「蜻蛉日記」:夫の昇進よりも一緒にいたい | リベラルアーツの精進と実践の日記

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藤原道綱の母著角川書店編「蜻蛉日記」を読みました。

 

恥ずかしながら、これほど有名な古典ですが、読んだのは初めてでした。藤原道長の父兼家の妻(ただし2番妻)であった平安時代の女性貴族の置かれた状況が日記と言う形で見事に描かれますね。

 

まずそもそも名前が不明と言うことから、当時の女性の地位の低さが分かりますね。名前が不明でも、日本文学の金字塔を打ち立てました。

 

・出産の間の兼家の心遣いは、とても心がこもっているように感じられた。

 

・兼家が出ていったあとの文箱に、他の女への文があった。自分がその手紙を読んだことをことをそれとなく知らせた。兼家は「あなたの気持ちを試してみようと思った」と言い訳をする。

 

・兼家は、少納言を解任されて殿上に出仕できなくなった。兼家にとっては鬱屈した日々でも、道綱の母にとっては幸せである。(解説)

 

→夫の出世よりも一緒にいてくれた方が良いというのは、結構当たっている場合も多いであろう。

 

・兼家と言い争ってしまい出ていってしまった。ゆするつきの水を見ると塵が浮いている。せめてこの水に兼家の影だけでも映るのなら、どういうつもりか聞けるのに。

 

→感性が豊かであることと、兼家を心から愛していることが分かる。兼家と言えば、天皇を騙して退位させるなど権力ために手段を選ばない狡猾さはある。しかし、一人の女性からここまで愛される存在でもあった。魅力があったのであろう。

 

・車が通るたびに、胸がずきんとする。

 

→それだけ兼家を待ちわびているのだ。

 

・大納言に昇進した。しかし私は窮屈だ。

 

1000年以上前の貴族の女性の声、心の動きが分かる秀逸な書籍ですね。このような書籍を読むと人間力が増すでしょうね。