地味な行動が人を動かす | 武井義勇(kammy)のブログ

武井義勇(kammy)のブログ

僕は、公立小学校の教員をしています。

その中で大切にしたいことや、自分の生き方を考えてきました。それをシェアしていきたいです。

いつもお読みいただきありがとうございます😊本質の追究者の武井義勇(たけいきゆう)です。


先日ある党の国政候補者の事務所に行って、お話を伺ってきました。政治家を目指す方の事務所にお邪魔するのは初めての経験でした。

この方は、地元の駅で街頭挨拶をされていて知った人です。配られたパンフレットに「日本の誇りを取り戻そう」といった言葉が書いてあり、電車に乗ろうとホームまで降りた僕は踵を返してお話を聞きにいったのでした。


それから何度か勉強会にも参加し、メッセージの交換もさせていただきました。こんなにも政治家を目指す人を身近に感じたことはなく、信頼できる方だと思ったので事務所にも伺ったのでした。


そこでお話を伺った時間は約1時間。30分というお約束だったのですが、少し延長してもらえました。一言で言って、非常に学びの大きいお話を伺えたのです。今日はそこからシェアしていきます。

この方のお名前をFさんとさせていただきます。



Fさんがおっしゃるには、「選挙で勝つ力」と「政策を進める力」は別物だということです。

少し考えれば分かると思いますが、当選したからといって優れた政治家かといえば、そうでない例もたくさん見受けられますよね。

例えば選挙で強い人というと、有名人や二世議員等、元々顔が知られている人たちです。タレントが議員になるようなことが多いのは、有権者が誰に投票してよいのか困った時に、とりあえず有名な人に入れておこうと考えるからです。


また、誰かの紹介というのも選挙に強い人の特徴です。政治に詳しい人が、同じ地域在住のあまり詳しくない友人にその人を紹介すると票が集まるということがあるそうです。あまり詳しくない人は選挙の時に特に誰に入れようという意思もないので、「あの人が言っていた人だ。」という感じで票を入れるからです。


Fさんがおっしゃるには、選挙に勝つためには相当な努力や労力を割かなければなりません。特に、有名人でも、土着的な基盤がある人でもない限り、ここを通すのは並大抵のことではありません(ちなみにFさんはこのどちらもない)。


しかし選挙で勝つための労力をかけているうちに、それがメインになってしまって、肝心の政策がおざなりになることが多いのだそうです。これは納得するところです。


教育現場でも、授業や行事などの「こなさないといけない業務」に忙殺されて、自分の行いたい教育や信念を貫くような教育活動がほとんどできない状態にあります。本来は後者の活動が大切で、これを行うことで良くなっていくものなのに、前者で自転車操業するために一向に改善していかないのです。




では「政策」を進めるためにはどのようにしたらよいのでしょう。Fさんがおっしゃった二つのことがとても大切だと思ったので紹介します。

一つ目は
「仲間を増やすこと」

二つ目は
「根回しをしておくこと」

です。


僕は現任校でいろいろ変えていきたいと思っています。5年目に突入したので、ある程度の発言力があるはずなのですが、遅々として進みません。

だからFさんに質問しました。

「僕は組織をより良くしていきたくて提案するのですが、全然良くなりません。何でなのでしょうかね。」

するとFさんがいの一番におっしゃいました。

「仲間を増やす必要があります!」

と。政治の世界で力があるのは与党です。なぜならば「数が多いから」です。一人では何もできないけれど、数人集まるだけで力が大きくなります。数というのは事実として物事を動かす力となるわけです。


僕が上手く進められないのは、仲間が少ないからです。議席の少ない野党のように、周りからやいのやいの言っていても、ほとんど耳を貸してもらえません。それがどんなに良い政策だったとしても、多くの人の耳に届かないわけです。


Fさんがおっしゃるには、仲間が増えることでそこからさらに広がっていくということです。FさんがAさんに伝える。するとそのAさんがBさんに伝える。BさんはCさんやDさんに伝える。といった感じで裾野を広げることができます(ネットワークビジネスもこれと同じ仕組みです)。


至極当たり前のことだったのですが、僕はこの重要性にほとんど気づきませんでした。仲間を増やすということは、自分の夢を叶えるために必要なことなのです。



そしてこの過程で大切にすることが、

「根回しをする」

ということになります。根回しというと、どこかネガティブな響きを感じますが、Fさんはこれが最も大切だとおっしゃっていました。

というのも、農林水産省の官僚出身のFさんは、政治がこれによって動くことを痛感したからです。

官僚が考えた素案を政治家に伝えて通すためには、その政治家がどのような人物なのかを把握する必要があるのだそうです。その人の性格を見て、どのようなタイミングでどのように伝えるのかをみんなで知恵を出し合いながら考えるのだそうです。


Fさんの言葉で印象に残ったものがあります。

「農水省に入って最初に、このことを訓練させられた」

というものです。言い方が悪いですが「上の人の顔色をうかがって、どのようにしたら自分の考えを通せるのかを考えること」を、役人は叩き込まれるわけです。


だから仲間を増やす必要があります。組織の中で自分の考えを支持してくれる人を増やします。それは初め数人でよいとのことです。

そしてその人たちと共に、さらに仲間を増やしていきます。この時必要なことが「対話すること」です。

対話というと、教員の僕はクラスの中での話し合いといったイメージをもっていますが、Fさんにとっては少人数で互いの意見を交換し合うことを指しているようです。


「中国に車をもっと輸出したい」と考えたとします。そうしたら大きな委員会でその考えをいきなり発表するのではなく、同じように考える人を探すのが第一です。


そこで何人かの仲間が見つかったら、その中でより考えを深め合います。これが第二段階。


その後、それぞれがそれぞれでまた他の人に打診していきます。この時政治家に限らず、企業の人や学者、トレーダーなど様々なジャンルの人に声をかけていくとさらなる繋がりが生まれるということです。


この過程を経て、今度はそれに賛成でも反対でもないような人に声をかけていきます。この中間にいる人たちを引き込めるかどうかで勝敗が決するということです。


こういった活動を経て、ようやく最後に大きな委員会や国会で提案するわけです。


このような過程は水面下で行われることが多く、可視化されていません。僕たちが目にする国会中継は、こういった過程を経た上での話し合いなのだそうです。


僕はつい、国会の討論の場のような派手なところを見て判断してしまいますが、あの場で話し合われていることの何十倍の労力や時間が、水面下(地味)で費やされているということを知りました。


「そりゃあ、僕の意見は通らんわ。」

と思いました。僕はほとんどこの水面下での労力をかけてこなかったからです。


根回しをすることは、別に日本特有のものではないそうです。国際会議の場でも、同じように水面下のやり取りが為されます。首脳会談のような話し合いの場でも、話し合いのトピックがあって、それについてある程度の台本が作られるとのことでした。


僕は驚きました。「始めから決まっていることもあるのか!」と。


そうなると、大切なことが何か自ずと分かってきます。


人の行動の中で肝になるのは、地味な行動です。つまり

「地味な行動が人を動かす」

ということです。


僕たちはつい、物事の派手なところを見てしまいがちです。

例えばアイドルのコンサートに行ったら、アイドルが歌って踊っている華やかな部分に目が向きます(それでいいんですが)。けれどそのコンサートのために、歌を覚えたり、踊りを考えたり、体力をつけたり、宣伝したり、スタッフと打ち合わせしたり、他にもきっといろいろ、本番の何十倍もの時間を地味な行動に費やしているのです。


そう考えると、表面に出てきているものだけでは到底その人を判断できません。その人が、水面下で、いかに地味な行動を繰り返しているのかという点が最も大切だと言えるのではないでしょうか。派手な行動は、地味な行動の積み重ねに裏打ちされたものでないと、本当の意味では評価できないものなのです。


そしてこれは、前回のブログにも記した「修養」の本質とも重なります。修養は非常に地味なものです。けれどこれを積み重ねておくことで、臨機応変に対応する力が養われます。



政治という一見派手で、人前に出て行動するような職種であっても、その本質は他のものと何も変わらないことを今回知ることができました。政治の世界を僕は理解することはできませんが、水面下での行動原理は理解することができます。これはどの職業であっても何も変わらない本質だからです。



今後政治家を見る時に、「この人は水面下でどのような行動をしているのか」に想像を張り巡らせてみたいと思います。


今回、貴重なお話を提供してくださったFさんに感謝の意を込めて、僕の学びのシェアとさせていただきました。


最後までお読みくださりありがとうございました。