今年ももう少しです。

来年に向けて、スタートダッシュができるように準備しましょう。

 

今回は、出口欠くコロナ対策のツケで、雇用保険料率0.2%上げについての紹介です。

 

日経新聞によると、

 

 

厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会は19日、雇用保険料率の引き上げを了承した。

2023年4月から0.2%上げ、労使が負担する保険料率は賃金の1.35%から1.55%に上がる。

新型コロナウイルス禍の雇用下支え策は長期化し、財源枯渇を招いた。

短期集中で対策を講じた欧米各国と異なり、出口を示せないまま支出が膨らみ、副作用を生む構図は原油高対策などほかの危機対応と重なる。

 

労働者の料率は0.5%から0.6%に、事業主は0.85%から0.95%に、0.1%ずつ上がる。

蓄えが底をついたままでは次の危機時に雇用保険がセーフティーネットとして機能しない恐れがある。

 

雇用保険制度は保険料を事業主と労働者が負担する「失業等給付」と「育児休業給付」、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」(二事業)の大きく3つの区分がある。

改定は失業等給付向けの保険料のみで、育休給付と二事業は据え置く。

 

コロナ禍の雇用下支え策で莫大な資金を要したことが引き上げ理由だ。

 

従業員の休業時などに支給する雇用調整助成金(雇調金)はコロナ禍で支給要件を大幅に緩和し、22年12月9日までの支給決定額が6兆2000億円を超えた。

雇調金を担う二事業の積み立てがなくなり、本来は別会計の失業等給付の積立金から借り入れる異例の対応を取った。

 

もともと失業等給付の積立金は潤沢で、保険料率を法定の原則より下げていた。

今回の引き上げで0.8%になれば法定の料率に戻る。二事業の料率は0.35%が既に法定水準のため据え置く。

 

財政逼迫の危険性はコロナ禍早期から指摘されてきた。

政府も経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に雇調金を「段階的に縮減」すると明記してきた。

ただ、新たな感染の波などを理由に特例継続を繰り返した。

 

政府はようやく来年1月での雇調金特例の原則終了を決めたものの、二事業の積み立てだけでなく、失業等給付の積立金もコロナ禍前から3兆円以上減った。

 

同じように対策が長期化し、支出が肥大化しているのが原油高対策だ。

政府は石油元売りなどに補助金を配ってガソリンや軽油などの販売価格の上昇を抑える激変緩和策を講じている。

22年1月から始め、ウクライナ危機後に延長・拡充した。

12月までで計3兆1000億円余りの予算を措置した。

 

22年度第2次補正予算でも補助金の縮小を盛り込みつつ23年1月以降も継続するために3兆円を盛り込んだ。

電気代と都市ガス代の上昇を抑える激変緩和策も新たに講じ、3兆1000億円余りを計上した。あわせて9兆円を超す国費を投じることになる。

 

政府は終了時期を明確に示せてはいない。

市場メカニズムを阻害し、脱炭素化に取り組む一方で化石燃料の消費を助長する矛盾もはらむ。

 

エネルギー価格の高騰が日本より顕著な欧州も集中的に対策を打っている。

欧州のシンクタンク「ブリューゲル」の試算によると、21年9月から22年11月末までに措置した各国政府予算の国内総生産(GDP)比はドイツが7.4%、英国は3.5%、フランスで2.8%となった。1~2%程度の日本より大きい。

 

支援の効果を最大化し副作用を抑えるためには、対策にメリハリを利かせつつ常に出口を見据える姿勢が欠かせない。

正常化が遅れるほど、後にツケを回すことになる。

 

労働移動を阻害、副作用の恐れも 企業に過剰な労働力

世界の主要国は既にコロナ禍で特例的に実施した雇用の下支え策を終了している。

 

労働政策研究・研修機構(JILPT)のまとめでは英米はコロナ禍直後に集中的に下支え策を実施し、21年中に終了した。ドイツもコロナ対策としては実質的に22年6月末に終えた。

 

世界的に雇用下支え策の縮小や終了による失業率の上昇や倒産の増加が懸念されたが、JILPTは下支えの縮小による労働市場への負の影響は「報告されていない」と説明し、「むしろ一部の業種で深刻な労働力不足が起きている」と分析している。

 

厚生労働省は雇用調整助成金により20年4~10月の完全失業率を2.1ポイント分抑制したと試算する。

100万人規模の雇用を守ったことになる。

一方、日本でも足元では人手不足が深刻だ。

雇調金によって企業が過剰な労働力を抱える「雇用保蔵」が起きているとの指摘もある。

 

100万人の失業を防げば、その分、新規に労働市場に出る求職者は減る面がある。

雇用を過度に守ると人手を必要とする成長分野への労働移動を阻害する副作用をおこしかねない。

経済界からも雇調金への支出に偏るコロナ禍の雇用対策を改め、より人手不足などへの対応を求める声が出ていた。

 

以上です。

 

今年最後のブログ更新です。

来年もよろしくお願いいたします。