4月も終わりに近づきました。
現在は、ゴールデンウイークですが、そろそろ熱中症に気を付ける時期になります。
今回は、大企業健保の赤字が、過去最大6578億円、高齢者医療費重くについての紹介です。
日経新聞によると、
健保組合の合計経常収支は23年度予算(5621億円の赤字)から悪化が進む。
赤字額はリーマン・ショック後の財政悪化で解散が続出した09年度の5234億円(実績値)を上回り、過去最大を見込む。
健保連は23日に24年度予算の早期集計を公表する。
赤字が拡大するのは、高齢者医療への拠出金が増える要因が大きい。
日本の医療保険制度は現役世代が高齢者医療費の一部を負担する仕組みになっている。
高齢化の影響で24年度は拠出金が前年度比5%増の3兆8774億円に膨らむ。
このうち75歳以上の後期高齢者向けは2兆2769億円と4%増える。
健保組合の加入者への医療費支払いは5兆756億円と6%増える。
従業員の平均年齢が上昇し、生活習慣病などにかかりやすくなっていることが一因だ。
医療の高度化で、高額な治療法や医薬品が広がった影響もある。
支出の増加に対し、加入者からの保険料収入は8兆8851億円と4%増にとどまる。
支出が収入を上回り、赤字を見込む組合数は1194と前年度から103増える。
赤字組合は全体の9割弱にのぼる。
収支悪化に伴い、健保組合が加入者に課す保険料率を引き上げる動きが広がる。
24年度に料率を引き上げる組合数は150。
全国の健保組合の保険料率は平均9.32%と、前年度から0.05%上昇する見通しだ。
健保組合が解散を検討する保険料率の目安は10%とされる。
中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の料率が10%で、
これを上回れば企業が自前の健保組合を運営する意味が薄れるためだ。
このため組合の多くは短期的に保険料収入が足りなくても、すぐには料率を引き上げず、
代わりに予備費や積立金を取り崩して資金を工面する。
実質保険料率と呼ぶ、収支を均衡させるのに必要な保険料率は24年度に10.27%を見込む。
10%超えは2年連続となる。
厳しい財政状況が続けば、解散する健保が増える可能性がある。
23年度には2組合が解散した。
健保が解散した場合、加入者は協会けんぽに移る。
企業が個別に提供してきた健康増進プログラムなど、充実した福利厚生を受けるのが難しくなる。
協会けんぽの運営には公費が充てられているため、国家財政の圧迫要因にもなる。
健保組合の保険料は加入者の給与や賞与を基に算出した金額に、保険料率を掛け合わせて計算する。
企業が賃上げすれば健保組合の保険料収入は増える。
24年度は大企業の間で賃上げが広がっているものの、予算の早期集計の段階では十分に織り込んでいない。
保険料収入が当初の想定よりも増え、収支が上振れする可能性はある。
1%の賃上げは800億円規模の保険料収入の上乗せ要因となる。
24年度は保険料率を引き下げる健保組合も75ある。
健保組合で財務の二極化が進んでいる恐れがある。
高齢者医療への拠出金は今後さらに膨らむ見通しだ。
少子化対策の財源となる「子ども・子育て支援金」も医療保険料に上乗せして徴収するため、
現役世代の重荷はさらに増す。
社会保障の持続性を高めるためには高齢者の医療費の窓口負担を支払い能力に応じて引き上げるなど、
より踏み込んだ改革が求められる。
高額医療、健保財政を圧迫 1000万円以上が1700件
健康保険組合の財政悪化の要因の一つに、高額医療の増加がある。
技術革新が進み、がんや難病に効果がある画期的な新薬が相次ぎ開発されている。
かつて「不治の病」とされた病気に治療法が出てきた一方で、医療費の高額化が進んでいる。
健康保険組合連合会(健保連)は高額な医療費が個々の健保組合の財政に及ぼす影響を和らげるため、
高額医療が発生した健保組合に対し、すべての健保組合から集めた拠出金を交付する制度を設けている。
規模の小さい健保組合で高額な診療報酬明細書(レセプト)が数件発生すれば、
財政が急速に悪化して解散に追い込まれる恐れがあるためだ。
健保連によると、2022年度に同制度に申請したレセプトのうち、
1カ月の医療費が1000万円以上の件数は前年度比18%増の1792件と過去最多だった。
5年間で3倍強に増えた。
レセプトの金額上位100位の疾患をみると、
22年度は悪性腫瘍が金額ベースで半分以上を占める。
高額ながん治療薬「キムリア」などの保険適用が影響した。
高額医療を巡る負担は今のところ健保連全体でカバーできているものの、
今後も保険適用される高額な医薬品が増えれば、健保連全体の財政を揺るがしかねない。
高齢者医療への拠出金の増加に加え、健保組合運営における新たな悩みの種となりつつある。
後期高齢者医療制度への支援金
75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度は財源の約1割を加入している高齢者が支払う保険料でカバーし、
約5割は国と都道府県、市町村による公費で負担する。
残るおよそ4割分を現役世代が加入する健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)、
国民健康保険が「支援金」を拠出してまかなう。
厚生労働省によると後期高齢者の医療費(2024年度予算ベース)は20兆円で、
現役世代の支援金による負担が7.4兆円を占める。このうち協会けんぽが2.4兆円、健保組合は2.3兆円だ。
後期高齢者医療制度への支援金は「高齢者医療を社会全体で支える」という考えに基づくが、
少子高齢化の進展に伴って医療費が増大するにつれて現役世代の負担は重くなっていく。
以上です。
少子高齢化で、健康保険の運営が厳しくなっています。
日本の健康保険制度を維持していくための対策が急務です。