5年ぶりの北京(5)~投訴 | 小春日和日記

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滞在中、二十年以上前に作ってそのまま放置していた銀行口座を復活させるために、夫と銀行を訪れました。

いろいろ面倒な手続きを進めていくうちに、銀行員が私の日本での「納税番号」が必要だと言い出した。さあ、ここからすったもんだが始まった。

納税番号って?そんなのあったっけ?と私が頭の中で考えている最中に、夫は「そんなものはない、あったとしても個人に属するもので他人に教えるものではない」と即答。あろうがなかろうが、即刻拒否の姿勢。

 

そしたら相手は「保険証番号」でもよいと言う。

私はまた頭の中でくるくると考える。

あ、保険証だったら、部屋に戻ればお財布に入ってる。それに保険証はもうすぐ廃止になるから番号教えてもいいかも。でも今から取りに戻るのは面倒。

 

…私が何か口を開きそうな感じを察し、夫は私を制するように先回りして、保険証番号も今わからないし、日本ではそういうのは他人に教えるものじゃない、と言う。

銀行員は、規則でそれがないと口座を復帰できないとの一点張り。

だいたいそんな番号を知って何に使うんだ、ただ情報を集めたいだけだろう、と夫はヒートアップし、声が大きくなる。

 

はしょって書いているけれど、そもそも納税番号がいるという話が出てくる前の段階で、すでにかなり時間がかかっている。なぜなら私の口座はもうシステム上になく、古い記録から探し出してこなければならないからとても時間がかかると。そこから番号うんぬんの押し問答で、さらに時間は経過。

揉めているのを聞きつけて、背後からフロアの責任者が声を掛けてきた。

30代くらいの小柄な女性だったので、私は初めこの女性を単なるお客様係と思っていた。(こういうところは、中国って実力社会だなぁと思ったが、夫に言わせると実力だけではだめで、親戚が銀行のお偉いさんでないと若くしてその地位には付けないだろうとのこと。)

 

責任者の女性は、口調も物腰も柔らかに夫をなだめるけれど、夫も主張を曲げない。

私について、

「何十年も前に中国に来ていて、中国語もできて、中国を愛している外国人がこんな目に合うなんて…」

などと臆面もなく言うので、隣で聞いていて恥ずかしくなる。

「あなた方は悪くないし、あなたたちを批判しているわけではない、こういう決まり自体が間違っているから、新聞に”投訴”(訴える、投書する)する、これを社会的な問題として議論しなければならない」

 

 

…と、いろいろなやり取りを経て、結局のところ、口座の継続はできず、解約をすることになりました。

 

始め、解約するにしても、休眠した口座を新しいシステムに移してからでなくては解約できないので、「番号」を提供しないと解約もできないと言われたのですが、”投訴”の話を経て、では解約の手続きなら番号の提供なしでやりましょう、ということになりました。

 

できれば口座を残したかったけれど、まずは口座に残っていたお金を引き出したかったので、同意した次第です。

 

後で義妹にこの顛末を話すと、

「やっぱり中国だよね。」

なぜなら、初めに銀行側が言っていたルール(決まり)が交渉によって変更されたから。

 

やり取りの中で、フロアマネージャーの女性が、最後の方で、”投訴”だけはしないでくださいね、というようなことを言っていたのが印象的でした。

 

 


この2日後、ホテルのレストラン前の段差を私が踏み外し倒れ、夫がレストランにクレームをつけた際もこの”投訴”という言葉が出た。


この話は次回に。


思い返せば、いろいろトラブルがあったのでした。