【BCCin名古屋】何故転職しなかったのか?/社長の孤独と責任 | 横浜の行政書士 藤田麻衣子| 建設業許可申請・経審ならお任せください!
横浜の行政書士 藤田麻衣子です。

いつもありがとうございます。



3月に奈良にご招待頂いたBCC。この日参加して下さっていた名南行政書士事務所の大野さんが「ぜひ名古屋でも!」とおっしゃってくださり、5月9日に行って参りました。





BCCとは何か


建設会社様の事例研究の中から導き出された建設会社成功法則を盛り込み、建設業経営をシンプルにモデル化したゲーム研修です。

今回の参加者の皆さまのほとんどが、建設業を専門としている、あるいはこれからしていきたいとお考えの行政書士の方々でした。

社長の気持ちや業界を深く知るために実際に建設業の経営をしてみたいと思っても、それはなかなか難しい話です。BCCではゲーム要素も取り入れることでリアルな経営と同じように「儲けなければ!」という気持ちがモチベーションとなり、そのためにどんな行動を取っていくのかを、お一人お一人が考え、選択できるようになっています。

【今回の流れ】
いつもと同様に、ルール説明、チーム編成、プレイ、振り返りと行いましたが、今回は特に振り返りに重きを置いて進めました。







何故転職しなかったのか?


今回は、奈良BCCでは無かった転職制度を設けました。つまり、経営者と社員が明確に別れるということです。更に社員の中でも、「ベテラン」と「若手」をそれぞれが自由に選べるようにし、「ベテラン」は持っているスキルを選ぶことが出来ました。若手には入札時に有利に運べるシステムを導入。



その結果、経営者は5人、ベテラン社員は6人、若手社員は4人となりました。





転職は募集さえ出ていれば自由に行うことが出来ます。しかし今回は転職が一度も起きませんでした。給与の点などで経営者に対する不満もあったにもかかわらず、です。

このことに対する運営側からの質問「なぜ転職をしませんでしたか?」に対する答えが、なるほどと思うものでした。



●2年目には3年目の話をし、3年目には4年目の話し合いをしている中で、給与をきちんと払ってくれている社長を裏切る気持ちにはなれなかった

BCCでは、実際の人ひとりにつき、2ユニットまでスタッフを管理できるというルールがあります。そしてベテラン社員であれば、技術力や事務力などのスキルを兼ね備えており、会社の経営にとって非常に重要な役割を担っています。リアル経営と同じ考え方です。

そのためどの会社もそうだったのですが、今期のことはもちろんのこと、来期どのスタッフを雇用するのか、どのスキルを備えるようにするのかなど、計画的な経営を皆さん行っていらっしゃいました。

そして大事なのは、そのことを「社員が知っていた」こと。

社員も経営の重要な部分に参画している会社がほとんどでした。社員がいなければ会社が回らない状況を社長が認識し、出来るだけたくさん給与を支払い、かつ会社も次年度に備えて何があっても耐えうる体力を備えるような、バランスの良い経営を行おうとしていました。

社員がその社長をそばで見ていることで「裏切れないな…」と思う気持ちが働いた部分は大いにあるのではないかと思います。この風通しの良さや、何よりも「社員が経営に参加しているのだ」「自分がこの会社を抜けたら大変なことになるのだ」という、存在意義を感じられたことが、「転職しない」というその選択の動機になっていたのではないでしょうか。

実際には給与は現金そのものであり、もっと「より高い給与」がモチベーションになるでしょうからBCCとの違いがあることは否定できませんが、「この会社で必要とされている」「自分がいなければダメなんだ」と思う仕組みは、もしかしたらこういうところにもあるのかもしれません。


社長の孤独と責任


前回の奈良BCCでは全員が社長と同じ目線の立場でしたが、今回は「給与を支払う」という、正に労働対価が支払われるシステムだったことから、社長と社員の立場が明確に別れた回となりました。

社長の役割を担った方はじわじわ感じていたことと思います。
・これくらいの給与を支払うと約束したのだから破るわけにはいかない
・しかし会社の経営も相当に厳しい
・しかし人がいなければ来期の売上が落ち込むことが分かっている
・今期はこれくらいで我慢して欲しいが、来期ついてきてくれるか…
・転職してもらった方が彼らのためなんじゃないか
・給与のためにも何とか売上を上げなくては
・自分の取り分は少なくてもいいから、何とか社員を守ろう

こんなジレンマを抱えながら、目の前にある経営を行っていきます。そこには社長の孤独を感じる場面も。「思ったよりも経費がかかる」という感想もありました。

どんなに孤独でも辛くても、途中で投げ出せないのが会社です。現実には経費の負担を知らずに「社長ばっかり儲けて」などと文句を言う社員もいることでしょう。

BCCはなんだかんだ言ってもオープンです。社員からも社長の懐具合が見えるようになっており、「この給与でも精一杯なんだろう」ということが推測できる状況にあったと思います。



それが現実なら?
全てを可視化するわけにはいきませんが、社員から「見える状態にある」ということで、社員が経営とはこういうものかということを理解する一歩になるかもしれません。

実際に、「これくらいの売上が上がり、原価をこれくらいに押さえ、これくらいの利益を出したら、最終的な利益がこれくらい残る。これが社員の賞与になる」という計算を明確に出しているところもあります。これもまた「見える状態にする」一つの方法だと思います。



「社長の気持ちとその背景が分かる」が今回のBCCテーマの一つ。経営者が孤独なのは皆さん仰ることで、それを身をもって実感して頂けたのではないかと思います。


BCCの展開


まずは経営者から希望する人材や理念についてお話があり、その後応募、そしてセレクション。1社3名体制でスタートしました。




今回BCC経験者のいる会社が3社、未経験者ばかりの会社が2社という構成でした。未経験者はいわゆる建設業新規参入の会社と言ってもよく、まずは建設業独特のルール把握に頭を悩ませます。

「自社だけで建てられないものをどうしたらいいのか」「下請に頼む時はいくらくらいでお願いするのが妥当なのか」

全ての会社の協力が街全体としての成功の為に欠かせないことを痛感している経験者。積極的に経営を教える手助けの場面が見られました。





それぞれが自社スキルを活かし、リベンジ「大野組」はゼネコン道をぶれずに突き進みます。危なげなくテレビ塔を落札し、順調に竣工。




「いい仕事しまっせ」は技術力で他社との差別化を図ります。




「業界を牛耳る」とおっしゃっていた近藤社長率いる「だがや興業」は営業に力を入れることにより案件数を増やしコツコツと全員参画経営。




なんと経験者である西口社長率いる「堕天使建設」は土木スタッフの不在と、土木施工を出来る下請確保に失敗し、初年度に遅延を起こしペナルティが発生。それは経験ゆえの油断がもたらしたものか…




1年目の街。



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前回協力会社確保に失敗し、朱雀門の工期が2年伸びるという痛手を経験したゼネコン大野組は、前回の反省を活かし、「狙った案件を落札し、竣工すること」に注力します。



営業数は増やさず、積算スキルの獲得に力を入れます。更にこの入札では大野組が驚異の引きを見せ、落札。



あの場面でもし落札出来ていなかったら…様相は大きく変わってきていたはず。



一方協力会社は、自社の営業数の中で自社完結出来る案件を施工することで、元請からの連鎖倒産のリスクヘッジをはかります。

この大野組の施工を支えたのが、技術力が高い「いい仕事しまっせ」。唯一クリアブロックを施工出来る技術を持っており、スパイラルタワーの建設から、この会社の技術力無くして竣工が有り得ない状況が生まれました。

給与もたくさんもらい、満足度の高さがうかがえるイイ表情。




2年目の街。



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「だがや興業」は「大野組」の一人勝ちを阻止するべく経審を受けて入札に参加。この情報を聞いた「大野組」は、積算スキルを最大にすることにより、圧倒的な精度でポートタワーを落札。

「ゼネコン大野組に勝つことは不可能なのだ…」と悟った瞬間でした。


この頃には各社協力体制の必要性を漏れなく理解し、活発な交渉が行われました。



新規参入時に苦しんだ「小町建設」は、街で唯一の女性社長が率いる会社。何とか経営を軌道に乗せようとする社長、そしてその社長を支える2名の社員。全員が新規参入だからこそのコミュニケーションの多さと一生懸命さが印象的でした。


コツコツと自社案件を建て、しっかり経営を維持。



次年度の計画に向けて行われる交渉は至るところで見られました。




3年目の街




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最終年度、超大型案件であるツインタワーを大野組が危なげなく落札。実は社内では「工期が短く危険なので他の案件に取り組むべきなのでは」という進言があったものの、社長の断行が功を奏します。

下請には「いい仕事しまっせ」と「堕天使建設」。




それぞれが下請としての役割を担いながら元請の要請にこたえることで街づくりに参加。この頃には交渉の末に他社のリソースも把握出来るくらいの情報共有がされていたため、自社経営を少しでも今より良いものにするべく独自の案件も施工力の許す限り最大で施工されていきました。





やはり難解な関門であるツインタワーズ。工期遅延しかけたところを、大野組の資金力、そして他社からの技術指導でもって完成させることが出来ました。



完成した名古屋の街。







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今回優勝ラインに立つことが出来る会社数は1だったため、最終残金が最も多かった「株式会社いい仕事しまっせ」が優勝となりました!ナイスチームワーク!技術力の最も高い会社でした。




そして社員賞には「大野組」から社長の右腕となって活躍してくださった寺嶋さん。困っている他社にも、交渉が必要な他社にもどんどん出向くその行動力が圧倒的でした。





それぞれの最終残金と、社員の給与はこの通りとなりました。





参加者の皆さまのご紹介とご感想


たくさんの感想をいただきました。ありがとうございます。(※FB、ブログなどから抜粋させていただいております。随時追加して掲載致します。)

今回の研修での気づきを
二つ忘れないうちに書き留めておこうと思います。
一つ目は、従業員を雇用することの重大さと社長の責任の重さ、孤独感、重圧です。
二つ目は、重層下請け構造の建設業における元請け・下請け間の連携と協調・協力関係です。
(中略)今回、支払う側になって初めて、従業員を守らなければならない社長の孤独感と責任の重さをずっしりと感じました。貰う側は、期日がくれば支払ってもらえますが、払う側は、期日になると支払わなければなりません。その期日にきっちり給料をお支払いするために、その原資となる資金をしっかり稼がないといけない。何が何でも利益を出さないといけない!!
(中略)許可や経審の手続きのやり方、書類の書き方などももちろん知っていないとダメですが、それよりももっと大事なことを学べるこの体験型ゲーム研修BCCは本当に一度は体験してみるべきだと心から思います。
(行政書士・社労士 西口孝平様)

>>ブログでご紹介くださいました。


★私のレポートは要らないんじゃないかというほどの(笑)大変奥深い考察をして下さっています。読んでいると手に取るようにその場面場面の苦しさが伝わってきます。それに耐えながら投げ出せないこともまた従業員を守らなければいけない社長の使命。それを果たしながら、本当によく頑張りました!!気付きがすべてです。素晴らしかったです!


2回目の参加だからこそ、他社の動きまで目を配ることができました。視野の広さは、実際の仕事にも活かさなくてはいけないものだと感じました。目先のものを疎かにしてはいけないですが、それだけに集中しすぎて周りの状況や流れが見えない・判断できないということでは、先がありません。

今回リベンジが果たせたのは、翌年を見据えた動きができたこと、他社の強みや特徴を見出し信頼関係の構築ができたことに尽きると思います。先が見えないのは不安、不信につながります。また相手を理解していなければ、良い関係を築き上げることもできません。
(行政書士 寺嶋紫乃様)

>>ブログでご紹介くださいました。


★研修を振り返り、そして今回の気付きを実業務にどう活かそうか?というところまでしっかり考えて下さっています!嬉しい。そしてブログ内にも書かれていますが、初めて参加する方ばかりのチームに教えに行っていた寺嶋さん、実は「出過ぎたことかも…」という不安がありながらの行動だったそうです。が、そんなことは全然ないのです。運営側は街全体を考えたその行動に感動しておりました。自社のことだけを考えるのでも大変なところを、しっかり全体を見てプラスアルファで出来ることをする、本当に素晴らしかったです。



開催に関するinfo


主催:名南行政書士事務所様
日時:2015年5月9日(土)9:30~16:30





さて今回、BCC開発者であり、一緒に講師をして頂いている林さんからも素晴らしい振り返りのお話を頂きました。色々なテーマが盛り込まれていましたが、やはり私の心に重く響いたのは「クライアントの期待に応える覚悟があるか」ということ。参加者の皆様の高い志をお聞きし、私も大きな励みを頂きました。

ブログ【はやしごと】のレポートもどうぞご覧ください。
>>★★★こちらからどうぞ★★★



今後のBCC開催情報はこちらからどうぞ。
>>BCCまとめ
>>BCC Facebookページ



懇親会の席では「次は三重開催」なんてお話もありました!実現したらとっても嬉しい!横浜での開催もしなくてはな~と思いつつ、参加者の皆様も運営側も大変な体力を消耗するくらい集中と思考を要するBCCのため、少し先になりそうです(笑)



最後の最後に、企画して下さった大野さん、この度は本当にありがとうございました。なんと奈良BCCの翌日にはオファーして下さっていたという驚異のフットワーク!そして建設業界への愛。だからこそ大野さんの周りの皆様も向上心ある熱い素敵な方々ばかり。良い機会を頂き、本当にありがとうございました。

参加者の皆様にも心より感謝申し上げます。


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