前回記事の続きから。「通過駅のない急行」のその先を辿ります。

 

(17)(日吉→)新横浜→湘南台 各停 湘南台行き

新横浜を出発した「1駅も通過しない急行」。13分の遅れをもって出発し、西谷に到着。ここで予定にはありませんが、横浜からの快速を抜かします。湘南台での折り返し順がこちらの方が先のためで、快速も西谷から各駅に停まるため、ここで下剋上待避となりました。なお、快速が各駅停車を待っているという光景は定期ダイヤでも存在します。

その先の二俣川では、先を走っていた目黒線からの各停海老名行きに接続。武蔵小杉かな?と言いたくなる組み合わせですね。

終点・湘南台のひとつ手前、ゆめが丘に到着。この未来的な雰囲気の駅に東急の電車。違和感しかありません。

列車は終点の湘南台に到着。ここは藤沢市。ずいぶん遠くまで来たと実感します。とはいっても、ここからたった7駅で田園都市線の中央林間駅。海老名まで行く方が遠くまで来た実感が湧いてくるものです。

 

(18)湘南台→新横浜 各停 志木行き

折り返しの列車はなんと「志木行き」。初見では「志木ってどこ?」になりますが、東武東上線の駅。距離にして66km先で、埼玉県にあります(川越の方が遠いですが、馴染みがあります)。割と長距離の電車ですが、相鉄の車両は東武東上線に乗り入れられず、反対に東急以外の車両が相鉄に乗り入れることもできないため、相鉄線と東武線を結ぶ列車は東急の車両しか担当することができません。

側面の表示。東横線直通の列車はこのようにピンク色の文字で種別案内がなされます。全種別この色のため、東横線系統では各停・通特・特急の3種別が全て同じ色で、通勤特急が間違って特急と表示して通過していった日があったそう。

先ほどのゆめが丘駅を再び通ります。今回の使用車両には中間に田園都市線からの転用車が組み込まれており、相鉄線内では東急5000系列にたくさんある内装のうちいわゆる「緑内装」且つヘッドレスト付きのもの以外はすべての種類を見ることができます。

 

改めてまとめると、相鉄車に乗り入れる5000系列の内装別にまとめると、

暖色内装→4101F〜4104Fの1〜5・7〜10号車、4105F〜4109F、4111Fの1〜4・7〜10号車、4112F〜4115Fの1〜3・6〜10号車

寒色内装(元5000系)→4101F〜4104Fの6号車

Shibuya Hikarie号→4110F

ローズ内装→5181F〜5190Fの1〜3・6〜8号車

緑内装ロングシート→3000系の4・5号車、4111Fの6・7号車、5181F〜5188Fの4・5号車、5189F・5190Fの5号車

緑内装L/Cカー→4112F〜4115Fの4・5号車

オレンジ内装(元6000系)→5189F・5190Fの4号車

つまるところ、東急から乗り入れてくる車両たちのうち、すべての車両で内装の種類が一様に揃っているのは4105F〜4109Fと3020系の計8本だけで、それ以外はどこかが不揃いになっているんですね。

 

 

(19)新横浜→武蔵小杉 臨時各停 武蔵小杉行き

 

新横浜で一度降り、臨時の武蔵小杉行きに乗り換え。開業初日ですが、Jリーグの試合やコンサートなどによる混雑を見越して臨時列車の設定があります。運行番号は前の記事の3020系と同じ「82K」ですが、先ほどの臨時列車でホームドア点検を連発したため流石に交代となり、この列車では5080系5190編成による代走となりました。

まぁこの編成も大概で、中間4号車のデハ5490は元大井町線の6000系からの編入車(元デハ6302)。一部の機器は5000系6ドア車の廃車発生品を流用していて、さらに新造増結車も1両組み込まれていることから1編成に3種類の内装と4形式の要素が混在しているという、東急随一の変態編成です。こんなものまで相鉄線に直通させるのですから面白いです。

今日は遅延のため武蔵小杉手前で列車が詰まっており、そのため元住吉では東横線の各停に乗り換えるよう誘導が行われました。それなのに今度はその各停が信号に詰まり、新横浜線の臨時列車の方が先に着いたばかりか先行の急行に接続してしまう始末。この日はもうずっとダイヤがはちゃめちゃでした。次の日に至っては走るはずの臨時列車が走らなかったり。大混乱。

 

(20)武蔵小杉→新横浜 急行 海老名行き

折り返して再び新横浜へ向かいます。今度の急行もまた3000系。一体何度遭遇したら気が済むんでしょう。もう今回の主役ですかね。

ただ今度の列車は新横浜から特急に化けています。相鉄線内とはいえ、東横線時代には実現しなかった3000系の特急列車。きっと素晴らしい走りを見せてくれるでしょう。

 

(21)新横浜→日吉 各停 西高島平行き

最後は新横浜線の珍客、6300形の各駅停車で日吉に帰ります。日中の急行はすべて相鉄線直通なので、新横浜線にはほとんど入ってきません。日中運用はゼロ。ですがその特徴的なVVVFの音色はよく響き、目黒線ではほとんどやらない高速運転が見られます。

ちなみにですが、この列車は日吉駅手前でかなり長いこと待ちぼうけを喰らわされました。というのも、

(1)先行の相鉄線からの急行が大幅に遅延しており、その直後に出発した。

(2)が、その急行とこの各駅停車の間に日吉始発の各駅停車が1本挟まっており、日吉始発の各停が優先された。

このような状態ですが、日吉駅のすぐ手前まで35‰の急坂が続くため、一度停止してそこから発進しようとすると後ろに1mくらいずり落ちていく始末。まさしく教習所で坂道発進に失敗した残念パターンです。これで如何に新横浜線の勾配が急であるかがお分かり頂けるかと思います。

 

そんなこんなで旅を終えたわけですが、乗ってみてダイヤが極めて複雑化していて混沌を極めている、と感じました。それゆえに列車が簡単に遅延したりと、まだまだ課題は多くあります。

そのうえもう一つ、「直通」の言葉のあまり途中駅の同一ホームで列車を乗り継いで行くというスタイルがあまり定着していないように感じます。というのも、

 

(1)新横浜で「西武線直通は次いつ来ますか?」

→1本も来ませんので武蔵小杉で乗り換えてください

(2)「東横線直通はいつ来るんですか?」

→しばらく来ないので臨時各停乗って武蔵小杉で乗り換えてください

(3)「南北線直通は来ないんですか?」

→次は1時間以上後なので、今度の急行乗って白金高輪で乗り換えてください

(4)新横浜で、海老名行きを見送って次の湘南台行き(15分ほど後)を待つ乗客がいた

 

などといった質問(etc...)を駅員に投げる乗客が散見されたためです。

確かに直通と言うと目的地までずっと同じ電車で座って移動するというスタイルなのかと言われそうですが、この新横浜線の開業でその概念に疑問を投げかけることとなりました。

それもそのはずで、

(例1)湘南台〜浦和美園

湘南台→(横浜行)→二俣川→(西高島平行)→白金高輪→(浦和美園行)→浦和美園

(例2)大和→所沢

大和→(西高島平行)→武蔵小杉→(Fライナー森林公園行)→小竹向原→(有楽町線からの小手指行)→所沢

 

などといったように、同一ホームでひたすら乗り継がなければ辿り着けないケースが多々発生しています。しかし反対にこれは利点でもあり、これまで「海老名→横浜→東急渋谷」などのケースで乗り換えのため歩く距離が長かったところが隣のホームで乗り換えるだけになったので、だいぶ楽になりました。その辺りがあんまり浸透していないような気がしました。

 

・その後何度か乗ってみて

開業の翌日、家族を連れて乗りに行ったら、本来存在していないはずのスジで走る都車8連の各停に乗車することに。折り返しが事前発表のあった臨時の西高島平行き(定期の日吉始発列車が新横浜・新綱島に臨時停車)だったので、「回送にするの面倒だから営業しちゃえ!」という魂胆だったんでしょう。

まぁ、どれにしろこの路線にはまだまだ伸び代がありそうな気がします。開業当初の相鉄・JR直通線は決して好調とは言えなかったのですが、こちらでは新幹線効果で人気絶大。割とたくさんのお客さんが乗っています。建設費返済があるとはいえ、新幹線効果もあって増収につながるドル箱になってくれるでしょう。

 

というわけで4回にわたって続いた相鉄・東急直通線開業初日レポートはお楽しみ頂けたでしょうか。

様々な投稿をしていければと思うので、今後ともよろしくお願いいたします。