程を考えると「買う方が安い!」ってことになりがちなので注意。
材料費をしぶって
一般的な綿を使うと、反発力,復元力が弱く、短期間でヘタる
高反発のパンヤをぎゅうぎゅう詰めにする関係上、ベロアなどの伸縮性の高い生地を使うと破れる
という感じで、良いことはありません…。