10月も後半となりました。

今年中に、やるべきことをピックアップして、取り組む必要があります。

 

今回は、中小企業が、賃上げへ三重苦についての紹介です。

 

日経新聞によると、

 

物価高で賃金上昇が一段と重要になっているが、暗雲が垂れこめている。

雇用された人の7割が働く中小企業で賃上げへの逆風が強まっているためだ。

円安による原材料高、進まぬ価格転嫁、新型コロナウイルス禍で受けた融資の返済負担。

三重苦を脱するのは容易ではない。

 

2022年版の中小企業白書によれば、中小企業で働く人の数は民営事業所の従業者総数の68.8%(1次産業を除く、16年)を占める。

21年度の財務省・法人企業統計調査から企業規模別に従業員に支払っている人件費を計算すると、給与・賞与の額は資本金1億円未満の企業の合計(82.5兆円)が全体の52.6%と半分を超える。

1億円以上10億円未満の企業の合計(30.6兆円)も19.5%。

賃金総額のなかで中小企業が払っている割合は大きい。

 

①円安が経営圧迫

規模の大きな企業では年功制の見直しが進むのに伴い、中高年社員を中心に賃金が減額になるケースが少なくない。

これに対し中小企業は人手不足を背景に、賃金の抑制が大企業ほどではない。

その様子は厚生労働省の賃金構造基本統計調査から見て取れる。

男性従業員について残業代などを除いた所定内給与(月額)を01年、11年、21年と追ってみた。

 

従業員100~999人の企業は01年の32万9400円から11年に31万6100円へ減ったものの、21年は32万8000円と01年並みに回復。

10~99人の企業は21年が30万3600円で、01年の29万9200円を上回る。

 

だが、中小企業の賃金の先行きは不透明さが増している。

影響が大きいのが円安だ。

中小企業は内需型の企業が多く、円安による原材料価格の高騰が経営を圧迫する。

問題は膨らんだコストの価格転嫁が十分に進んでいないことだ。

 

東京商工会議所が8月、東京23区内の中小企業を対象に実施した調査によると、原油・原材料価格の高騰や円安の進行などに伴うコスト増加分の価格転嫁について「全く転嫁できていない」(22.9%)、「転嫁できたのは半分に満たない」(29.7%)を合わせ、価格転嫁に苦しむ中小企業は半数を超えた。

 

②加えて中小企業には新型コロナ関連融資の返済負担ものしかかる。

帝国データバンクは8月に「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」を実施。

1万1935社(このうち中小企業は1万23社)から有効回答があり、コロナ関連融資の借り入れが現在あると答えた企業は49.2%にのぼった。

借り入れがある企業に返済状況を尋ねたところ、8月時点で5割以上を返済した企業は13.3%にとどまる。

 

③中小企業の収益性の低さが、あぶり出されている格好だ。

「稼ぐ力」が弱い根っこには、中小企業が税制や助成金での優遇を受けやすくしてきた政府の保護政策がある。

継続的かつ安定的に賃金を引き上げていくためには、収益力の向上を促す政策が欠かせない。

自助努力の妨げになる過度な支援は控え、企業や事業の新陳代謝の促進に軸足を置く必要がある。

 

規制見直し急務

成長分野への企業参入を阻んでいる規制の見直しは重要だ。

収益性の高い事業に挑戦する中小企業を増やすことにつながる。

低賃金の労働力に頼らない企業を広げていかなければならない。

 

岸田文雄首相は10月初めの所信表明演説で、企業の生産性向上を軸とした「構造的な賃上げ」をめざすとした。

そのためには競争や新陳代謝の促進へ中小企業政策の見直しが求められる。

 

公共職業訓練の充実も急ぐ必要がある。

大企業と比べ自前で従業員の能力開発を進める余裕の少ない中小企業にとって、国や都道府県による職業訓練の意義は大きい。

 

厚労省の労働組合基礎調査によれば、雇用者数に占める労働組合員数の割合を示す推定組織率は規模の小さい企業ほど低い。

中小企業は経営者に圧力をかけることによる賃上げの実現は期待しにくい。

賃金上昇には収益力の改善努力が大企業にもまして大事になる。

 

 

以上です。

 

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今後、人材確保のため、中小企業も収益力を高めで、賃上げに対応する必要があります。