12月も半ばを過ぎました。

今年も後14日余りです。

 

今回は、企業心理改善し、裾野広がる、人手不足が賃上げに追い風についての紹介です。

 

日経新聞によると、

 

日銀の12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、幅広い業種で景況感が改善した。価格転嫁が進展し、企業業績を押し上げた。

一方で人手不足は深刻化している。

賃上げ機運を高めるが、人手を確保できない企業は業績悪化につながる。

賃上げと物価上昇の好循環が続くかどうかが今後の焦点となる。

 

大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12と、前回9月調査から3ポイント改善した。

3期連続の上昇となった。非製造業はプラス30と3ポイント改善し、1991年11月以来の高水準となった。

 

中小製造業のDIはプラス1と、19年3月以来、4年9カ月ぶりにプラスに転じた。

日銀の担当者は中小企業にも「価格転嫁の動きが広がっている」と指摘する。

大企業や中堅企業、中小企業という規模別の業況判断を、製造業と非製造業で分けた6分類のDIはすべてプラスとなり、景況感改善の裾野は確実に広がっている。

 

規模と業種を問わない改善は経済の持続的な回復を示唆する。

 

首都圏と近畿圏で食品スーパーを展開するライフコーポレーションでは11月の既存店売上高が前年同月比3.3%増と堅調だ。

「行動制限の解除やインバウンド(訪日外国人)の増加で好調だ」(岩崎高治社長)。

価格転嫁で1点単価は前年から5〜6%高い水準で推移する。

 

短観によると23年度計画ベースの売上高経常利益率は全規模全産業で6.74%と、9月調査より0.39ポイント改善した。

価格転嫁が進んだ一方で原材料高が一服し、採算が改善しているとみられる。

中国など海外需要には一部不安が残るものの、内需をけん引役に回復が続いている。

 

実質GDP(国内総生産)の成長率について、市場では10〜12月期以降、プラス転換を見込む声が多い。

7〜9月期は個人消費が弱くマイナス成長となっていた。

 

大和総研の神田慶司シニアエコノミストは10〜12月期の実質GDPについて前期比年率2.8%増と予想する。

「自動車の挽回生産や、インフレ率の低下が個人消費の回復に寄与する」とみる。

 

SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは同1.2%増と予測する。

「賃金上昇にともなう実質の雇用者報酬の持ち直しや、人手不足解消のための設備投資」などにより、2024年に入ってもプラス成長が続くとみる。

インバウンド消費も景気を下支えする。

 

もっとも先行きは順風満帆とはいえない。

焦点は人手不足への対応だ。

12月短観によると雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」を差し引いた指数は、中小の非製造業では3ポイント悪化のマイナス47だった。

比較できる1983年5月以降で最も人手不足度合いが強まった。

 

労働需給環境の逼迫が賃上げに結びつけば、一般従業員にとっては追い風といえる。

雇用確保へ24年春の労使交渉での賃上げ機運は高まる。

全日本運輸産業労働組合連合会は30年ぶりの水準となる6%の賃上げを求める方針だ。

 

大手企業は増益基調を維持しており、賃上げの原資を確保している。

一方で中小企業まで賃上げ機運が広がるかどうか、まだ見通せない。

 

金属加工を手掛けるムソー工業(東京・大田)は今後の賃上げについて「現状では難しい。取引先の大手企業が下請けの価値を認め、取引価格に反映してもらう必要がある」(尾針徹治社長)と指摘する。

 

賃上げ余力の有無で企業の優勝劣敗が鮮明になっていく可能性がある。

人手を十分に確保できない企業は需要を取り逃し、業績が低迷しかねないからだ。

 

居酒屋大手のモンテローザ(東京・杉並)は人手不足の現状について「売り上げが大幅に回復している一方で店舗従業員の採用や教育が思うように進まず全体的に人手不足感がある」とした。

時給に追加手当を加え、人手確保を進めている。

 

今回の短観では企業業績の好調と強い設備投資意欲が示された。

一方で人手不足の深刻化も明らかになった。

人が足りず設備を十分に稼働できない可能性もある。

中小企業も含めて賃上げが広がらなければ、内需の伸びは緩慢になりかねない。

好循環の持続に向けて乗り越えるべきハードルは多い。

 

以上です。

 

今後の景気の先行きは、人手不足と賃上げが鍵となることは、間違いありません。

中小企業も賃上げできるような体制を作らないと、先行きは厳しいです。