郷愁 -回復期- | 妻と私の異世界生活

妻と私の異世界生活

2020年の春
妻が統合失調症を発症

突然、異世界に放り出された妻と私の闘病記録

急性期、休息期を経て回復期に入り安定したのも束の間、2023年の夏、妊娠発覚と同時に再発

いつかこのブログが誰かの助け舟になります様に。









-発症から3年2ヶ月-

4連休をとり私の故郷に帰りました。








元気になり遠足気分の妻は、

前日に買いだめした駄菓子を食べ、

時折、後部座席のデグーに、

「おーい、元気か?予防

と問いかけながらうとうとしていきます。








そしてパーキングの螺旋の遠心力で起きます。

「おい!大丈夫かあんぐり

「ただのカーブや、いつもそれやん」

「気をつけろよあんぐり







実家に着くと母ひとり、

「この前バックありがとう」

「あのバック病院に行く時、ちょうどいいわ」

最近、送ったバックの件です。







「お婆ちゃんデーサービスに遊びにいっとる」

「お父さんは給食配給の仕事」

「お母さんはニートね」

実に早い本日の自己紹介。








妻と母はコーヒーを飲みながら、

「初日の保護室が床とトイレの穴だけで」

「組織に監禁されたと思ってました」

「えーベットないん?え、ぼっとんなの?」

「そういえば先生」

「部屋が空いてなくてとか言ってた」







「そうなんですよ、床も冷たくて」

「次の日は服全部取られて連れてかれて」

「もう終わったと思いました」

「なんやー初日から病室みたいやと思ってた」

「外から見える場所は綺麗やったのよ」








「よう頑張ったね、私なら頭狂うわ」

「もともと狂ってたんで大丈夫でした」

「地下にはもっとすごい場所があるんですよ」

という感じで、

今まで妻が言わなかったような話を、

楽しそうに笑いながら話していました。








妻がトイレに行ってる間に、

「雰囲気も話し方も元に戻ったね」

「なんか楽しいわ

と母は嬉しそうにしていました。








祖母が帰宅して、

「あのバックちょうど良かったの、ありがとね」

父も帰宅して

「あのバック色々入るでええんやわ」

とみんな同じような事を言って、

使っているぞアピールを妻にしていました。








夜は定番の鰻屋さん、

次の日の朝は山の中の喫茶でモーニングです。

道中も母と妻がよく喋っていました。








私は懐かしい街並みに身を委ね、

元の世界に戻ってきた実感を噛み締めました。







帰り際、

「そういえばあのパズル完成したから持ってって」

と急に渡されました。







妻が病気になる前、

私がモネの絵が好きと聞いた妻が、

どこかで買ってきたパズル。








妻の看病をしながら母と進めていましたが、

妻が急性期になり3年も止まっていたものを、

前回帰郷時に持って帰って母に渡していました。







「働いてないからすぐ出来たわ」

「すごい、私には絶対無理です」

「え、自分で買ってきたのに…」

「私は暇やで集中できるの」







父が選んだ綺麗な額縁、

足りなかったピースを取り寄せ、

今回渡すために完成させたのだと思います。








妻がすぐに飾ると言うので、

玄関のところに飾りました。

妻の調子を気にすることもなく、

今回はただただ普通に帰郷できました。